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膝関節 第4回 《なぜ、膝蓋下脂肪体は硬くなるのか?》

今回は、膝蓋化脂肪体と運動学的異常の関連についてお話させていただきます。

私が考えているのは下記のような関連性です。

図28

また膝蓋化脂肪体に関して、教科書や文献なども調べてみました。

下記になります。

慢性的なケースでは,完全伸展位での接触点における大腿骨顆の硝子軟骨に刻み目がみられた.
石灰化や軟骨の変性がある症例では,硬化と線維化がすすんだ膝蓋下脂肪体がみられた.(Kumar D et al 2007)

関節炎が繰り返し起これば,関節軟骨の摩耗は急速に進む.(宗田大:改訂第2版 膝痛 知る診る治す,メジカルビュー社,2020より引用)

関節(内)炎を生じた膝では,IFPをはじめとする滑膜組織が炎症によって増殖し,周囲の線維性関節包と癒着を生じて膝関節への負荷,特に伸展機構の過負荷に対して膝痛が生じやすくなる.(宗田大:改訂第2版 膝痛 知る診る治す,メジカルビュー社,2020より引用)

オーバーユーズや軽微な外傷を繰り返すことによって肥大する.もし,膝蓋化脂肪体がその状態から改善されなければ,慢性的な炎症につながり,適切な処置がなければ線維化や骨化するであろう.(Larbi A et al 2014)

膝蓋骨の外側不安定性を示す骨アライメンとIFP浮腫について関連性がある(Zaid Jibri, et al 2012)

110年の期間が経っているにも関わらず,疼痛につながる膝蓋下脂肪体のメカニズムは,依然として多くは分からないままである.(Mr. James Mace et al 2016)

ここから、以下のような仮説を立てています。

図29

このうち、理学療法士が関与できるのは、運動学的異常の修正およびオーバーユーズへの指導だと考えられます。

そのため、膝痛の一番の原因になっている膝蓋化脂肪体痛に対して、回旋などの運動学的異常の修正ができることが、膝痛治療には必須だと考えられます。

膝蓋化脂肪体をリリースして痛みをとっても、再発させないことが重要です。

以下引用:

Kumar D, Alvand A, Beacon JP,2007:Impingement of infrapatellar fat pad (Hoffa’s disease) : results of highportal arthroscopicresection. Arthroscopy ; 23 : 1180-1186.

Larbi A, Cyteval C, Hamoui M, Dallaudiere B, Zarqane H, Viala P. et al,2014:Hoffa's disease: A report on 5 cases. Diagnostic and interventional imaging. ;95(11):1079-84.

Zaid Jibri, et al,2012:The association of infrapatellar fat pad edema with patellar maltracking:a case-control study:Skeletal Radiol 41,925-931.

Mr James Mace et al, 2016:Infrapatellar fat pad syndrome :a review of anatomy, function, treatment and dynamics. Acta Orthop. Belg., 82, 94-101





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