心のモヤモヤを解消する「カエラメソッド」

モヤモヤするのは頭なのだろうか心なのだろうか。頭がうまくまわらなくて、心がモヤモヤするような気もする。頭がまわっていないというのは、思考がループしている状態なのだと思う。どうしよう。さて、どうしよう。ここから先に進めない。考えているようで、思考が表面上をすべっていく感じ。僕は自分が強い人間ではないことを自覚しているから、自分の心を観察するようにしている。あ、いまモヤモヤしているなと気がつく。そうしたらはやめに対処する。その対処法というのは頭の中をそのまま書き出すというもの。

もうずいぶん以前のことになるが、NHKの番組のゲストとして歌手の木村カエラが出演していた。彼女は悩み事があるときには、自分の思いを誰かに手紙を書くように書きつづるのだそうだ。そうしているうちに答えにたどり着くと言う。僕も以前から同じようなことをしていて、その手法に名前をつけたりはしていなかったのだけど、この番組を見てからは「カエラメソッド」と呼ぶようになった。意識せずに同じことをしている人は多いんじゃないかと思う。書くのではなく、ぬいぐるみにしゃべりかけるというのも近い行為と言えるかもしれない。

たぶん木村カエラはその手紙を手書きで書いているのではないかと思う。僕の場合はパソコンに慣れていてタイピングに心地よさを感じるので、キーボードを使って書きつづるようにしている。さらにヘッドホンでアンビエント系のBGMを流すこともある。このときにタイピングに合わせてタイプライターのタイプ音を出してくれるアプリもあり、このアプリを使うといっそうキーをたたくのが心地よくなる。もちろんそのような環境がないときには、ふつうにメモ帳にテキスト入力していくのだけど、それだけでも十分に効果はある。

やり方としては、シンプルに頭に浮かんだことをすべて書き出していくというだけ。誤字脱字や文法はもちろん論理的なつながりなど細かいことは気にせずに、どんどん書いていく。これだけで思考がループするのを防ぐことができる。思考が前に進んでいくのを感じる。その中でも自問自答をするのが効果的だ。どうしよう?こういうのはどう?それはいいかもしれない。という具合に、自分で思いついた問いに自分で答える。完璧でなくても構わない、とにかく思いつきをすべて書き出すということに注力する。

書き続けていくと、ふと答えが見える瞬間がある。ポイントは答えを出すために書くのではなくて、ただ書いていると思考が前に進んで偶然答えらしきものに出くわすということだ。そこまできたら、具体的なアクションに落とし込む。明日の朝、誰々さんに何々について聞いてみる。という具合に実現可能なアクションが書けたら大成功。もちろん、いつも具体的なアクションにまでたどり着けるわけではないけれど、それでもなんとなく頭と心がスッキリしたら、それで十分だと思う。

カエラメソッドのポイントは視点を変えることにあると思っている。木村カエラは「誰か」に手紙を書くように書きつづっていくし、僕は自問自答の形式になるように誘導していく。これはコーチングやファシリテーションをひとりでやっている感覚なのかなという気がする。もうひとりの自分がモヤモヤした自分を導いていく感じ。コーチングには「答えは相手の中にある」という基本原則がある。これをひとりでやっているから「答えは自分の中にある」と言い換えられるだろう。自分の中にある答えを引き出す手段が、書くという行為なのだと思う。

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