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コーチングの教科書 #1 コーチングとは



コーチングの定義

 もともとコーチ(Coach)という言葉は「馬車」という語源に由来しています。「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」という意味合いから、現在一般に使われている「目標達成のサポートをする人」のことを「コーチ」と呼ぶようになりました。つまり、コーチが、「人生のさまざまな目標達成をサポートする」ということです。コーチングとは助言を与えることでも問題を解決することでもありません。コーチを受ける人の思考を促進する一方で、コーチ自身の観察能力と学習能力を高めていくプロセスです。

 一般的に「コーチング(Coaching)」とは、その道のエキスパートである指導者が後進にコーチをする、先輩が後輩にコーチをするなどというように、上から下へ、あるいは、知っているものが知らなぃものに教える、というようなイメージがありますが、ここで言う「コーチング」とは、相手と同じ立場に立ち、効果的な質問を投げかけることによって、相手が本来持っている能力や行動を引き出すことです。

 コーチはクライアントに「教え込む」のではなく、クライアントが自らのビジョンを明確にし、自ら強く動機づけ、自ら「学び取る」ことや「目的に向かって取り組む」こと、そして「望んだゴールにたどりつく」ことを後押ししていくことです。

 コーチングのいろいろな側面として、「相手のモチべーシヨンを高める」「相手が自ら学ぶ環境を作り出す」「自主的行動を起こす方法」「質問型のアプローチ法」「会話を通じて相手の発想を変えること」「会話を通じて対象者が本人の望む目標に向かって、本人の満足のいく方法で進むことを促進する環境を生み出す技術」「人が自分の中の知恵にアクセスするのを助ける」などがあります。

 トレーニングやティーチングには「上から下に行われる」「均一性が要求される」という印象があります。対して、コーチングは横の関係(パートナーシップ)で行われます。コーチングを受ける人は、自ら選択する主体性を保持しています。馬車(Coachの語源)のように、自分の好きなところに自分の行きたいコースで進めるように手助けしてくれるイメージです。

 コーチングが機能するためには、

①自己説得
 他者から教えられた場合よりも、自らその行動の意味を考えた場合、すなわち自己説得した場合のほうが人は動きます。コーチングは自ら考え、行動させることを旨としています。まさに自己説得の利点を応用しています。

②リアクタンス(心理的反発)
 人は特定の行動をするよう強い圧力をかけられると反発心を覚え逆にその行動をあえてとらなくなるか、それに従ったにしても「嫌々やらされている」という不充分な動機づけのまま行動します。たとえ、その行動が客観的には理に適っているとしてもで す。これもまた、命令し強制して動かすのではなく、あくまでも「自分の意見や意思」として自発的な行動を促す、コーチングの利点を示しているといえます。

③公に宣言する
 コーチングでは、コーチされる側はコーチに対して何らかの行動を取ることを約束します。一対一の関係とはいえ、これは自分が新たな行動を取ることを公に宣言するのと同じです。自分一人で目標を立て、それを実行することの難しさは、誰しも身に覚えがあります。そこで、公に宣言することで、自らを律すると同時に、相手からの支援を期待します。コーチされる側から見たコーチが「公」の存在となるのです。

コーチングは人を動かすこと


松下幸之助の思想哲学に、"事業は人なり"というものがあります。

  1. 人は無限の可能性がある

  2. 自らの可能性を主体的・自発的に開発してこそ、自己実現であり、幸せにつながる

  3. 個人の多様な能力を開花させるには、個別の適切なサポートが有効である

 これは、コーチングに近いものであるといえます。コーチングとは、個人が持つ潜在能力を最大限に引き出すための手法であるといわれています。新しいマネジメントスキルあるいはコミュニケーションスキルとして、取り入れられはじめている手法です。

