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ギルティ女史と決壊した私


その日、私は禁忌を犯してしまった。

私がここに雇われた理由。彼女が私を選んだ訳。

「ねぇ。どうしてあなたに決めたか、知りたい?」

「は、はい」

「正直ちょっと、どんくさい気がして不安だったんだけど。候補の人の中で、トライアル中にあなただけが唯一泣かなかったから、他が話にならなくてあなたに賭けることにしたの。とにかく頑張って成長してね」

あの日の会話が蘇る。
そうだ、私は、私だけは絶対に泣いてはいけない。
私は泣かなかったから、ここに来ることができたんだ。

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