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【風呂酒日和40-2】 御千(みせん)

【風呂酒日和(フロサケびより)】
どこかで銭湯を見つけると、つい寄り道したくなる。
銭湯から出ると、つい一杯飲みたくなる。
そんな私がふらりと立ち寄った、心と体とお腹を満たす、銭湯と居酒屋をまとめたマガジン。


かなり熱めの丸子温泉から出たというのに今日はなんだか温かいものを食べたい気分。
うーん、やはり、駅前の方だろうか。
と歩きだしてすぐ、曲がり角の先に赤提灯が見えた。
おでんと書いてある。むむ、いい響き。


店の前まで行って、ちょっと中を覗いてみる。
おや、誰もいない。
ちょっと早めの時間のせいだろうか。
すごく混んでるのもまぁまぁ嫌なくせになんとなく誰もいないのもそれはそれで不安になる。
一度店前の足元にあった黒板に目を落とした。
本日のおすすめが書いてあるのだろうか。

ローストビーフ味噌漬けか...うーんなんて思っていたが、その2秒後、ローストビーフの下に鯵のなめろうの文字を見つけ、脊髄反射で入店。
おでんとなめろう。
もうこの2つがあれば、飛車と角を取ったようなものである。
いや、飛車角を取られたのは私かもしれない。


片開きのドアを押して店に入るとカウンターの向こうから、ひょこっと店員の人が現れた。
1人です、というと「カウンターにどうぞ」と促され、一番奥のカウンター席へ。
ふふふ。すみっこ暮らし。

おでんとなめろうなら日本酒とか飲んじゃおうかなぁーなんて思いながらも、ついいつもの癖でアサヒの瓶ビールを頼む。

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