見出し画像

医療SaaSで市場を変える。鍵は「顧客の成功」へのフォーカス|開発 執行役員インタビュー

株式会社ヘンリーは、「社会課題を解決し続け、より良いセカイを創る」というMissionのもと、中小病院向けの基幹システムであるクラウド型電子カルテ・レセプトシステム「Henry」を開発・展開しています。

今回お話を伺ったのは、PdM(プロダクトマネジャー)としてレセプトサービス開発を推進する植村優一さんです。

植村さんは、23年8月からプロダクト開発チーム全体の執行役員にも就任しました。そこで「Henry」のプロダクトだけでなく、事業の魅力や市場のポテンシャル、そして組織風土など様々な観点でお話を伺いました。

植村さんのプロフィールはこちら

プロダクト開発の執行役員に就任


— 現在のお仕事内容を教えてください。

一般的に「PdM(プロダクトマネジャー)」と呼ばれる役割を担っています。

ヘンリーは、主に医師向けの「電子カルテ・オーダリング」システムと、医療事務担当者向けの「レセプトコンピューター(レセコン)」システムを一体型で提供しています。私のメインの仕事はレセコン側のPdMです。

ー 今は「電子カルテ・オーダリング」と「レセコン」の2つの開発チームが存在するんですね。

はい。ですが、「Henry」はオーダリング・レセコン一体型のクラウド電子カルテのため、両チームの連携は必要不可欠です。以前は、共同代表である逆瀬川さんがプロダクト全体の責任者を務めていましたが、そのロールを私が引き継ぎ、23年8月からプロダクト開発チーム全体の執行役員に就任しました。

加えて、ボトムアップで立ち上がったばかりですが、開発領域を横串で繋ぐCTO室の管掌も行う予定です。立ち上げを推進したテックリードの意思を尊重しつつ、開発に経営戦略の観点を加えることで、プロダクトの提供価値をさらに高めていきたいです。

市場全体を変えられるポテンシャル

ヘンリーの事業について語る植村さん

— 植村さんは医療業界未経験でジョインしたと伺いました。ヘンリーが向き合う市場のポテンシャルをどう見ていますか?

市場の伸びしろは十分です。

クリニック向け電子カルテ市場は、大手メーカーやベンチャーが10年以上競争を続けていますが、今後ヘンリーが注力する中小病院向け市場はまだまだブルーオーシャン。20〜30年前から一部大手の寡占状態に近く、新規参入はほぼありません。

特に、病院別の作り込みを抑えながら、SaaSで横展開する事業は皆無です。ゆえに、機能面と導入面における最適な「型」が見つかれば、市場全体が一気に変化する可能性すらあります。ヘンリーはそのポジションを狙います。

— 新参者としてチャレンジする上で障壁になりそうな部分はどこですか?

それは、これまで新規参入が少なかった理由と重なります。

適切な価格で顧客ニーズに合致したサービスを開発する難易度がそもそも高いことに加え、病院のIT化の推進が他業界と比べて遅れてしまっている現状も無視できません。後者に関しては、国ごとに診療報酬制度が異なるため、グローバル市場で圧勝するITサービスが生まれづらかった業界特有の要因も多分に影響しているでしょう。

— 病院のIT化を考慮しないと、せっかく搭載した機能が活用されない場合も出てきそうです。

その通りです。電子カルテやレセコンは、中小病院で数十人、大病院では三桁を超える人々が日々触るような、いわば一企業の基幹システムです。そのため、院内のIT化の推進度合いによっては、せっかくご導入いただいても、医療従事者の皆さんが物理的にシステムに触れられない場合も考えられます。

他にも、もし現場の方々が業務のデジタル化に伴う心理的な抵抗感を抱いていれば、搭載機能が十分に活用されないケースもありうるでしょう。

そのため、医療現場のIT化への温度感も踏まえた上での開発が求められます。これは簡単ではありません。しかし、国内でこの規模のIT化に今チャレンジできる市場は、医療業界くらいではないでしょうか。

組織全体で「大事なこと」に立ち返る


ー プロダクト開発では今はどんなことに注力していますか?

病院には「療養型」や「急性期」など種類がいくつかあり、それによって診療報酬の点数の計算方法やシステムに必要な機能が異なります。そのため、「Henry」が対応可能な病院のカバレッジを広げてゆくために、新たな機能をどんどん開発する必要があります。

また、「Henry」を病院内の医療機器や関連システムと繋がるハブのような業務システムに育てようと思うと、市場に存在する数十~数百種類の既存システムとの連携も必要です。もし、Slackのプラグインのような横連携が可能なエコシステムが作れたら、きっと市場規模で大きなインパクトを生み出せるはずです。

要するに、目指すべき場所への道程の全体像すら今はまだ見えづらいほど、課題は山積みですが、やり遂げられるようプロダクト開発力とリサーチ力を高めながら開発を進めています。

ー 植村さんから見たヘンリーの事業やプロダクトの魅力は?

