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起業家に求められる問題解決能力とは?【自己解決能力の高め方⑥】

前回の「優先度づけの3つのポイント【自己解決能力の高め方⑤】」では、優先度づけの3つのポイントとして、「コツは引き算!優先度高を減らす」「全体像を明確にしてチームに共有する」「自分のことは後回しになりがちなので他人を使う」を解説しました。

本章では真の自己解決能力とは、どういう事なのか、について「起業家の歩み」を例に、具体的に解説していきます。

実は起業家とは、何も見えない暗闇でとにかく次の一手を探しながら事業を進めており、この行動こそが自己解決に役立っています。

広い意味では人間誰しも同じことが言えます。なにもわからないなりに0を1にしてきたからこそ、誰もがそこにいるわけです。

そこで、暗闇で石を投げ、次の道をどのように探し、フィードバックを得て成長していく起業家の歩みを事例に、起業家の視点から、本当の意味での問題解決力というのはどういうことなのか、について解説します。


※前回の記事はこちら

  • 優先度づけの3つのポイント【自己解決能力の高め方⑤】


自己紹介

事業投資家の林周平(@HayaShu88)と申します。10社のグループ企業の経営と林経営塾を主催しています。

僕のプロフィールは以下をご覧ください。

真なる自己解決力とは?

これまで話してきた内容は、上司と部下みたいな組織的な話でした。

かねて、僕は自社グループの代表たちから、問題解決力を高めるにはどうすれば良いのかとか、モデル化について解説を頼まれたこともあり、今回のようなテーマでお話をしているのですが、ここで0から1を生み出す人について考えたいと思います。

まず、暗闇があると思ってください。洞窟でもいいですね。とにかく暗くて何があるのか一切わかりません。

人生も同じではないでしょうか。生まれたときにここがどこかわからないけど、理由はわからないけど親しくしてくれる人がいるから次第に愛着を持って「お母さん」と呼び始めます。

エヴァンゲリオンもそういった話でした。ある日よくわからない使徒に襲われ、なんだこれはと言いながら話が進んでいきます。使徒が何者か、なぜ生まれたのかというような説明はないわけです。

ただただ使徒が襲ってきて、怖い、やられてしまう、人が死んでいく、使徒に対抗しないといけない……そういうところからいきなりストーリーが進んでいく様子は、人生と同じです。

暗闇が始まったら、とりあえず石を投げてみましょう。なにかに当たって音がしたら、その方向には何かがあるとわかりました。

次は、逆方向にまた石を投げます。するとまたすぐ何かにあたり、最初の投擲よりも近い感じがしました。

近いならそこに行こうと思い、とりあえず移動してみました。すると誰かにぶつかります。

とりあえず話してみました。「何してんの?」でもなんでもいいです。

すると、「この洞窟にエメラルドを取りに来た」と話してくれました。

この洞窟にはエメラルドがあるのだとわかりましたね。いい話が聞けました。

とりあえず乗っかってみます。「じゃあ手伝わせてよ」「いいよ、もうすぐ仲間も来る」と、よくわからないうちにある団体ができました。

そして3年後、エメラルド専門会社になりました。

読者の皆さんは、なんじゃそりゃと思われたかもしれません。しかしながら「起業」とはこのレベルのお話なのです。

昨今のスタートアップ系の方々は真っ当な信念をお話されることがあり、どうしてもそういった例が目立つことと思いますが、ほとんどは全員、「気づいたらそこに立ってた」からそこにいるのです。人生とはまさにそういうものです

大きな夢を持っているから、そのために物知りになって経営者としてもやっていけているんじゃないか?という目で役員たちをご覧になる方も僕の社内にはいました。

そういう人ももしかしたら100人に1人はいるかもしれませんが、99人はそうではない。ただ前に向かって歩いていたら、たまたまそこにいたという感じの人たちです。

言い換えると「人生、何が起こるかわからないからこそ、まず暗闇で一発目の石を投げて、仮説を持って次を歩めるか?」ということです。

逆に言えば、ポイントはこれだけです。

とりあえず石を投げてみて、そのフィードバックを得て次を歩むことができるかどうかが重要!

これまで見てきたように真なる自己解決能力とは、とりあえず石を投げてみて、そのフィードバックを得て次に歩むことができるかどうかに尽きます。

起業家としての力、0を1にする力とも言えるでしょう。

石を投げるにも、勇気が必要です。石を投げる前に立ち止まったり、考えたりしてしまうものです。

それでも石を投げる力がある人は起業の道が向いています。「石投げ力」がない人は、もしかしたら意思決定側ではなく、作業側でしっかり活躍するロールが向いているかも知れません。

全員が石を投げられる側に行かなければいけないということはありません。ただ、新規事業開発とかがしたいのであれば、上記のような力が問われます。

「向いている、向いてない」を、しっかり踏まえて、自分をアサインする場所を決めましょう。あるいは管理側ならば、どういう人材のアサインをするのか考える場合にこの思考法が重要です。

とりあえず石を投げ、次のフィードバックを得て、次へ歩むというこの一連のプロセスこそが、課題選定と問題解決に対して同時に意思決定しているのです。

新規事業は、何をするにしても自分で考えなければなりません。課題・問題が決まっていることはありませんし、質問できる相手もいなければ手順も決まっていません。

例えば下北沢でカフェを開きたい場合、まず儲ける必要があるのか、下北らしいおしゃれさだけが売りなのか……とあらゆる課題・問題が発生します。周りの人は何をすればいいのかもわかりません。まさに0を1にしています。

しかしながら、僕はそれこそがそもそも人生だろ、と考えます。

5歳ぐらいのときから今の人生をイメージして生きてきた方なんていないはずです。目の前の突発的なことにいろいろ反応をしてきただけではないでしょうか。そしてそれは決して戦略的なものではなかったはず。

目の前のことに反応して、いろいろフィードバックを受けながら歩んできた結果、ちょっと賢くなれたからこそ、今この場に立てています。

このように職業的に上記の行動を起こしているのが企業家であり、小さい規模で言えば私達誰もが片足をつっこんでいます。

事業を始めたら、先程の洞窟の話みたいに、わけのわからないことが起こるわけです。

前章までのご相談にもあったように、盆栽や植木のブランドを監修している部署が僕の関わるグループには今でこそ存在しますが、もともとは赤ちゃん向けアパレルブランドの買収をどうするかとして立ち上がった企業でした。

何が起こるかわかりませんが、ちゃんと次なる仮説を持って歩んでみて、フィードバックを得ましょう。

どうせ一発目の石からうまくいくはずはありません。さらに次、次の手と進むことこそが、真なる問題解決能力です。


※次回の記事はこちら


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