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問題が発生したら、まずはイシューとプロブレムに切り分けよう!【自己解決能力の高め方②】

会社や仕事の事で、一人で抱え込んで、悩んでしまいがちな方は多いと思います。

一概に全てがそうとは言えませんが、多くの場合、自分が直面している問題が、「自分だけで解決できるものなのか?」「自分以外も巻き込まないと解決できないものなのか?」「他の人でなければ解決できないものなのか?」の切り分けが出来ていない事が多い傾向があります。

この切り分けさえできれば、「そもそもこの問題は自分では解決できない」と割り切って、他の人を巻き込み、解決に動くことができます。

また、そもそも「自分以外でしか解決できない問題」という事がわかれば、解決できる人に依頼すれば良いと割り切れます。

前回の「会社で起きる問題は「問題の切り分け」で大体解決する!【自己解決能力の高め方①】」では、問題の内容の切り分け方について言及しましたが、本記事では、問題そのものの分類の仕方について解説していきます。


※前回の記事はこちら



自己紹介

事業投資家の林周平(@HayaShu88)と申します。10社のグループ企業の経営と林経営塾を主催しています。

僕のプロフィールは以下をご覧ください。

問題に直面したら、「そもそも自己で解決しようとしない」ことが大事!

そもそもチームとは、依頼主(クライアント・上司・職場仲間など)から頼まれて仕事をします。

チームには、仕事仲間とあなたがいるため、基本的に本当に1人でやる仕事は多分そんなに多くはないはずです。

業務中には、ある部分を誰かに頼んだり、相談したり、誰かのレスを待つ、などのタスクが発生すると思います。

問題解決能力が問われるような場面というのは、依頼する側からわけのわからない依頼が来たり、1人ではとても完結しないような仕事を抱えてしまったりした状態などが挙げられます。

例えば、依頼主からわけがわからない依頼をされた場合には、「『何がわからないか』もわからない」状態なため、前回解説した「問題の切り分け」もできず解決しようがありません。

はたまた、1人ではとても完結しないような仕事を抱えてしまった場合は、そもそも1人では解決しようがありません。

つまり「自己解決能力の高め方」というテーマをひっくり返してしまうようですが、「自己」だけで解決できることはそもそも会社や仕事現場にはほとんどないのです

そのため、問題が発生した時点で、問題を「自分一人で対応できるもの」と「周囲を巻き込まなければ解決しないもの」に分類して、後者であれば、周囲を巻き込んで解決をしていく事が重要です。

この分類がうまくできず、周囲を巻き込まなければ解決しない問題にもかかわらず「自分一人で対応できるもの」と勘違いしていると、一人で抱え込んでしまい、悩み続けてしまうという状態が発生してしまいます。

つまり、この問題の分類をしっかりと行えるかどうかが、まずは大切になります。

では、一体どのような基準で問題を分類すれば良いのでしょうか。

問題が起きたら、イシューとプロブレムにまず分類しよう!

イシューとは「課題」で、プロブレムとは「問題」です。

イシュー(課題)は、これからどうしていくべきかを調べ、考え、意思決定することです。

例えば、これからの人生どうしよう、会社の方向性はどうしていけばよいか、というような壮大な課題がイシューです。また、言い換えれば、Googleで検索しても絶対に解決しないような問題を差します。

一方、プロブレム(問題)は「血が出てる!どうしよう」とか、「頭が痛い、吐き気がする」という「対処」が必要なことです。Googleで調べれば分かったりする問題が多いです。

つまりイシュー(課題)は、内容や目的が不明確なので、自分でいくら調べてもわかりません。そのため、「問いを立てる力」とか「意思決定する力」が求められます。これらは、リーダーや上長に求められる能力です。

プロブレム(問題)は、問題内容や目標が明確です。つまりGoogle検索などで調べればわかることになります。

したがって、プロブレム(問題)を解決したい場合は、概要がわかる範囲で細分化して渡してあげる、もしくは細分化するスキルがあれば、大した問題にはなりません。Googleなどで調べる力、それを実行する力が備わっていれば大丈夫でしょう。

一方で、イシュー(課題)の場合には、いくら丁寧に渡したとしても、「問いを立てる力」や「意思決定する力」がないと解決しないので、そういう力を持っていない人に依頼すると、解決できず一人で抱え込んで悩んでしまう原因になってしまいます。

イシュー(課題)とプロブレム(問題)は、どちらかだけが得意で片方は苦手である人もいれば、両方とも得意という人も存在します。

イシュー(課題)の扱いが上手い人は、企業家とか社長さんのようなリーダータイプです。そしてリーダータイプがプロブレム(問題)の解決が得意かといえば、そうでもないことが多いです。

