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ギルティ女史の覚悟



今でも忘れられないあの日。
そう、あの未曾有の大地震があった日だ。
私はその時、このオフィスにいた。

今日も猛スピードで仕事をするギルティ女史。
私は彼女がA4のコピー用紙に殴り書いた呪文のような紙を会議室にいるスタッフ分コピーし、それとともに赤と黒のペン、ポストイットを人数分用意して会議室に持っていき、それぞれに渡す。

その紙を元にブレストミーティングをする。
そんなことは言われなかったが、紙に書いてあるメモにさっと目を通し、そうであろうことと、その際に必要なものを揃えられるくらいにまでには成長した私。
その会議に入るような仕事はもちろんまだまだできなかったが、ただコピーのみをするポンコツアシスタントからはちょっと脱却できたくらいだっただろうか。


別室で会議が催されている中、オフィスには別の仕事をする数名が残っていて各々の仕事をこなしとても静かな時間が流れていた。
この間にこれをやって、彼女が戻ってきたらすぐあれを見せて。
今日の残り時間の中に作業を詰め込みながら目の前の仕事を片付ける。
静かに頭をフル回転させオフィス内を動き回っていた時、それは起こった。

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