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短編小説

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日野あべしの短編小説をまとめたマガジンです。 短編小説を読んでくれた方で、他の短編小説を読んでみたいという方は是非ご活用下さい。
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2022年8月の記事一覧

静けさ包む

静けさ包む

雨が降っていた。
雨はしとしとと降り、今は雨粒を体では感じられない程度だ。
その雨はこのじんまりとした古い寺も濡らしていた。
小川にかかる石造りの小さな橋を覆う苔も雨に濡れ、生気を帯び、寺を覆う緑もその緑を深めている。
喧噪から遠く離れたこの寺は、静かに緑に包まれているようだった。

その寺には人はほとんどいなかったが、一人の男が腰掛に座っていた。
腰掛は濡れていたようだったが、男はそれを意に介し

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一人ぼっち

その男の子は一人ぼっちだった

少なくとも男の子はそう思っていた

誰も自分のことなど理解できない

その思いが男の子をより一人ぼっちにしていた

男の子は寂しく、辛く、悲しかった

男の子はあまりにも寂しかったので

命を投げたそうとしたこともあった

そうした時、男の子の周りの人達は涙した

その涙は明かりになった

男の子は自分の足元しか見えていなかったが

その明かりが男の子の周囲を照らし

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