イシュー(課題)とプロブレム(問題)を解決するには、それぞれ異なるスキルが必要です。

プロブレム(問題)の解決能力が高い人にイシュー(課題)を助けてもらおうとしても、なんともならないことが結構あります。

だからといってその人がリーダーに向いてないとか、リーダーだけが偉いというわけではありません。

リーダーとフォロワー(スタッフ)という関係性があって初めて、コミュニティや世界が成り立つわけなので、どちらの立場も尊重すべきです。

イシュー(課題)は、意思決定者でなければそもそも対応不可能です。

例えば、部下に「うちの会社どうにかして欲しいから、ちょっと考えてきてよ」みたいな、とんでもないイシュー(課題)を問うても、それはタスクとして機能しません。

イシューのための意思決定をするためには様々な要素が必要となります。予算、全体のノリ、「私、ここまで言っていいかしら」というような社内の関係性など多様です。それらを加味せずに「決定しろ」と言われても不可能です。

一方で、プロブレム(問題)は「作業者」として対応が可能です。これは、作業そのものを切り出せることも意味します。

そして、イシュー(課題)は「決める」「調べる」を伴う創造的タスクなため、脳への負荷が大きいものです。

一方で、プロブレム(問題)は、脳への負荷が小さいものです。

プロブレム(問題)の方がもう少し自動的にできるタスクであるため、疲れている時でもお酒を飲んでいても進行できます。

イシュー(課題)はゆっくりした日に、考え事をして、ノートを広げて……とした方が進めやすいはずです。

まとめると、まずは、問題が起きたら、それがイシュー(課題)なのか、プロブレム(問題)なのかを分類して、どちらかによって解決アプローチ方法を変えようという事が、ここで僕が言いたいことになります。

イシュー(課題)を解決したい場合は、使おう・使われよう

まず「自己解決能力を高める」という今回のテーマとは反対の結論となってしまいますが、そもそも「イシューを解決したい場合は、意思決定権者がやるべき」だと僕は考えています。

いわゆる意思決定権者じゃない人が、自ら物事を調べて決定できるようになろうというようなセミナーが世間にはありますが、僕は否定的です。

理由は、ロールがわかれているからです。意思決定権者が意思決定者として最強の動きをして、意思決定権者ではない人は、意思決定者をちゃんとサポートすればいいのです。

僕自身もそういう動き方を以前していました。

僕は今でこそ意思決定ができますが、当時は意思決定権者ではなかったため、意思決定権者であるCEOに対して秘書的な役割をしていました。

秘書とはただただ情報をまとめる、アポイントを取る、だけではなく、いわゆる政治家における政策秘書のように、意思決定や戦略決定に役立つ「右腕」です。

右腕は「私ならこう思いますけどね」という内容を添えて伝えます。結局、最終的に決定するのは意思決定権者です。私がどう思うかは一つの情報にしか過ぎません。

もしあなたが意思決定権者である場合、役割は「意思決定に必要な情報を与える」です。

大事なことは、明確に指示することです。指示の内容が明確ならば、あなたの周りにいる仕事仲間の効率が上がるためです。前回の記事でご紹介したウェブディレクターStarさんの場合は、意思決定権者ではなかったので、ややこしいですがこの場合だと仕事仲間に属します。

お互いのロールの違いがあるだけなので、何をすべきかわからないのであれば「指示の内容を明確にしてくれ」と意思決定権者に話せばいいでしょう。

特に課題や目的を明確にすることが重要です。意思決定権者は、課題や目的が明確ではなくても働けるロールです。むしろ課題や目的を明確にする役目があります。

しかしながら仕事仲間とは政策秘書みたいなものであるため、ある程度指示の内容が明確でなければ動けません。意思決定権がないのに決定していいよ、と言われても動きようがありません。

双方のロールには結構大きなギャップが生じます。

そこで意思決定権者は、部下がわかる範囲で指示を出しましょう。

部下がイメージできる、裁ける範囲をちゃんと見抜いてあげなければなりません。その上で少しだけ背伸びさせられると良いと僕は思います。

120%背伸びさせてあげて、その上で報連相を細かく何度も回してあげればいいでしょう。

ひとつの大きなテーマを担当するのはそもそも意思決定権者です。それ以外の人に対しては、例えば日次ミーティングを開き、1日1回のPDCAを実行するというように細かくぐるぐると回してあげる。

フィジカルな距離が近ければ1時間に1回などもっと回転させることもできるでしょう。

僕としては次の3つのポイントがイシュー(課題)を解決する上で、重要だと思います。

ポイント1:事実と主観を分けた上でどちらも伝えよう

秘書的役割を持つ仕事仲間がすべきこととして、事実と主観をまず分けることが必要だと言えます。

これは社会人1年目で学ぶことだと思いますが、意外とできていないことが多いですよね。

事実と主観をぐちゃぐちゃ混ぜて話す人も当然いますが、僕の印象によるできていない例としてはそれよりも、その場に事実を喋る人しかいなかったり、主観しか喋らない人しかいない、というものです。

両方言わないとダメだろ、ということです。主観も大事です。だって、その現場にわざわざ足を運んで見に行った人がいたのであれば、当人の主観で何を感じたか教えてもらうことは情報として貴重ですよね。

