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より良いものを作るために、チームで戦う。病院版導入の裏話|ヘンリーという組織を紐解く

株式会社ヘンリーは、「社会課題を解決し続け、より良いセカイを創る」というMissionのもと、クリニック・中小病院向けの基幹システムであるクラウド型電子カルテ・レセプトシステム「Henry」を開発・展開しています。

ヘンリーは2023年2月22日に、中小病院向け「Henry」を正式リリースしました(詳しくはこちら)。今回は、病院版導入第1号である正幸会病院様のプロジェクトをリードした、プロダクトマネージャー(PM)永田健人さんと、カスタマーサクセス(CS)山本拓也さんのお2人にお話を伺いました。

新たなシステムの開発や医療機関への導入には、チームでの連携・協力が欠かせません。チームで連携を図る際に必要なことや、ヘンリーが大切にしている価値観について、プロジェクトの裏話とともに紐解いていきます。

病院版導入第1号プロジェクトの流れとは


─ 正幸会病院様のプロジェクトは、病院版「Henry」の導入第1号と伺っています。お2人はどのタイミングからプロジェクトに参加されていたのですか?

永田:私はヘンリーに2022年4月頃入社して、このプロジェクトには2022年の6~7月頃から参加しました。

その時点で病院版「Henry」のコアな機能は作ってあり、別病院様で一部導入が進んでいました。でも、製品としてはまだまだ不足するところが多かったので、そこを改めて作りましょう、というタイミングから参加したような形です。

山本:私は2022年7月に入社して、このプロジェクトには8月末くらいから参加しました。病院版「Henry」に足りていないところを、改めて要件定義やヒアリングして諸々の準備を進めて、2023年1月に無事導入できた、というのがプロジェクトの大きな流れです。

─ お2人がこのプロジェクトにおいて行ってこられた、具体的な業務について教えてください。

病院導入プロジェクトについて語る山本さん

山本:私はカスタマーサクセスとして、お客様との前線に立つポジションにいました。エンジニアが開発したものをお客様に説明したり、お客様の具体的な運用フロー確認と、プロダクトの要件を定めるための情報収集フォローをしたり、というのが具体的な業務です。

また、電子カルテ導入にあたって必要なシステム連携やアカウント設定などの準備、使い方のトレーニングといったフォローを含めて、お客様とのやり取り全般を担当していました。

永田:私は12月途中までソフトウェアエンジニアとしてコードを書いていて、最後の方はPMとしてプロダクトマネジメントをやっていました。たとえば要求仕様を詰める、UIデザインをデザイナーと一緒に詰める、といったところですね。正幸会病院様の現場に行ってワークフローを把握して仕様に落とし込む、という作業をしていました。

─ お2人とも現場に行ってヒアリングをされてきたと伺っていますが、どのようなやり取りをされるのですか?

病院導入プロジェクトについて語る永田さん

永田:「そもそもどういうものがないと運用が回らないのか」「業務として一番コアな部分はどこか」「実際の運用フローは?」など、把握しておかないと製品に落とし込めない部分のヒアリングを重ねました。

山本:現場では、非常に細かい部分まで仕様を確認していきます。そうした直接的なヒアリングを行うことで、よりスピード感を持った開発が可能になるのではないかと思っています。

密なコミュニケーションでチーム連携を図る

─ プロジェクトを進める中で、エンジニアチームとCSチームはどのように連携されていましたか?

山本:私はお客様の要望をヒアリングして、永田さんは開発スケジュールのマネジメントをされていたので、コミュニケーションを取りながら導入に間に合うように連携を図っていました。

開発する機能と現場の運用フローと照らし合わせて、重要なところは優先度を上げ、反対に初期では重要度が高くないところは優先順位を落とす、という調整が主なところですね。

─ チームで連携を図る上で、大切にされていたことはありますか?