一つは、マネタイズの「コア」がシンプルな点です。

例えば医療や金融業界などでは、ユーザー体験やユーザー自身の業務の改善に直接関わらない場所でマネタイズするサービスが数多く存在します。そういったモデルだからこそ顧客に広く届けられる場合がある一方で、ビジネスのコアエンジンが実際にサービスを使うユーザーと乖離しすぎると、「顧客の課題をどう解決するか?」という視点が徐々に抜け落ちる恐れがあります。

その点、ヘンリーは医療従事者の皆さんの業務改善にフォーカスすることが、ビジネス観点でもプロダクト観点でも最重要。いわば、「カスタマーサクセス」こそ「コア」です。顧客の課題解決に経営も現場も真っ直ぐ向きあえるため、シンプルな事業判断が下されやすい環境です。

ー 組織によっては、事業判断の基準が知らぬ間に複雑化する場合もありますよね。

部署間の利害関係が複雑化すると、それぞれが自身の担当領域の立場から主張して、互いに協調できなくなるケースもありますよね。

ヘンリーでは「病院で働く方々の業務を楽にする」ことを目下のゴールとして全員の視点が揃っているため、チーム間の意見がぶつかった際も「結局、顧客にとって大事なことは何か?」という問いに立ち返り、顧客の成功に必要な選択ができているように思います。こうやって「全員が同じ方を向く」ことは、組織で楽しく働くために一番大事なことだと私自身は感じています。

バリューを体現する経営と現場

ー ヘンリーの組織風土の特徴を教えてください。

23年4月からジョインしましたが、経営層が社員を信じており、オープンな社風だと感じました。経営会議の動画が全社員に共有されたり、互いに率直なフィードバックを伝え合ったり、バリューの一つの「ドオープン」を体現した組織です。

ヘンリーは共同創業なので、もともと経営者同士が互いに情報をオープンにする慣習があったそうです。そういった背景から、自然と今の組織風土が出来上がったように思います。

ー 働く人たちの共通点はありますか?

エンジニアで言えば、サービスをより良くすることに意識が向いている方ばかりですね。バリューである「理想駆動」「爆速アウトプット」「ドオープン」の名の通り、目指すべき理想に近づこうと、出力を上げながら切磋琢磨する人が多いように思います。

ー 植村さんから見た組織面の次なるチャレンジは何でしょうか?

顧客と接点を有するチームを後方支援する「イケてるバックオフィスチーム」づくりでしょうか。

ヘンリーが今後拡大を目指す上で、バックオフィスに関して単にルールを強化したり、効率化したり、堅く運用すればよいわけではありません。最優先はお客様の成功で、それを見据えながらリスクとリワードを天秤にかけ、前向きな課題解決を行えるバックオフィスづくりが求められます。

もちろん、言うは易し、行うは難しです。しかし、競争優位性のある組織になるために解くべき課題だと感じます。

大病院よりも中小病院のIT化が進んでいる世界

ヘンリーの組織について語る植村さん

ー 植村さんの今後の展望を教えてください。

現時点では、電子カルテやその他システムに関しては大病院の方が高度化が進んでます。他業界では、大企業ほどIT化が遅れている事例も多いのですが、医療業界はそうではありません。しかし3年後ぐらいには中小病院の方がむしろ進歩している、そんな世界を想像するとワクワクしますね。SaaSならそういった世界も実現可能だと思うんです。

ー 最後に、植村さんが今後一緒に働きたい人は?

経営やプロダクトの方針が見えているため、必要な機能を作り、問題があれば改善する、この営みをただひたすら愚直に行える開発チームになっていきたいと考えています。そのため、業務をシステムにいかに落とし込むかに関心を持つエンジニアの方と一緒に働きたいですね。拡充できる形でよいプロダクトを作り続けるのがSaaSビジネスの本丸としたら、そういうチームになることは表に出づらいですが、たしかな競争優位性になるはずです。

あるいは、理想を抱き医療市場で奮闘しているけれど、業界の様々な制約によって実現できないフラストレーションが溜まっている方も大歓迎です。ヘンリーはIT技術に強い人たちは揃いつつあるのですが、医療ドメインの知見の蓄積は今後より進めていきたい部分。「技術やプロダクトをコアに医療業界を変えたいんだ」という方ともぜひ一緒に理想の実現に向かって仕事をしたいです。

インタビュー:中田 達大


ヘンリーでは、さらなる成長に向けて採用も積極的に行っています。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽にご連絡ください😄

全体の採用ページはこちら💁


この記事が参加している募集

PMの仕事