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コーチングの教科書 #7 コーチングスキル⑤ 受入れられる提案の方法


提案について改めて考えてみる


 提案ならしょっちゅうしているし、されてもいる。なにをいまさらと思うかもしれません。しかし、ちょっと考えてみてください。いったいなにをもって「提案」というのでしょう。あなたのその提案は本当に相手から「提案」として受け止められているでしょうか。

 先日、ビールを飲んでいたら、飲み終わるか終わらないかのうちにウエイトレスがやってきて「おかわりどうですか?」とききます。もう一杯飲むつもりでしたが、「飲むのがあたりまえ」とでもいいたげな口調に腹が立ち「結構です」といってしまいました。

 さらに彼女は「では、他の飲み物はいかがでしょう?」と追い討ちをかけるので、強い口調で「まだいいです」といいました。すると彼女はバツが悪そうに別のテーブルに行ってしまいました。

 ウエイトレスの言葉は文字だけとりだせば提案です。しかし私には、自分のいうことに有無をいわさず従わせようとする「命令」に聞こえました。本来提案は、イエスというかノーというかの選択を相手に完全に委ねてはじめて成立するものです。ところが会社でも学校でも、上位にいる人が下にいる人に向かって、本当の意味での提案をする姿はあまり見かけません。

 「プレゼンの資料に市場動向レポートも入れたらどうだ」「もう少し英語に力を入れたほうがいいんじゃないか」形態は提案ですが、ほとんど「命合」だったり、「おせっかい」だったりします。命合やおせっかいは、どうしても、「やらされている」というところに相手を導いてしまいます。「イエスでもノーでもいい、判断はおまえに任せたりというトーンで語られたとき、相手はその問いかけを「提案」として受け入れることができます。

 まずは自分に投げかけられる言袋に意識を向けて、それが提案なのか提案以外のものなのかを察知する練習をしてみてください。会社で、家庭で。

基準はただひとつ。

そこにノーという自由が与えられているかどうかです。

それができたら、自分で提案と提案以外のものを区別して周りの人に対して使ってみてください。相手の反応がどう変わるかに意識を向けながら。

受入れられる提案のポイントとは

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