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ワインがより面白くなる知識

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オフフレーバーを知ればワインが面白くなる-2

オフフレーバーを知ればワインが面白くなる-2

パート1に続いて2を加えました。まだもう少しあるので今後追記していきます。

アセトアルデヒド/青リンゴ、すりおろしリンゴ 青リンゴと表現すれば聞こえはよいが、酸化したワインにおける代表的なオフフレーバーです。リンゴを磨り下ろした際に、徐々に茶色く変化する際に感じる臭いと言えば、イメージしやすいかもしれないですね。ただし、シェリー酒ではこの香りをポジティブにとらえています。

 一般的なワインにお

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甲州を知るとワインが面白くなる

甲州を知るとワインが面白くなる

甲州ワインの歴史 甲州は、1000年以上前から日本に存在していたとされる日本固有のブドウ品種である。

 ワイン用ブドウであるvitis viniferaが生まれたコーカサス地方(黒海とカスピ海に挟まれた地域)からシルクロードを経て、中国を経由して日本にもたらされたとされる。中国を経由する際に、中国に在来する野生種のブドウvitis davidiiと交雑したあと、vitis viniferaと交配

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ストローワイン(Straw wine)に挑戦してみた

ストローワイン(Straw wine)に挑戦してみた

2020年ヴィンテージの仕込みが終わり、あっという間に2021年を迎えた。

しばらくさぼっていた筆をとり、今年新しく始めた仕込みを紹介しながら、振り返ろうと思う。

2020年は大きく世の中がかわり、必ず歴史に残るヴィンテージとなると考える。もちろんそれはブドウの品質が素晴らしいという理由から稀に言われる、偉大なヴィンテージというわけではない。

数年後、もしかすると数十年後も2020年をラベル

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オフフレーバーを知るとワインが面白くなる-1

オフフレーバーを知るとワインが面白くなる-1

過去にブドウ品種毎の特徴香、どちらかというとワインにとってポジティブな香りについてまとめました。もし、興味が有る方がいらっしゃいましたら以下のリンクから見て頂ければと思います。

今回は、ネガティブな香りに関して、1つ1つ説明していきたいと思います。

IBMP/ピーマン、ベジタルワインをテスティングするときに出会う、ベジタブルといった表現をさせる、この青臭い香りはメトキシピラジン(3‐Alkyl

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ロゼワインのことを知るともっとワインが面白くなる

ロゼワインのことを知るともっとワインが面白くなる

世界的に消費が伸びており、日本でも少しずつではあるが露出が増えているロゼワイン。2014年のデータによると、世界合計のロゼワイン生産量は2,430,000KLであり、ワイン全体の9.6%とのことである(スパークリングワインはのぞく)。

ワイン全体の9.6%と聞くと、まだまだマイナーな印象を受けるが、私が留学時代に過ごしたフランスは、世界最大のロゼワイン生産国であり、消費国でもあることもあった。

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酵母のことを知るとワインが面白くなる-2

酵母のことを知るとワインが面白くなる-2

 ブドウ果実には多種多様な酵母が存在する。そのうちの約1%以下がSaccharomyces酵母にあたる。彼らは、アルコール発酵という過酷な環境の中で生存競争の結果、当初99%を占めたnon-Saccharomyces酵母を駆逐し、その存在比を逆転する。

 もちろん、同じSaccharomyces酵母の中でも熾烈な争いが行われ、最初は多様な菌株が存在したとしても、生き残るのは1から3菌株程度である

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酵母のことを知るとよりワインが面白くなる-1

酵母のことを知るとよりワインが面白くなる-1

 酵母は、我々人間を含む動物、植物と同じように細胞の中に核を持つ真核生物の1つである。我々と違うところは、生活の大部分を1つの細胞だけで過ごしているところである。

 我々は、彼らの性質を利用し、パン生地をふくらませたり、ビールやワイン、日本酒などの醸造酒を製造するために糖分からアルコールを作らせている。

 例えば、ワインの歴史を振り返ると、紀元前5000年頃には東欧、現在のジョージアのあたりで

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ブドウの花が咲く季節

ブドウの花が咲く季節

 山梨県ではいよいよ甲州ブドウの花が咲きはじめ、畑の中は甘い香りでいっぱいだ。花見をするには、あまりに小さく可憐であるため、見所は少ないブドウの花ではあるが、バラに似た甘い芳香があり、畑の中にいるとちょっとした天然のアロマテラピーを受けているような感覚になり、癒される。

 この香りは、主に「花粉」から発せられる。花は一般にこの花粉由来の甘い香りでミツバチなどの昆虫を呼び寄せ、花粉の伝搬を手伝って

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ブドウ品種の親、兄弟を知るとワインがより面白くなる

ブドウ品種の親、兄弟を知るとワインがより面白くなる

 ブドウは、世界中で栽培されている農作物であり、その栽培面積は約8,000,000haに及ぶ。その多くがワイン用とされ、他には生食用のフルーツ、レーズン、ジュース、蒸留酒用に使われている。

 そのうち、いわゆるヨーロッパブドウは、黒海及びカスピ海沿岸に由来し、野生種であるVitis vinifera subsp.sylvestrisから、栽培種であるVitis vinifera subsp. v

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ブドウ品種とその特徴香を知るとワインがより面白くなる

ブドウ品種とその特徴香を知るとワインがより面白くなる


ソーヴィニヨン・ブラン/4MMP/ 猫のおしっこ ソーヴィニヨン・ブランというフランス原産の白ワイン用ブドウ品種がある。このブドウ品種は、近年フランスだけではなく南アフリカ、チリ、ニュージーランド、アメリカなど、世界的に栽培が広まっており、日本でもワインが作られ始めている。全世界で121,000ha栽培され、醸造用ブドウ品種としては世界第8位(2015年OIV)。

 このブドウ品種から作ったワ

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