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あるひとつの幸せ

自転車で、町の図書館へ行った。
15分ほど走る道のり。
田植えが終わり、水面にはまだ頼りない苗がきれいに並んで植わっている。白鷺の姿が見える。勢いよくジョワジョワーと音を立てて、清らかな水が放たれている。透きとおった緑の匂い。水田を渡る涼しい風に吹かれるのが好きだ。

片田舎の図書館だが、なかなかに立派で広い。現在、利用制限はしていないようだけれど、人はまばら。床のワックスを塗り直したのか、きゅーきゅーとスニーカーの音が響いて気になる。

今日は、自分のために借りようと決めている。つい、子どものための絵本を借りがちなのだ。
適当な棚を左上から、つらつらと眺めていく。題名、作者名、文字のデザイン。目が止まったら引き出してぱらぱらめくる。ありかなしか。10冊選りすぐる楽しみだ。貸出期間内に読み終われるかは気にしないことにする、間に合わなければまた借りたら良い。

まったくジャンルを定めずにいく。今日の私が何を選ぶのか、無意識の私に決めてもらいたいのだ。私は私を知りたい。

で、本日選ばれたのはこんな10冊でした。
『食べることの哲学』
『日本昔話百選』
『センス・オブ・ワンダーを探して』
『今夜も終電ごはん』
『理科の謎、きちんと説明できますか?』
『これからのシュタイナー教育』
『死ぬときにはじめて気づく人生で大切なこと33』
『婆のいざない 地域学へ』
『「日本の衣食住」まるごと事典』
『急に具合が悪くなる』

最後の一冊、『急に具合が悪くなる』は、くまさんに教えてもらった本。出逢えるとは!感想、書けたらいいな。

それにしても、自分の知らない深く広い世界がこんなにもある!と思うだけで、嬉しくてぞくぞくしてしまう。知らないけれど知ってみたい。知らなかったからこそ、新たな融合が起こるかもしれないわけだから。そうではないか⁈うむ、そうに違いない!

世界は四次元的に広く、私はちっぽけで何ものでもない。ちっぽけで、何も無さすぎて、薄暗くなる日もあるけれど、空っぽであることはむしろ気持ちよくもある。何にせよ、そこからしか始められないんだもの。

草茂る野原に寝転んで、青空の下、揺れる梢。目を閉じて雲が流れるのを感じる。
何にもない、でも全てがあるような。

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