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わからないことを考える|2021年10月に読んだ本

わからないことがわからない。自分が見えているならば、他の人も努力次第では見えてくるはず。そう思い込むと、認識のズレはどんどんと広がっていく。歳を重ねていくと経験したことが増えてきて、応用できるようになって生きやすくなったけど、わからないことや知らないことを咎めることはしたくない。自分の経験は自分だけのものだ。

2021年10月に読んだ本の中で、おすすめしたい本を選んでみた。
誰かの選書のヒントになれば嬉しい。

イドコロをつくる|伊藤洋志

「依存」って悪くないのかなと思っている。ひとつの依存先だけだと上手くいかなくなったときに苦しい。いくつもの依存先があれば、そのどれかを支えにして生きればいいし、その間に立て直せる。依存をイドコロと変換してみると同じようなことで、複数のイドコロをつくるという暮らし方は、まさに今の世界で正気を保つための具体策である。暮らし方は人それぞれ違ってわからないことだらけだが、たくさんのイドコロにより、段々とわかってくるものなのだろう。

ケーキの切れない非行少年たち|宮口幸治

わからないことがわからない。認知の歪みとは厄介で、「楽しい」と「ムカつく」の二元論のような荒い粒度で自分の感情を分析してしまうと、本来はその間にあったような些細な感情を蔑ろにして、さまざまなことに「ムカつく」ように感じてしまう。

特性や症状に名前をつけることは簡単で、楽になる人もいるのかもしれないが、それからもこぼれた人はどうしたら良いのだろう。答えは出ないが、自分の認知の歪みをわかるようになっていきたい。

どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2|宮口幸治

「頑張ろう」「頑張らなくていい」という以前に、どうしても頑張れないという人もいる。でも、支援する側にとっては頑張っている人の方が支援しやすい。本当に支援が必要なのは、支援を拒む人や支援したくないと思うような人だと著者は述べる。「無理しない」ムーブメントの裏には、「今まで散々頑張ってきた人"は"無理なくていい」というニュアンスを感じることがある。最初から無理したことがない人は除外だと。人との関わり、支援、先を見通す力など、実行は大変でも意識していきたいことを学んだ。

ペッパーズ・ゴースト|伊坂幸太郎

「伊坂幸太郎の小説ってどんな感じ?」と聞かれたら、無言でこの本を渡したい。伏線、交互に展開する進め方、軽快な口調のキャラ、ちょっとした特殊能力、込められたメッセージ、あらゆる要素が絶妙なバランスで詰まってる。序盤でよくわからなかった展開が徐々に見えてくるようで、急に消えたりする、わからなさが心地良かった。

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久しぶりに集団行動をする機会があって、苦手だと思っていたけど、意外と楽しめた。一時的なものはまた違うのだろうか。まだまだわかっていないことは多い。


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