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小説『君と明日の約束を』

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連絡小説『君と明日の約束を』のノートを集めます。
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#創作

『君と明日の約束を』 連載小説 第七十二話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第七十二話 檜垣涼

檜垣涼(ひがきりょう)と申します。
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 病院のエントランスを抜け、そのまま以前の病室に行く。

 病室に近づいて、ぎょっとした。彼女の名前が書かれていなかった。慌ててメッセージを確認すると、彼女からの文章の最後に、部屋の番号が記されていた。

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『君と明日の約束を』 連載小説 第六十九話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第六十九話 檜垣涼

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「読んでみて!」

 キラキラした目をこちらに向けるその男の子の勢いに負けて、私はゆっくり一ページ目の文字を目で追っていった。

 しばらく読んで、分からない文字が来た時に顔を上げた。隣には、嬉しそうに

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『君と明日の約束を』 連載小説 第六十三話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第六十三話 檜垣涼

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 梅雨の名残か、鬱屈とした厚い雲に覆われた天気の中、僕は学校へ向かう電車に乗っていた。時間はいつでもいいけど十時ごろと言われていたのでその時間に合わせていつもより遅めの電車に乗っていた。
 他の学校

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『君と明日の約束を』 連載小説 第六十一話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第六十一話 檜垣涼

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 その単調な音に体が押しつぶされるような気持ちになる。
 みんなが何かと向き合う音のない数秒間。どんな時でも僕から目を離さないお母さんが、僕のことなんか目に入っていないみたいにお父さんに話しかけている。

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『君と明日の約束を』 連載小説 第五十九話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第五十九話 檜垣涼

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 気持ちが混乱したまま時間を過ごしていた。

 彼女に会わせる顔がないと思うのは、自分の都合のいいように解釈しているだけなのかもしれない。でも、彼女と会う資格がないことは明らかだった。

 というか

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『君と明日の約束を』 連載小説 第五十八話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第五十八話 檜垣涼

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「あ、いや……ごめん。でも本当に大丈夫だから。絶対。だから、ね、行こうよ」

 小説の話をして、楽しくなって。そんな興奮が全て彼女の体を蝕む原因になっていたという可能性は否定できない。僕が彼女の手伝

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『君と明日の約束を』 連載小説 第五十六話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第五十六話 檜垣涼

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「大丈夫だよ。経過観察しながら、手術できるタイミングまで待ってただけなんだから。だから心配しないで」

 その時、僕の背後の扉が開かれる音が耳に入った。

「日織……あら?」

 振り向くと、疲弊し

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『君と明日の約束を』 連載小説 第五十四話 檜垣涼

『君と明日の約束を』 連載小説 第五十四話 檜垣涼

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 ほっとした表情で頷いた後、彼女はとってつけたように饒舌になった。本当に、とってつけたように。

「昨日の夜頑張って書いてたら、ちょっと体調崩しちゃって、別にそれだけだよ。集中力が裏目に出ちゃったかな

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