見出し画像

ひきこもりデビュー

はじめまして、ひきこもごもと申します。

メディカルソーシャルワーカーを中心としたひきこもり支援に関する任意団体「ひきこもごも」と申します。 専門員視点と、元当事者のメンバーによるひきこもりの状態にある方のいまと、気持ちを一緒に考えています。
いままでひきこもりの方、そのご家族、現行の支援とその課題、支援者のあり方を発信してきました。

今回は「ひきこもりデビュー」という内容で発信していきたいと思います。

ひきこもりはだれでもなり得る未来の自分

「ひきこもりの方」と聞いてどんな人を想像しますでしょうか。中学や高校に馴染めず不登校、卒業後に就職をせずに自室にひきこもる息子、関心の無い父親と、心配するものの動くことができない母親、といったイメージがステレオタイプでしょうか。平成30年度に内閣府が行った「生活状況に関する調査1」において平成27年度に満15歳から満39歳までを対象に実施した「若者の生活に関する調査」の結果を見ていくと全く違ったひきこもり像が見えてきます。

ひきこもりデビューはいつでもいつからでも(正規分布)

調査では人口動態を加味した年齢分布とおよそ一致するひきこもりデビューがまとめられています。ひきこもりは、学齢期にスタートするようなイメージを持つ人にとっては意外な内容です。
初めてひきこもりの状態になった年齢として広義のひきこもり群(後述)の者が初めてひきこもりの状態になった年齢は、30歳代の者の割合が若干低かったものの、全年齢層に大きな偏りなく分布しています。

広義のひきこもり群の定義としては厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業「思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究(H19-こころ-一般-010)」で作成された「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」における次の定義を用いています。


男女比も半々

冒頭でお話したイメージのステレオタイプでは「息子」と設定してお話しましたが、実際の調査結果としてはほぼ半々、むしろイメージと裏腹に女性のひきこもりの方のほうが多いということもわかります。そこには見えずらい課題があります。性別については別記事で詳しく掘り下げています。


こちらではひきこもりの性別について統計をもとにもう少し掘り下げて考えています。知られざるひきこもりの状態にあるかたのスケールが見つかるかもしれません。

だれでも(性別など属性)いつでも(デビュー年齢)なりうる

ひきこもりの状態は、自分に関係ないだれかの困りごとではなく、未来の自分であり、親のリスクであり、配偶者、こどももだれにとっても無関係ではない社会課題であることがわかります。

リスタートできる社会体制

国内の雇用において、中卒、高校中退、職務経歴に空白があるなどストレートではないキャリアの方がひどく買いたたかれる現状があります。学歴不問の肉体労働などの雇用先自体は存在するものの、そもそもの困難さを持った人の次のステップとしては非常に乗り越えがたい障壁になる状況があるのではないでしょうか。
大学進学率が56.6%、3年以内離職率が新規大学卒就職者が31.5%ということを加味すれば、ストレーターが実は少数派という考え方もできるのではないでしょうか。

国内における令和4年の自殺者数は21,881人

なんでもかんでも北欧の社会福祉を比較対象として褒め称える福祉業界には疑問をもつものの、日本の自殺率は先進諸国のなかでもいまだに上位にあります。レールをはずれることが許されない、あるいはそう思えてしまう状態はだれしもにとって改善されるべき状態なのかもしれません。

ひきこもりには理由がある

「親がしてはいけないこと」と銘打ち「ひきこもりには理由がある」を合言葉に、いまひきこもっているひとが、いまどういう状態なのかを考えています。ひとは理由なくひきこもりません。根源的な課題解決なしに性急に回復したような状況だけを求められてしまう当事者はたくさんいらっしゃいます。その環境出力だけを達成しても予後がよくない傾向にあります。いまどういう状態なのかをきちんと考える事で、一時的な状態変化に惑わされず、いま必要なものが考えられます。
当事者にとっても、家族などの身近な伴走者にとっても、理解してほしい、一度考えてほしい内容になっています。ご一読くださいませ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?