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キャンプ未経験の私は毎日がおうちキャンプ?


私の父は綺麗好きで几帳面だ。
ちょっと潔癖症気味なのではないかと思う。

そのせいか我が家では「お庭でバーベキュー!」などの野外でごはんを食べる催しがされたことはほとんどない。
虫も嫌いだし、汚れるし、片付けも大変。家が一番。

そんなスタンスでは、もちろんキャンプも縁遠い。
「キャンプ」と脳内で検索をかけても、楽しげにテントに入るイメージや火を起こすシーンなど、なんとなくそれっぽいものを想像することはできるものの、自分の思い出としてはまるで浮かんでこない。
唯一、寝袋を使った記憶を「キャンプ」と改ざんして良いのであれば、小学校の校長室で寝たことがあるくらいだ。


そう、私は今までキャンプをしたことがない。
海との関係に引き続き、なんとも冴えない夏を送っている。

海然り山然り自然は好きなのだが、地元にいた頃はあまりにも身近に自然がありすぎたせいで逆に「空気おいしい〜!自然最高〜!」とそれを味わうということをやってこなかった。
何事も当たり前のように日常に溢れていると、その大切さやありがたさには気づけないものだ。


自分とキャンプの関係について悶々と考えていた私は、ふと、父にメッセージを送ってみた。

「ねぇ、キャンプって好き?」

デジタルにそこまで強いわけではないが、父は割とレスポンスが早い。たまにAIの自動応答なんじゃないかと思うくらいの早さで返信が来ることもある。

「いいえ。」

AIな父から速攻で返信が来た。
愛娘からの突然の問いに、これ以上その名を口にするなと言わんばかりの、会話を広げようともしない確固たる「いいえ」...。
彼はキャンプに親でも殺されたのだろうか。

触れてはいけないような気がしたので父はスルーして、母に同じ内容を送ってみる。

「キャンプ〜?結婚してこっちに来てからはやったことないけど、昔、奥多摩に行ったりしたよ!」

とのこと。母は元々東京出身で結婚を機に北海道に移り住んだ。
やはり普段自然が近くにない方が自然に触れたい!という気持ちになるのだろうか。その昔は学校行事でも行ったと言う。

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「東京都だしね。」の意味はよくわからないが、"月が近くて金属質に輝いていた"なんて、意外に洒落た言い回しをする母。
小説でも書く際は拝借させていただこうかしら。


そんな田舎育ちの潔癖症な父と、都会育ちの野生児っぽい母のもと育った私。
知識もなく1人では不安なため「よしキャンプ行こう!」と新たな一歩を踏み出したことはまだないのだが、私は何を隠そうキャンプ用品が大好きだ。

コールマン、モンベル、スノーピーク、ノースフェイス、チャムス。
アウトドアブランドの家具や照明器具、テーブルウェアなどのデザインがとても好きで、webサイトを眺めているだけでわくわくする。

積む物も行き先もないのにあのゴロゴロと転がすキャリーカートが欲しいし、家で使うだけなのに折りたためるカトラリーやキッチンツールが欲しい。
煌々と電気のついた部屋に置くランタンが欲しいし、家の水切りカゴに引っ掛けたことしかないのに、なんなら無駄にシェラカップを持っている。

アウトドアブランドのファッションも好きで、よく着る。
そして、うちにはハンモックがある。

畳の上に芝を敷き、ハンモックを置いて、アウトドアブランドの服を着ながらシェラカップを片手に家でごろごろとくつろいでいる私。

もはやこれ、キャンプと言ってもいいのでは...?

私の「なんちゃってキャンプ」は、もうすでに家の中で始まっているのではないだろうか。
プロキャンパーの人からしたら、何言ってんだキャンプは外で自然を満喫するのが一番の醍醐味だと怒られてしまいそうだが「いや、人それぞれのキャンプの形があっていい。」と、ツッコまないツッコミの紫スーツの芸人さんくらいは私の肩を持ってくれるかもしれない。


いつの日か本物のキャンプに行くことを夢見ながら「誰かキャンプ誘ってくれないかなぁ」と受け身の姿勢で、今日も私は家でイメージトレーニングに励んでいる。

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