林林檎/林々檎(はやしりんご)

男性。日曜作家。個人文芸サークルFifth Dimension代表(基本1人サークル)…

林林檎/林々檎(はやしりんご)

男性。日曜作家。個人文芸サークルFifth Dimension代表(基本1人サークル)。詩を書くときの名前は林々檎。 写真などはインスタへ→https://www.instagram.com/hayashi_apple

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'24/5 観たい映画/観た映画リスト

あらすじ林檎はとある組織の手により、週に1本以上は映画を観ないと落ち着かない身体にされてしまった。 そこで、劇場公開される映画に当たりをつける必要が出てきたのだった。 概要説明とりあえず、ざっくりメモするための記事です。 基本的に好み中心のチョイスです。 あと、見逃しても後で見そうなやつは優先順位が下がりがちです。 逆に、映画館以外で見るのが大変そうなやつは優先順位が上がります。 観たい映画リスト分類説明 ◎:絶対観たい!速攻行きたい! ◯:予定を確保するくらい行きたい

    • 赤裸々な旅日記・続

      気が向いたので、 「赤裸々」 の話。 脚本を学びながら習作を書いていると、 誰かのためのフィクションのつもりでも、 深い内容は自分のために自分の話を書いていたりしたのだった。 そう思って浮かんだ「赤裸々」という言葉が、 面白いなあと思ったのだ。 赤に裸に裸を重ねて。 「赤」という漢字が、炎に照らされた人間の全身の象形文字なのだという。 そこから、包み隠さないことや、本当のことを意味するようになったのだという。 裸に裸を重ねて「赤裸」。 更に裸を重ねて「赤裸々」。

      • 赤裸々な旅日記

        「ご自由にお書きください」 ってひさびさにnote書こうとしたら Twitterの「いま、何してる?」みたいに出てたのでびっくりした。 確かに言葉は、自由に投げて、自由に取ってもらう、そういうものかもしれない。 さてさて、ひさびさに。 今回は日記みたいに自分語りでやってみる。 このところ毎回出してた『文学フリマ東京』を今年は春と秋、共にお休みしていた。 事情は色々あったが、一番の理由は改めて物語の勉強を始めたことだった。 自分が人生を後悔しないように、一番やりたかったこと

        • 9月第4週『LAMB』(ネタバレあり)

          その日は友人とジンギスカンを食べに行く予定だった。 店で待ち合わせる前に、時間的にちょうどいい映画を見ようと探して、あった。 それが『LAMB』だった。 あとは、もともと観たかった以外に他意はなかった。 冗談みたいな偶然の話。 公開2日目、宣伝の上手さもあり、都内某シネコンはかなり混んでいた。 そして、鑑賞後のざわつき……。 賛否両論な肌触り。 個人的には割と好きだったが、ズルいな、とも思った。 以下、ネタバレ。 かなりシンプルな話だけど、とにかく説明しない。 あえて多

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        • 更新履歴(活動報告と、それに伴う雑記)
          17本
        • 最近観たもの
          1本
        • 詩の棚(A:あれこれ)
          12本
        • ないことないこと日記
          60本
        • 義眼集成
          2本
        • どうでもいい話
          12本

        記事

          詩『今朝の夢』を投稿しました

          最近、夢を見るようになった。 ここ数年は年に数回見れればいい方だった。 睡眠の質が少し良くなったのか、ほっとした。 とはいえ、変わらず寝不足な日々が続いている。 朝の電車に乗っている頃には、夢の中身など忘れてしまって、ただ『今朝の夢』という言葉だけが残っていた。 その言葉から、するっと書いた詩です。 頭の中に滞留していたいくつもの言葉が、ひと掬いしたレードルの中でかたまりになったような詩ですが、そういう方が瞬間的な想いに近いのかもしれません。 するっと書けたものは、割と

          詩『今朝の夢』を投稿しました

          3/22(火)

          カンナちゃん近所の縁側で、三毛猫が爪を研いでいた。 そのまま、時々爪をぺろりと舐めていた。 そしてまた爪を研ぐ。 よく目を凝らすと、爪を研いでいるのは柱ではなく、鰹節だった。 そりゃ美味しいわな、と『私』は感心した。 障子の奥からおばあさんの声がした。 「そろそろ削れたかい?」 みゃお、と三毛猫は応えた。 しかし、『私』の目に映っているのは、爪で削ったそばから鰹節をつまみ食いしている三毛猫の姿だった。

