大学で初めて歴史を勉強したお話
社会科の教員免許を取るにはどこの大学でも歴史学の概論(入門講座的なもの)が必修になっていると思う。
実際、私の大学でも日本史、西洋史、アジア史が必修になっている。
周りの人は多くが史学を専攻していて、受験でも日本史・世界史を使ったエキスパートばかりだ。だから彼らにとって歴史の概論なんて”楽単”レベルのものなのかもしれない。むしろ、人文地理学とか自然地理学が”鬼門”といわれていたほどだ。
だが高校・浪人と一切歴史に触れてこなかった私にとっての”鬼門”は
歴史
だった。
人文地理は地理をやっていれば結構馴染みのある内容だし、自然地理も理系の理科を齧っていればある程度理解できる。
一方で歴史は高校1年生の世界史A以来だ。ブランクはあまりにも大きかった。
こんな状態だったので
私は大学で学んだ歴史に強烈な違和感を持った。
1年次は時間割の組み方を間違えて単位の都合で歴史の概論が取れなかった。なので、2年次に日本史、西洋史、アジア史の概論をまとめて通年で受けることになった。だが前期は
”まじで何言ってるかわからない…。”
という感覚だった。年代ごとに整理されていればまだ良いのだが、そうでない場合だとホントに呪文を聞いているようだった。特に戦争や政変が起きた背景を説明するときなんかは
「民衆が〇〇皇帝の政治に不満を持って、それで戦争して政変が起きた。」
みたいな講師の説明がどうもしっくりこない。因果関係がイマイチよく分からない説明に違和感を覚えた。日本史専攻の友人に話しても
「当たり前じゃんw」
で終わるし、なんだよーって感じだった。
ただ何か月も同じ先生の講義を受けていると
どうやら歴史には「背景」という概念があるのだな
ということが分かった。史学の人たちは
”この国でこんな背景があったため、結果政変が起きた。”
みたいな考え方のような気がする。要するに”背景→結果”で成立している学問なのかもしれない。背景に民衆の不満や憤りがあって、結果で政変や戦争が起こる、といった流れのような気がする。
一方で、地理だと因果関係だけで説明してしまう。”原因→結果”の流れだ。基本的に「背景」という概念はない。
この原因には、経済や文化などの社会事情や自然環境といった時間的・空間的スケールを持ったものが主だ。結果が都市形態や景観などの土地の構成要素だ。その因果関係の中にも
”〇〇さんが今の現状に不満を持ったから××市を発展させた”
という背景がおそらくあるのだろうが、地理の場合、それはあくまで個人の感情であって客観的事実ではない、とみなし切り落としてしまう。
そのため、私は歴史学の教授の説明に違和感を感じたのだろうと思う。
ただ、こんな些細な事に気づくのにかなりの時間と労力を要した。
空いた時間で知識を詰め込み、授業後は友人から貰った高校の教科書で復習した。こんな苦労するなら、高校時代、世界史Aだけでもちゃんとやっておくべきだったと思う。まぁ自業自得ということだ。
手を抜くといずれボロが出るということを身をもって経験した。
ただ勉強ってすごく疲れるんだけどね。
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