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アルマジロ

〈sketch 2017-2022〉と題した二日間の展示が終わった。会期中会場momotoseの壁に季節ごとに並べたスケッチを眺めながら、赤磐で暮らした5年間に出会った風景や人、出来事に思いを巡らせた。

この土地でたくさんの風景に出会い、スケッチをして、それを基にデザインすることができた。

「momotose」は木漏れ日、「キノワ」は醍醐桜、「sousou」は野草、「音の絵」は樹木、「QuangleWangle」は熊、「kissaco」は鳥…のように、どれもモチーフとなる風景に出会うことから全てが始まった。

スケッチとデザインを繋ぐ方法論は、元は建築芸術のデザイン手法として大学院で師から教わったものだが、この10年で色々と自分なりの工夫を加え、当初よりもよりダイレクトにスケッチで得た造形をデザインに反映させてきた。

工夫の一つに「スケッチとデザインの順序を逆にする」という物がある。

「デザインの為に風景をスケッチする」というスケッチがデザインを後追いする状況から、
「スケッチは常に行われていてそれがデザインになる」という、スケッチがデザインを先行する状況を作り出す試みである。

この順序の入れ替えにこそ、僕がここ数年テーマにしている、
「作品と暮らしを豊かにする」秘密が眠っていると思っている。

南米にオオアルマジロという動物がいる。
このアルマジロは大好きな餌を探すために、毎日せっせと大きな爪で深い穴を掘るのだが、
そのアルマジロの掘った穴の気に入った場所を、イタチや鳥などの他の動物達が、自由に住居や餌場として利用するのだそうだ。

ここで大切なことは、アルマジロは誰かに頼まれて住居や餌場を作った訳でない点である。
アルマジロはただただ自分の好きなように穴を掘って餌を探しているだけなのだ。そこにみんなの居場所が生じたのだ。

このアルマジロのスタイルにこそ答えが隠されているように思う。

アルマジロの穴は僕にとってスケッチで、誰に頼まれなくても自由気ままに風景を探しにスケッチに出かけるのである。それが時に布地になったり、音楽になったり、パッケージになったり、そのまま部屋を彩る絵になったりしてきた。まだ見ぬ展開も無数にあることだろう。

これまでも僕はアルマジロ的な作り方を直感的ながらしてきたようだが、半端なものであった。

この展示は僕がこれから本格的にアルマジロとして歩んでいく為のステートメント(宣言)なのだ。
もしも、僕の掘った穴に、あなたの居場所が見つかったのなら、とうぞ自由に使ってみて欲しいのだ。

この度は、ご来場くださった皆様、赤磐の皆さま、応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。牛窓へ行ってきます。

2022.3.7 樋口真規
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《sketch 2017-2022》樋口真規
《どろんちょな日々》どろあそび実験中・田計珠実
【日時】2022/3/4(fri)・3/5(sat) 
13時〜17時 ☆カフェ営業有り☆
【会場】momotose(赤磐市惣分19-1)
@momotose_restart_ 
※感染症対策にご協力下さい。
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