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「すごいこと」じゃない。小さな一つから。

大学時代の友人との飲み会。
その内の1人に先日第二子が生まれたと聞いた私は、お祝いにロンパースを買って行った。友人は包みを開け喜ぶ。

「お〜ありがとう!次男初の新品の服かも(笑)」

「あ〜上がいるとお下がりあるもんね」

「それもそうなんだけど、ちょっと最近むやみに新しいもの買わないようにしてたから」

「そうなの?」

「まぁ絶対って決めてるわけじゃないんだけど、できる限りね。服もそうだけど、色々節制してて」

話を聞いて、友人が言う。

「へ〜やっぱ物入りだから?オレの妹も子供3人だから大変だって言ってるよ」

「いや、こういうの言うと恥ずかしいけど、なんていうか地球のため、的なね」

「え〜!」

「いいじゃん。でもなんでいきなり?こう言っちゃあれだけど、お前結構浪費家だったのに」

からかわれた友人は苦笑いしながらこう答えた。


「はは、確かに。俺も一人目の時は、なんでもやっぱり新しいものを...とか思ってたんだけど。でも今まで俺が"この子のために"って思ってたのって自分がしてやりたいってだけだったなと思って。」

なんだか珍しく真剣に語る友人に、私たちは聞き入った。

「最近嫁とそんなこと話しててさ。子どものためってそういうことじゃなくて、あいつらが生きてく先を想像するってことだよなって。ニュースとか見て、なんか地球がいよいよ俺たちに"お前らいいかげんにせぇよ"って言ってるみたいだよねなんて話して。
今までは俺一人がちょっと気をつけてもとか思ってたんだけど、そういうチリツモで変わるなら色々少し心がけてみようかなと。まぁホントできる範囲でだけど。
なんか今までの自分の生活考えると虫がいいっていうか、調子いいななんて思ったりもしたんだけど、まぁ思った日から変わればいいし、できることからでもやろうかなって」

「えー!めっちゃ偉いじゃん」

「ね〜すごいよ!」


みんなのそんな反応を聞いて、一人が呟いた。

「オレわかったかも。この"すごい"がダメなんじゃない?」

「何?どういうこと?」

「なんかさ、オレそういうの良いこととか意識高いやつみたいな気がして、オレはそういうのやるキャラじゃないみたいに思ってたけど、そのイメージがすでに違ったかも。すごいこと、じゃないんだよな」


彼の中で、何か意識が変わったようだった。
いつも他愛のない話で盛り上がる飲み会での、いつもとはちょっと違う会話。
新しい命は、色々な人に色々なものを運んできたようだった。

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