 企業・組織で研修やOJTなどが行われていますが、その際各種のコミュニケーションが用いられています。ここでは「人を育て、活かす」ということが大事です。個々の多様な持ち味と成長を促し、適材適所の業務と目標を達成しながら企業経営が持続的に発展しなければなりません。しかし、「人を動かす」マニュアルはなかなか存在しないため、自らが準拠すべき基本的な理念 などを持つ必要があります。現実的に部下の指導・育成における悩みは多くの者が抱えており、マネジメンに携わる者にとっての永遠の課題です。

 企業内及び企業外における信頼関係を育てること、部下の能力を向上させること、職場の雰囲気がギクシャクしないよう、経営者や管理職に必要なコミュニケーションスキルとしてのコーチングスキルを身に付けるために自己研鎖を積まなければなりません。

コーチング・マネジメント


 コーチングやマネジメントは、「教え込む」のではなく、相手と同じ立場に立ち、効果的な質問を投げかけることによって、相手が本来持っている能力や行動を引き起こすものです。そして、目標達成のために人材だけでなく、資金・設備・物資・スケジュールなどをバランスよく配備して、全体の進捗を管理していきます。

気づきのテクニック


 どんな人材が必要か? →「自ら思考し自ら行動できる人」 受身の社員集団では、厳しい経営環境を乗り越えることができません。現場で部下を育てる場合、「どのようにして自発性を引き出したらよいのかわからない」。特に若い部下の場合は、「命令しても自分が納得しないと動かない、かといって自分から行動を起こすでもない」そんな傾向があります。また効果的なコミュニケーション手段がなく結局のところ叱責になってしまいます。 そこでコーチングの手法を使うことにより、部下の思考をΓしなければならない」から「したい」に変え、自発的に動かすことができるのです。つまり、コーチングとは「部下にやらせる」技術ではなく「やってみたいと思わせる」技術です。

結局コーチングとは?

 今や過去の価値観が崩れ多様化してきました。それに伴い、組織内でのコミュニケーションにも変化が起こっています。かっては一つの価値観にもとづき、ピラミッドの上から下までヘのトップダウンで人は行動を起こしました。しかし家族をはじめ、学校や企業まで、多くの場面で、このような「ティーチング」型の一方通行のコミュニケーションだけで人を動かすことば難しくなってきています。企業という組織でも、上司がコーチ役となって、部下の持っている個人の価値観を引き出し、それが企業の持つ目的の中でどのように実現できるのを明確にすることができなければ、部下は行動を起こさない時代になったのです。リーダーは部下を管理すること以上に、コーチとしての役割が求められています。

 時代は「コーチ」を求めています。あらゆる組織の中で、いかにコーチングという双方向のコミュニケーションによって、相手のモチべ-ションをあげることができるか、が間われる時代になったといえるでしょう。

コーチングとは「目標達成に向けて、相手の自発的な行動を促進するコミュニケーションの技術」です。

 また、別の言い方をすると、目標達成に向けて必要な「知識」と「スキル」と「ツール」を装備し、最短の時間で成果が上がるようオンゴーイングに(継続的に)サポートしていく、インタラクティブ(双方向の)コミュニケーションです。

 そのためには、一方的に何をしたらいいかの指示を出すのではなく、対等な立場から幼果的な質問をなげかけることにより、自らの内側に答えを見つけることを促します。コーチは、コーチングを受ける人とコミュニケーションを交わすことによって、目標を明確にし、短時間で達成できるようにサポートします。そして、行動を継続して起こしていけるようにフォローします。

コーチングによる部下の行動変化

コーチングによる部下の行動変化


コーチングの種類とこれから

 もともとスポーツの世界にひとつのルーツがあり、スパルタ的なイメージがありました。指示命令型から質問型アプローチに変化したのです。

(1)コーチングの糧類

  • ビジネスコーチング

  • パーソナルコーチング

  • メディカルコーチング

  • ティーンエージャーコーチング


(2)主だった内容

  • ストレスマネジメント

  • 天職発見

  • コミュニケーション改善

  • 目標達成

  • 自己実現

  • パーソナルファンデーション(自己基盤)の強化

これからも対応する分野が増えていくと考えられます。

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