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アインシュタインとフロイトの文通から戦争を知らないおじさんが戦争を考える

Voicyで紹介されていた書籍「ひとはなぜ戦争をするのか」
(Aアインシュタイン/Sフロイト/訳 浅見昇吾)を購読
*誤解を生まないよう、この投稿ではウクライナ問題や日本の
 防衛問題等、現実に議論されている事象については触れません

アインシュタインとフロイトが書簡?

まずそのインパクトが大きい。

1932年、国際連盟の依頼に基づきアインシュタインが
テーマと書簡の相手を選ぶところから始まる
つまり「戦争」テーマも書簡相手のフロイトを選んだのも
アインシュタインである

さて、楽しみにして読むと、、、

67頁しかない、短い笑


そもそも手紙だから十分な長さと言えるが・・・そして、

解説の方が長い(^^♪


全143頁の半分以上が2名(養老孟司/齋藤環)の解説文

特に斎藤環氏の解説はやや難解なフロイト書簡を整理し、

最初からこれだけ読めばいいじゃん笑

くらいのわかりやすい説明であった

さて、本題のテーマは

人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?


アインシュタインがフロイトに手紙で問うた内容である
くびきって難しい言葉だな💦

解説で養老孟司氏が語るように、この書簡では戦争の前提と
なる議論はされていない

政治情勢・人口増加・情報やIT技術の進化

が、アインシュタインも戦争に大きな影響を与えるこの要素は
理解していたはずで、あえて「人間が戦争を起こしてしまう心理」
に焦点をあてて議論を試みたのであろう
(インターネット技術をどこまで予見していたかは不明だが)

アインシュタインは問う

人間はそもそも、憎悪に駆られ相手を絶滅させようとする
攻撃的本性を持つ
憎悪と破壊という心の病に冒されないようにすることは
できるのか?

それに対し、フロイトは全面的に賛同する、そして続ける

人間は2つのベクトルをもつ
①生の欲動(エロス)
②死の欲動=破壊欲動(タナトス)

②で戦争が起こるのかというと、必ずしもそうではなく、
①と②の相互作用によっても発生すると説明する。
(●●の命を守るために、悪い〇〇をやっつける的な)
そして「平和のための戦争」を否定していない
(ex ローマの平和)

で、正直なところ、こう思った

結局何なの?

全体にまどろこしく、歯切れが悪い。
当時の世界情勢(後に第2次世界大戦が勃発)による緊張感が背景か?

そしてフロイトは次のように宣言する

文化の発展を促せば戦争終焉に向けて歩みだせる

これも最初は「なんだかな~」という感じであったが、解説文の
方が腹落ちした

文化はヒトの心と身体を変化させていく(養老氏)

文化の目的である個人主義(=平和主義)が戦争を 生理的レベルで拒絶する(齋藤氏)


そう、世界的に見て人類の文化レベルはまだまだ低い
ただし、この書簡では結論と言える結論に到達していないし、
文化レベルを上げるということが解決策だとすれば、
果てしない感があるのも事実である
現段階での自分の考えとしては、答えを求めるのではなく、
歴史やこのような文献から学んだことを基に考え続けること
大切である
それも「文化」であるはずだ


▼ 以下、全体の要約 ▼

🔸アインシュタイン
・人間の本能的欲求ー憎悪に駆られ相手を絶滅させようとする欲求
 (攻撃的本性) →憎悪と破壊という心の病に冒されないようできるか?
🔸フロイト
・本能的欲求=破壊欲動(死の欲動)
 より以前の状態に戻ろうとする”退行”した時に現れやすい
・戦争は必ずしも悪ではない(平和のための戦争;ローマの平和)
・戦争をなくす方法→生の欲動(エロス)に訴える
 ①感情の絆をつくりだす(相互理解)
  一体感、帰属意識ー相手の身になって考える
 ②文化の力
  ー欲動の発動を抑える(個人主義)
🔹ヒトと戦争(養老孟;解説)
・文化はヒトの心と身体を変化させていく
・書簡で扱われていないもの
 政治情勢/人口増加/情報・IT技術
 IT技術により「自然にできる」から「アルゴリズムに従って作られる」
 社会へ
・現代のテロー政治問題ではない
 新しい社会システムに対する抵抗
・現代社会ー自然発生的な社会システムとアルゴリズムで創られていく
 社会システムの拮抗
 その上にある将来の社会システムにより、戦争の地位が定まる

最後まで読んでいただき感謝します。
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