山本:当たり前のことですが、コミュニケーションを密にすることです。私はCS側の所属ですが、プロジェクトの途中からはエンジニア側のミーティングにも参加するようにしたんです。そのおかげで、お互いに情報伝達の漏れが無くなりました。

あと、お客様が本当に求めているものは何かを読み解くのも重要ですね。「こういうツールが欲しい」と言われたときに、そのままエンジニアに伝えるのではなくて、「それによって何を解決したいのか?」というところまで探っていく必要があります。そこが難しくて苦労するポイントでもありました。

─ お客様の持つ“真のニーズ”を探っていかないと、開発工数も増えるしうまくいかなくなる、ということですね。

永田:そうですね。だからこそエンジニアとCSが連携して、お客様の運用フローを加味しながら実際の課題を整理しなければならないのですが、なかなか難しいところでした。

─ では、その難しさに対処するために今後必要なこととは何でしょう?

永田:1つは要求仕様とフローの確認を、機能を実装するよりもっと早い段階で行って検証することですかね。長い開発期間をかけて実装したのに「なんか違うな」となると、お客様の満足度にもつながらないですし……そうならないために改善できるポイントは、まだまだあると思っています。

山本:仕様の確認やテストケースの洗い出しをもっと早い段階でできるように、開発フローを作り込むことが必要なのかもしれませんね。そうすると、結果的に出し戻しも減って、導入後すぐお客様の満足につなげることができるかなと感じています。

永田:製品としてチャレンジしていく部分ももちろんある程度ありますが、コアな部分は着実に作っていかなければなりません。そのために検討すべきポイントはどこなのか、把握しながら進めていく余裕を持つのが第一なのだと思います。

─ エンジニアチームとCSチームで連携を取っていく中で、「このやり方は良かったな」と思われる部分はありましたか?

山本:ミーティングに参加して日次でのコミュニケーション頻度を上げたこともそうですし、正幸会病院様の現場へ行くとき、最後の方は永田さんにも積極的に同行していただいたのも良かったですね。

一緒に現場へ行ってその場で話して決めることができたのは、開発のスピードアップにもつながりました。

プロジェクトを振り返ると、得たものも課題もある

─ 病院版としては初めてだった「Henry」の導入について、正幸会病院様からの評価はいかがでしたか?

病院導入プロジェクトを振り返る山本さん

山本:もちろん課題や今後やっていかなければならない部分はありますが、嬉しいお声もたくさんいただきました。

例を挙げると、「オンプレミス型より機能の制約がなくなり、業務が改善された」「待ち時間や再入力の時間ロスがなくなった」「直感的に使えるUIなので、すぐに慣れた」「開発のスピードやサポート体制がしっかりしていて、不安が解消された」と言っていただいています。

また、「Henry」は医師・看護師間の情報共有がワンクリックで容易にできるようになっています。より横断的な情報をもとにした診療・治療を可能にするので、「Henry」の導入は、正幸会病院様における医療の質向上にもつながっているのではないでしょうか。

─ このプロジェクトを経て、改善していかなければならないと感じたポイントはありますか?

山本:レセコン一体型の電子カルテを作るのって、一般的なプロジェクトよりも重層的かつ広範囲でヘビーなんですね。ゆえにコアな機能を一つひとつ時間をかけながら作っているのですが、一方で医療現場側からは「もっとこうしてほしい」という改善要望も上がってくるんです。

そのご要望に対して素早く対応していきたいとは思いつつ、コアな機能を開発していく上でやるとなかなかスピード感が出せない、という課題があります。そこが改善できれば、お客様の満足度もより高まっていくでしょうね。

永田:そのあたりのスケジュール調整は苦労しましたね……。たとえばですが、全社的に判断の基準となる方針みたいなものがあれば、もう少しやりやすくなるのかもしれません。「こういう基準があるから、我々はこう進みます」と示せるものがあればいいのかなと。その辺りは、自分が進んでやっていくべきポイントでもあると認識しています。

─ ここまでのお話でも難しかった・苦労した部分はいくつか挙げられていましたが、特に苦労したポイントについて教えてください。

山本:開発しながらの案件でプロダクトが出来上がっていないので、スケジュール管理が特に難しかったですね。予定より開発が遅れると、開発状況を踏まえてお客様にご説明する必要があるので、調整しなければならない部分が出てくるんです。

永田:私としては、どこまで作り込んでいくのか、というスコープを調整するのが一番苦労しました。理想とするものをすべて盛り込むと作り上げるのに何年もかかってしまうので、現実的なラインに落とし込んで運用もきちんと回るようにして、という調整が大変でした。

