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何か書いて発信してみたい気持ちになったので、やってみます。現在主婦。3人の子どもあり。…

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何か書いて発信してみたい気持ちになったので、やってみます。現在主婦。3人の子どもあり。2019年3月に乳がんステージ4が判明。本が好き。鍼灸・あん摩マッサージ指圧師。

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  • 紹介して頂いた記事

    私のnoteをご紹介頂いた記事です。大切にします。ありがとうございます😊

  • 乳がんが判明して、からの私

    結果的には「乳がんが判明する前の私」という内容になりました。

最近の記事

遊びをせんとや 生まれけむ

「にーらめっこしましょ、あっぷっぷ!」 にらめっこしよー!と寄ってくるのは我が家の長男、小学校2年生。彼はにらめっこをするのが好きだ。 しかし、からきし弱いのである。 8年生きてきて、たぶん一度か二度しか勝ったことはないと思う。ほぼ負けの人生。 お母さん、にらめっこしよー! の時点でもう笑っている。ニコニコ。 いいよーと答えると、一瞬きゅっと表情をひきしめる。ひきしめるのだが、口もとの一部がほんの少しだけ、変に力が入っているのがわかる。目は真剣だが嬉しそうな色がよぎる。

    • あるひとつの幸せ

      自転車で、町の図書館へ行った。 15分ほど走る道のり。 田植えが終わり、水面にはまだ頼りない苗がきれいに並んで植わっている。白鷺の姿が見える。勢いよくジョワジョワーと音を立てて、清らかな水が放たれている。透きとおった緑の匂い。水田を渡る涼しい風に吹かれるのが好きだ。 片田舎の図書館だが、なかなかに立派で広い。現在、利用制限はしていないようだけれど、人はまばら。床のワックスを塗り直したのか、きゅーきゅーとスニーカーの音が響いて気になる。 今日は、自分のために借りようと決めて

      • ギアチェンジがやってくる時

        くちびるの右下内側に、じんじんヒーヒーと痛みがある。口内炎。慌てていたのか気が散っていたのか、食事中に噛んでしまった傷がなかなか癒えない。氷を口に含むと、滲みて涙が出る。それでも一時の麻痺のために氷を口にほおりこむ。痛みを和らげるために痛みを誘発するという、よくわからない循環。でも少し落ちつく。 我が家に、ギアチェンジが巻き起こっている。 その渦の中心になっているのは長女だ。 中学生となり、強豪運動部に入ることになった。 今まで、特別スポーツ経験は無い。 クラブチームや少

        • 新年度、家族丸ごと変化の時で、読めず書けずにいました。元気です。子どもが夕方から発熱して、たぶん健全な熱だけれど、今晩は様子見です。少しばかり心細くて、やさしいnoteを眺めています。

        遊びをせんとや 生まれけむ

        • あるひとつの幸せ

        • ギアチェンジがやってくる時

        • 新年度、家族丸ごと変化の時で、読めず書けずにいました。元気です。子どもが夕方から発熱して、たぶん健全な熱だけれど、今晩は様子見です。少しばかり心細くて、やさしいnoteを眺めています。

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        • 紹介して頂いた記事
          1本
        • 乳がんが判明して、からの私
          5本

        記事

          What a Wonderful World

          病院は真空だ。入院病棟はパッキングされている。 息苦しいと感じるひともいるだろう。 私も外に出ればあるいは、新鮮な空気に驚くかもしれない。しかし今のところ、この真空状態が心を落ち着かせてくれてもいる。決して嫌いではない。 何も、しなくてはならないことがない。 誰かの送り迎えや、誰かの食事や、誰かの話し相手や、誰かのお風呂や、誰かのケンカの仲裁や、誰かのスケジュール管理や。誰かの。 「誰か」には自分も含まれる。働くこと、掃除すること、お付き合い、買い物、などなど多彩なあれや

          What a Wonderful World

          人生会議 〜死は誰のものか〜

          私が最も身近に死と出会ったのは、母方の祖父の死である。 私が初めての子どもを産み、3ヶ月ほどした頃だ。 祖父母は皆、長生きしたと思う。 高齢であったから、ある程度心の準備も出来ていた。 母方の祖父母は、田舎に暮らしていた。生まれてから死ぬまで、同じ集落で生きた。 家の裏山に先祖代々のお墓があり、竹藪がある。畑や田んぼで作物を育て、食べる分を賄っていた。祖父は気ままな人で、酒を飲み、タバコを吸い、好きなものを食べて絵を描いて暮らしていた。 田舎だけなのだろうか。 亡くなる本

          人生会議 〜死は誰のものか〜

          声は語る

          今、私がどこにいるかというと、病院のベッドだ。消灯後の真っ暗な4人部屋の、窓側のベッド。ピンク色の綿の掛け布団にもぐりこんで、お隣さんの寝息を聞きながらこのnoteを書いている。 入院中である。 「痛み」なんてタイトルで、水の底にいるようなうす暗い痛みについて書いたけれど、まったくもって段違いの痛みがやってきたのだった。 こりゃダメだ。 と判断して、救急車のお世話になった。 救急隊員の方は、すべてに無駄がなく、患者に寄り添い続けてくれた。頑張りましょう、痛いよね、頑張ろう

          声は語る

          ご飯と、アオサの味噌汁と、鱈のホイル焼きと、ウィンナーと、じゃがバタと、鮭とばを、七輪で煮たり焼いたりして食べた。火の番は子ども。火を熾すのも絶やさず守るのも根気がいる。美味しくて晴れやかな真っ黒顔。