主観は主観で重要ですが、かといって主観ばかりだと危険です。具体的に「何が何個あった」という客観的事実=根拠と「犯人は誰だと思うか」という話はまた別です。

情報は情報で事実として伝え、そして事実だけではGoogle検索と変わらないため主観は主観で大事です。

ポイント2:定量、定性的情報も分けた上でどちらも報告しよう

続いて、定量的な話、定性的な話を両方とも言うことも大事です。こちらもどちらかに偏るケースが多いです。

今の世の中は、ロジカルである方が評価される謎のビジネス社会となっているため、定量や事実が大事にされるのが当たり前となりつつありますが、定性も非常に大事です。

余談ではありますが仮にAIがものすごく発達したとして、定量や事実だけ扱っていたのでは淘汰されてしまうでしょう。

主観や定性的な部分には、人間の素晴らしさがあります。だから両方を添えましょう、両方とも大事ですね、ということです。

主観と定性的な部分だけ報告されても、それはそれで意思決定権者はちょっとどう解釈していいかわかりません。

イケてる人は両方報告します。「事実はこういうことでした、その上で私はこう感じました。なぜならばこうだから。でも判断は任せます」という形だと想像しやすいでしょうか。

するとその報告を受け、上司の方も「なるほどなるほど。お前のその主観に対して俺はこう思うから、今度はもう1回ここを調べてきてよ」と好PDCAが回り始めます。

これを繰り返すと、非常にいい部下が育ちます。

部下は部下でそもそも意思決定権がないため、意思決定をしなくて済み楽です。時間管理ハックの話で言う、脳への負荷がない状態であるためです。

ポイント3:意思決定の際にすべきでないこと

意思決定に関して、すべきではないことについて解説します。

調べながら意思決定をして進めることは、大きな負荷がかかります。あまり生産性が高くなりません。

また、上記の図における意思決定権者と秘書的役割の人々とのやり取りを行う上では、「意思決定してくれない上司」というものが現れがちです。

特徴としては「わかんないね」とか言いながら、「君はどう思ったの、君に任せるよ」とその場だけの意思決定権を与えてこようとしてきます。部下としてはそれだけではとても決められません。

そういう状態が続くと、部下の心がだんだん折れ、嫌になってきます。押し付けられている感が拭えないためです。

また、急に「決めていいよ」と言われても、他のもろもろの情報がなければ決められません。有効的な方法とは言えません。

多くの方は、世の中の風潮に乗せられて、意思決定の要が権限委譲であると捉えがちです。

そういった場合、極端なポイント・場面ごとに、急にポンと何か権限を開放しがちです。しかしながらその権限はほぼ効力がないため、使えません。

ポイント4:意思決定権者へ向けて指示を仰ぐ

秘書的役割を持つ仕事仲間たちから意思決定権者へ向けて「指示を仰ぐ」という行為は非常に大切です。

リーダーはみんな、自分ごと化して頑張っているものです。ただ立場上、部下が上司に物事の判断を仰ぐ行為は心理的負荷がかかります。

そのため部下は「指示をくれ」とは言ってくれなくなります。そこで、上長にどんどん聞いてくるように促すことが大事です。

日本の教育、社会人になってからの教育も含めて「下の立場から上へどんどん聞きましょう」という教育は受けないものです。

聞いたら「ヘボい」とか思われそう、とか、「聞きすぎかな」とか、「何を聞いていたんだ」と怒られるかな、と部下はいろんなことを考えてしまいます。

このため上司から「どんどん聞いてよ!」と呼びかけ、何でも聞ける文化を作って、固定概念を矯正しないといけないですね。

ただ上記の方法は、空間の近さを要します。フィジカルな距離がないと実現しづらいです。

昨今ではテレワークのチームが多いはずです。このため本件は結構な確率で課題となります。

したがって、たまに強制的に喋る時間をつくるとかで「聞く」行為をしつけするように癖付けてみてください。そうでもしないと相手は聞いてきてくれません。

問題が起きたら、まずはイシュー(課題)とプロブレム(問題)に分類し、解決アプローチ方法を変えるのが大切!

問題が起きて一人で抱え込んでしまい、悩んでしまう場合には、それは、そもそも一人で解決することができない、もしくはあなたに解決が難しいイシュー(課題)の場合がほとんどです。

繰り返しになりますが、まずは問題が起きたら、それがイシュー(課題)なのか、プロブレム(問題)なのかをはっきりと切り分ける事が大切です。

それぞれ、イシュー(課題)とプロブレム(問題)は解決方法が違うので、分類後は、それぞれの解決アプローチ方法を選択して動きましょう。

イシュー(課題)であれば、一人では解決できない訳ですから、やることは上司への相談、また、社長や上司などの意思決定権者は、積極的に部下に関わり、イシュー(課題)をできる限り取り除いてあげる、サポートをすることが重要です。


※次の記事はこちら

・クリティカルシンキングで本質を見抜く3つの方法【自己解決能力の高め方③】


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