─ 今後、製品自体のブラッシュアップや開発をよりスムーズに行うためには、何が必要なのでしょうか。

山本:お客様からいただく大小さまざまな改善要望に対して、「どの医療機関でも使えるものか」「業務にどれくらい支障が出るのか」を加味して、優先度を見極めることがすごく重要だと感じています。それが結果としてお客様の満足度を上げる近道になると思うので。

永田:よりコアな部分は何なのか、他の医療機関でも使っていただく上で必要な機能は何か、と判断する必要がありますよね。

医療機関によって診療の方法も変わってきますし、ワークフローも異なるので、求められる機能も結構違うんです。正幸会病院様ではまだ必要ないけど、我々のターゲットにとっては必要な機能もまだあります。そこを先にやっていかなければならないですね。

─ チームとして、今後やっていかなければならないと感じていることは何ですか?

病院導入プロジェクトを振り返る永田さん

永田:お客様の現場での運用ルールを「ビジネスルール」と呼んでいるのですが、そのビジネスルールをドキュメンテーションして蓄積していきたいですね。後々に仕様変更を検討する際にもスムーズになるので、「この仕様や機能はどんな運用フローに基づいて作られたのか」をもっとまとめていけると、より良いかなと思っています。

山本:私も同じ意見です。現状、ヒアリングしたビジネスルールを修正・改訂したときのログも管理しきれていないので、管理する仕組み作りからやっていく必要があります。そこはCSと開発側で協力して作っていけるといいですね。

社会課題の解決に取り組み、日本の医療を変えていく

─ それを踏まえて、今後のヘンリーに必要な“人”のイメージはありますか?

永田:まさに現場の一次情報をまとめたり、お客様が持っている課題を具体的にしていく掘り下げだったり、そういったところを現場でどんどんやっていけるようなメンバーが必要だなと感じますね。

山本:そうですね。とは言えヘンリーはスタートアップですし、プロダクトもまだまだ100%のものが作れているわけではありません。それでもお客様には満足して使っていただきたい。そのために、運用方法を考えご提案するなど、お客様に喜んでいただくためのアイディアを出し合えるといいなと思います。

プロジェクトをやりぬく責任感を持ったメンバーが1人でも多くいると、チームとしても心強いですね。

─ ヘンリーが組織として大切にしている考え方について教えてください。

永田:私たちは、今業界にあるプロセスや運用フローをそのままトレースして製品を作りたいわけではないんですよね。なので、今はこうだけどこっちの方がいいよね、と考えて追いかけていく“理想駆動”を心がけています。

山本:スピード感を持つためにとにかくすぐ開発して、社内外含めてアウトプットもすぐ出してフィードバックして、という積み重ねも大事にしていて、これは“爆速アウトプット”と表現しています。お客様から言われたことや、自分が思っていることを率直に言い合える“ドオープンな”風土も、同じようにヘンリーの中で大切に持っている部分です。

─ ありがとうございます。最後に、ヘンリーに興味をお持ちの方へメッセージをお願いします!

永田:医療業界に携わったことがない方だと、やっていけるのか不安に思われるかもしれませんが、私はむしろ医療業界が初めての方にどんどん飛び込んできてほしいなと考えています。

私自身もそうなのですが、複雑な課題に対して諦めるのではなく解き甲斐があるなとワクワクするような方なら、きっとヘンリーでのお仕事も楽しめると思います。一緒に医療の世界を変えていきましょう!

山本:医療の分野は、日本における社会課題の一丁目一番地です。少子高齢化に伴う医療従事者不足や社会保障費の増大をはじめ、数多くの課題を抱えています。その社会課題の解決に取り組むヘンリーは、日本、さらには他の国まで変えていけるポテンシャルがあると感じています。

私は医療業界未経験でヘンリーに飛び込みましたが、日々学びながら業務に取り組むことができています。ビジョンに対してしっかり向き合おうという意思さえあれば、医療業界の知識が無い状態から入っても、問題なく追いつけると思います。

なので、ヘンリーが挑む社会課題やミッションに共感いただける方は、あまりバックグラウンドについて心配せず飛び込んできて欲しいです。お待ちしています!

インタビュー:鶴留彩花


ヘンリーでは、さらなる成長に向けて採用も積極的に行っています。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。