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ひきこもりは男性のもの?

ひきこもりの状態にある方の性別は?困りごとは?なにが必要?
どんな気持ちなの?
考えていく上でまずは知ることから始めていきます。

ひきこもりに関する悩みや相談は本人から発信されることはまずありません。ひきこもりの状態にあるお子さんを持つ親御さんから始まります。

内閣府は平成21(2009)年度と平成27(2015)年度に満15歳から満39歳までを対象とした「ひきこもりの実態調査」を実施しています。
また追跡調査としての意味合いを持つ調査として平成30(2018)年度において、満40歳から満64歳までの者を対象とするひきこもりの実態調査を、「生活状況に関する調査」として実施しています。

平成30年度調査で回答者の属性について次のようにまとめています。

性別

40歳~64歳までの当事者の性別はおよそ男女半々といった状態

ひきこもりは男性のものという印象で語られることが多かった実感は支援者の立場としてもございます。親御さんからの相談も男性のお子さんに関する相談をお母さまがされに来るというのが最も多いケースでした。10代の学齢期の、不登校や復学に関する相談は男女の差は大きくなく、20代30代の就労に関する困難さや心配事などが多くなる年齢になるお子さんを持つ親御さんになると男性のお子さんに関するものが中心となっていくという印象を多くの支援者がもっていると感じます。

40~64に関しては男女半々といった状態にあるという調査結果は意外なものでした。その理由は同居者にあるかもしれません。

年齢

同居者

ここでは多くの配偶者との同居が値として見えます。
もう一歩進んだ調査が必要ですが、多くの妻・夫をもつ方がひきこもりの状態にあると答えています。
支援者もこの数字にあまり実感が伴わなかったのではないでしょうか。
ひきこもりってなに?ここで定義を再確認します。


内閣府は以下のようにひきこもりを定義しています。
調査の対象となるひきこもりの定義としては、平成27年度調査と同様、厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業「思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究(H19-こころ-一般-010)」で作成された「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」における次の定義を用いた。

様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念である。

なお、ひきこもりは原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とするが、実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性は低くないことに留意すべきである。

この定義を平成30年度調査の調査項目に当てはめひきこもり状態にある者とした。

この定義を踏まえて支援者の実感と符合する形を推論すると、当人の困り感の有無に関わらずひきこもりの状態にある専業主婦の方が多くいて、相談につながらない、支援者も見えにくいひきこもり状態の方がいらっしゃるという現実があるのではないでしょうか。
女性のひきこもり支援も少しずつ増えてきています。ひきこもり女子会、UX会議など全国的に有名な活動や支援が取り上げられる機会がありますが、この調査結果に対して十分なものではないといえるでしょう。

男性のひきこもりは母親がとても心配して、就労のこと、制度の事、医療のことなど様々な窓口を通して困りごととしてあがっていきます。一方で結婚した女性のひきこもりは困り感とスティグマのいわば損得分岐点を超えずに家庭で抱え込んでいく傾向があるのではないかと感じました。

困り感がなければ支援は不要なのか?隠れたニーズへのアウトリーチはおせっかいなのか?結論はありませんが常にアンテナを張っていて敏感に反応できる存在でありたいものです。

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