          ご飯と、アオサの味噌汁と、鱈のホイル焼きと、ウィンナーと、じゃがバタと、鮭とばを、七輪で煮たり焼いたりして食べた。火の番は子ども。火を熾すのも絶やさず守るのも根気がいる。美味しくて晴れやかな真っ黒顔。

          私の髪の話 第二話

          一段落した脱毛の話を書き始めたはずが、新しい薬の開始により、また新たに脱毛が再開している。また抜け方が違うのがふしぎ。 あくまで、これは私の髪の話だ。 坊主頭は気持ちがいい。 つい手が頭に伸び、触れる。 思いもよらない凹凸がわかる。冷んやりしていてふよっと柔らかみ。ここには大事なものが宿されている予感。 覆われていない頭部は頼りなくもある。 生後数ヶ月の乳児のように危うい。丁重に、優しく扱わなければならないと思わされる。 髪があると無いとでは、存在感が大違いだ。 脱毛する

          私の髪の話 第二話

          私の髪の話 第一話

          鬘を借りることになった。 カツラである。今風に言うとウィッグ。 これから記すのは、がんの治療中、ここ半年で私に起こった、俺の家……ではなくて私の髪の話だ。 昨年の夏から、抗がん剤を始めた。その副作用としてほぼ全ての人に脱毛が生じるという話は聞いていた。副作用の中でも、丁寧な説明が割かれている大事な項目である。女の命とも言われる髪が抜けていくことは、男女に依らず、恐怖であり深い悲しみであり驚愕であると聞く。そう感じるのは当然の心の有り様だと思う。 ただ、私はそうではなかった

          私の髪の話 第一話

          痛み

          痛みについて書いています。気が進まない方は読まずにお通りください。 痛みで夜中に目が覚めた。 突如としてやって来て、まったく自分では制御出来ない。それが痛みだ。 例えば転んだ時。転んだ瞬間は驚きに支配される。頭の機能が静止して、視界はスローモーションになり、音は消える。 転び終えると、それから世界が動き出す。 声が聞こえ、目の前がはっきりする。恥ずかしさが生まれる。さまざまな感覚が戻ってくると同時に、痛みがやって来る。 じんじんじん。 さっきまで無かったものがある。

          痛み

          鳩時計の振り子が規則正しく揺れている。 振り子は鳥を象った木製で、腹の部分だけが白い。無音で行ったり来たりを繰り返す。 「お休みモード」に設定されたエアコンが、僅かに羽を開き時々生ぬるい風を送る。換気扇がうるさく感じられて、そろそろ蓋を開けて掃除をしなければと思う。壁にかけられたドライフラワーは色褪せ、もう香りを放たない。誕生日にもらった花束、日毎に水気が抜けていく。腐るよりも枯れていく様が気分に合う。 寝返りを打った時に、東洋医学において腎と耳の繋がりが深いことを思い出

          春へ・小景

          ほとけのざ。仏の座。 ほとけのざの明るい紫色がポツポツ目に映るようになってきた。 幼稚園まで、徒歩で20分ほど。 末っ子とともに歩く道。 少し前には椿の落ちたのが、お土産だった。白、薄いピンク、赤。濃い緑の硬い葉。 椿は花ごと落ちるので、すぐに3歳の手のひらいっぱいになる。 昨日からは、ほとけのざ。 幼稚園に子どもが通い出して、初めてその存在を知った。 それまでは「雑草」が空き地に生えているな、くらいで実際には視界に入っていなかった。 ほとけのざ、という名前。小さな花の蜜

          春へ・小景

          彼女はただ泣きたかっただけ

          長女について書こう。 彼女はもう間もなく、小学校を卒業する。 私にとって、初めての子ども。 最近は、イヤフォンで音楽ばかり聴いていて、机に向かう時間が多い。あいみょんとNiziuが好き。 髪を伸ばし出したのは、3年生くらいからだったか。今は肩あたりまでの豊かな黒髪を、ドライヤーとブラシで整え、結わえ、きっちりとピンを刺して後れ毛を留めている。 背は小さいけれど、ここ一年でぐっと伸びてきたところ。 彼女は、ちいさな頃から人を観察するのが好きで、電車に乗ると眺めるのは外の景色

          彼女はただ泣きたかっただけ

          noteという遊び場で 真剣に遊ぶ

          スキを頂いた数が100を越えました。 愛想が良いとは思えない私のnoteに、3000を越えて読んでくださる方がいて、さらにスキまで頂いて、コメントくださる方までも。 ただただ、自分が書きたくて書き始めました。 でもnoteは日記ではない。 人の目に触れているんだなぁと、ちょっと怖くなったり。嫌な思いをさせたり傷つけたりすることがあることを、コメント送信する前のひと声で刻みました。 PVって何の略?とか、どうやってこの方々は私の記事を知るのだろう?とか(自分の記事を、#以外

          noteという遊び場で 真剣に遊ぶ

          治療が変更される時

          がん治療のお話。個人的見解であり、独り言です。感情的で、非論理的な。 8月から開始した、パクリタキセルという抗がん剤を変更する提案を医師から受けた。 1月終わりに受けたCTで、びみょうに・すこーし・わずかに、腹膜に転移しているがんが増大しているらしい。尿の出を妨げつつあり、腎臓を守る意味でも薬を変えましょう、ということである。 CTより頻回に行っている血液検査ではまずまずの様子だっただけに、予想より早い変更にまだ頭の整理がつかない。 副作用のことを思う。パクリちゃんの

          治療が変更される時