春のオルガン(湯本香樹実)
きれいな文章だった。猫や病気や春、そういった物が織物のようにきれいに組み重なって一つの物語を紡いでいる。
僕が思うに、こういう小説と書きたいのだと思う。
ある事実の羅列や、虚構の設定集に終わるのではなく、現実的でありながら、警句的な出来事のかずかずにであう。そして、少しづつ、読者にも分かる形で成長していく。
心が踊るアクションや、昂った修羅場など、強い状況設定に甘んじず、些細な出来事などに深遠な意味を見出すことこそ文学の本文じゃないのかな。
それでいえば、あとがきも好き。昔の