野球選手に関わる上で必要な "肩関節エコー"
C-I Baseballの小林弘幸です。
元NPBチームドクターのスポーツDrと一緒にエコーを用いて、
選手の病態を理解し障害の原因追及、症状改善を大切にしています。
投球障害の原因は多岐にわたり、非常に難しいです。
しかし、皆様に少しでも自分の考えを共有していただき、
ご意見をいただきながら、現場の選手に少しでも還元できたら
うれしく思います!
CIB第2期後半では、
【野球選手に関わる上で必要なエコー】
ということで記事を書かせていただきます。
というのも、
私が運動器エコーと出会って一番良かったなと思うところは、
【筋骨格の断面解剖】と【神経の走行】の理解がしやすいと思ったからです。
ということで、小林が担当する、
野球選手に関わる上で必要なエコー編の記事(予定)です↓↓↓
これらの記事を通じて、
臨床の基礎になっていただけたらと思っております。
そして、
様々なご意見をいただけたらと思います!
●野球選手に関わる上で必要な "肩関節エコー"
■はじめに
肩関節は、大きな自由度を持ち解剖学的に非常に複雑な構造をしています。
さらに、投球障害肩ではいわゆる『レントゲン』で撮影しても
診断に役立つ情報が得られることが少ないです。
そのため、
軟部組織の影響が大きく関与すると考えられます。
そこで、【運動器エコー】が必要になってくると考えています。
いわゆる、
軟部組織に対するアプローチでは、運動器エコーを用いて、
実際に自分が触っている筋・神経をしっかりと確認する必要があります。
ただ、アプローチするにあたり、
なぜ、その筋の動きが悪くなっているのか、
それを考察してからアプローチしなければなりません。
運動器エコーでは、
プローブで当てている部分しか観察できません。
それ以外の部分は、評価治療の対象にならないので、
十分に考察し、
その上で、
軟部組織に対してアプローチしていきます。
■肩甲上腕関節の筋
肩甲上腕関節の評価と
タイトネスの関係を以下に示します。
各肢位で関節可動域をチェックしてから
エコーでの軟部組織チェックを行います。
また、
関節包の支配神経も覚えておくと、治療の解釈に役立つと思います。
なぜ、肩の前方が痛いのか?
その場合は、
外側胸筋神経もしくは、肩甲下神経領域に他の症状がないのか?
そのような思考過程で
解釈へと結び付けられると良いかと思います。
|棘上筋
①支配神経:肩甲上神経
支配神経はC5~6になります。
上神経幹へ入り込んだ神経は、
その後すぐ分岐します。
分岐した後、
前鋸筋と僧帽筋の間を通って、棘上筋の前方から
棘上筋の深層へ入り込み、
棘下切痕から棘下筋深層へ走行します。
②エコー画像
棘上筋表層に長軸でプローブを当てて、
肩甲切痕に肩甲上神経を描出します。
その後、棘上筋短軸にしてそのまま中枢へプローブを走査します。
そうすると、
棘上筋の前方へ肩甲上神経が走行するのが観察できます。
徒手療法を行うとしたら、
棘上筋・僧帽筋・前鋸筋 間にある肩甲上神経を
アプローチします。
神経周囲は疎性結合組織が多く存在するため、
その部位に対して徒手療法を施していきます。
③エコー動画
|棘下筋
①支配神経:肩甲上神経
支配神経はC5~6になります。
上神経幹へ入り込んだ神経は、
その後すぐ分岐します。
分岐した後、
前鋸筋と僧帽筋の間を通って、棘上筋の前方から
棘上筋の深層へ入り込み、
棘下切痕から棘下筋深層へ走行します。
②エコー動画
肩甲切痕部に肩甲上神経が存在するのがわかります。
棘下筋の深層にある肩甲上神経は、
棘下筋下脂肪体に包まれています。
最終域まで外旋していくと、
脂肪体が動いて、肩甲上神経周囲の動きも改善します。
|肩甲下筋
①支配神経:(上)肩甲下神経
支配神経はC5~6になります。
後神経束から肩甲下神経は肩甲下筋表層で3本分岐します。
そのうち、上肩甲下神経は肩甲下筋へと分岐します。
分岐した後、
上肩甲下神経は肩甲下筋上で収束します。
肩甲骨内側に肩甲下神経は存在するので、
エコーでは非常に観察しにくいです。
位置関係を理解しつつ、
プローブ走査をすることが大切です。
②エコー画像
腋窩から、骨頭と肩甲下窩が同時に観察できる位置で
肩甲下筋表層に肩甲下神経が走行する層が観察できます。
上・中・下の肩甲下神経を分別するには、
後神経束から分岐する部分を3本の神経を観察するか
中・下の肩甲下神経を尾側まで観察していくかの
どちらかで判別すると良いかと思います。
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