百物語28話目「市松人形のお祓い」(実話怪談)
思春期の時期、やけにストーリー性のある夢ばかり見ていた。これはそのうちのひとつ。
夢の中で、私は結婚して女の子と男の子を生んでいた。
そして、旦那は霊能者で、お祓いが生業だ。
その日、桐の箱に入れられた市松人形が送られてくる。
人形の上には祓ってください、というメモ書きだけ。
旦那は早速護摩壇を組んで、その人形の箱を一番上に起き、祝詞を唱えながら、火をつけた。
まるで棺を焼いているような光景。
長くかかるとわかっているので、私は子どもを連れて、お祭りに出かける。
しばらくして帰宅すると、護摩壇は燃え尽きていた。
が、旦那がひどく取り乱して告げる。
「まずい。あの人形が飛んでいった。火がついたまま」
真っ青になった旦那は続けた。
「逃げろ、神社の境内までの階段を一気に駆け上れ! そこは結界になっている」
私は子どもふたりを連れて、必死に石段を駆け上がる。
どうにか、境内へと辿りつき、子どもたちを抱きしめた。
「大丈夫、大丈夫。ここは平気だから」
しばらくすると、旦那も境内にやってくる。
「だめだった。あの人形は浴衣を着た女の子の上をついてまわって、嫌がる女の子に抱き着いた。それで、その子に火がうつって、もろともに燃え上がった」
祓いは失敗したのだ。
そして、終わっていない。
帰宅する途中、祭り囃子の中、着飾った浴衣の女の子が賑やかに通り過ぎていく。
そのうちのひとりの女の子の頭上には、あの人形が浮いていた。
さっき焼け死んだ女の子も一緒に――。
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