          3/21(月)

          蕎麦屋の怪『私』は蕎麦がとても食べたかった。 午後二時半、遅めの昼食に蕎麦屋に入った。 ランチもひと段落した落ち着いた店内で、しめしめ、と思った。 呑気なワイドショーが笑っていた。 メニューを開くと、天ぷら蕎麦が目に入った。 『私』はそれを頼んだ。 ほどなくして丼が来た。 一口啜る。 うまい! 鰹の出汁とサクサクの天ぷら、麺の喉越し。 どれも最高だった。 麺がうどんであったこと以外は。 まあ、お腹が空いていたし、美味いから、細かいことは気にしないのだった。

          3/20(日)

          そぼ濡れしけた雨が降っていた。 しかし傘がないので、そぼ濡れて街を歩いていた。 誰かの街に行くのではない。 ただの帰り道だから、濡れても平気だった。 長雨でがらくたが錆び付いてゆく。 時計台の軋む音がかすかに聴こえる。 外れかかった幌のはためく下で、空き瓶たちががらがらと擦れ合う。 しとどに濡れた外套の下で生い茂る苔の蕾に、飛び乗った蜘蛛。 午後の通りは仄明るい。 その先の虹を待たずに家路を歩む。

          3/19(土)

          犬のお巡りさん『私』が家を出たあたりで、警察犬が辺りを嗅ぎ回っていた。 後ろではお巡りさんが子猫を抱えていた。 お巡りさんは警察犬が臭いを追う後ろで、不安そうな子猫をあやしていた。 しばらく進むと、一軒の家の前で警察犬が吠えた。 お巡りさんはその家を訪ねると、中から若い女性が出てきて、子猫を抱き抱えるとわんわん泣いていた。 無事に迷子が家に戻れて、無関係な『私』もホッとした。 そして、プロの警察犬はやっぱり泣かないのだなあ、と呑気に思ったのだった。

          3/18(金)

          地団駄団 朝早くの公園に老若男女の集団がいた。 『私』はそれを遠巻きに眺めていた。 「みなさん! 右足からいきましょう」 先頭の男が声をかけると、集団は一斉に、だん、だん、と右足を地面に叩きつけた。 「いい地団駄です!」 数分続いた地団駄を止めて、先頭の男が言った。 「この調子で地団駄団を盛り上げていきましょう!」 集団から鬨の声と、地割れのような地団駄が響いた。 怪しい反面、楽しそうで羨ましかったのは内緒だ。

          3/17(木)

          海水ぐらいで『私』は真っ暗な部屋にいた。 最初は何も見えなかったが、次第に目が慣れてくると、おぼろげに見えてきた。 『私』は目の前にあるボウルの中身をつぶさに見ていた。 中には小さな楕円が並んでいる。 楕円がたまに震えて、小さな泡が浮き上がってくる。 楕円はたまに開いて、かたり、と音がする。 心が落ち着いてきた頃、『私』は手探りで部屋を出て、鍋にお湯を沸かし始めた。 そしてまた部屋に戻り、明かりをつけて、砂出ししたアサリをボウルごと台所へと持っていく。 鍋の中にアサリを全

          3/16(水)

          ノーモア『私』が路地裏をくねくねと通っていると、逃げていた映画泥棒とぶつかった。 その勢いで映画泥棒は勝手に倒れて、動かなくなった。 残念なことにパトライトを回した警察官は、上手くまかれたのか全く来る気配がなかった。 『私』はそっと映画泥棒の頭のビデオカメラを触ってみた。 ほんの出来心だった。 再生ボタンを押してみると、週末に見ようと思っていた新作映画が始まった。 無性に腹が立った『私』は、カメラの再生を止めると、中に入っているデータを検分し、盗まれた映画を削除した。 カメ

          3/15(火)

          くさめ『私』は朝からくしゃみばかりしていた。 とうとう花粉症になってしまったかと思うと、なんだか悲しくなった。 ところが今日は、久しぶりに会う人や連絡をくれる人が多かった。 再会は嬉しいものだが、こうもひっきりなしに続くと、さすがに訝しむ。 今日会ったうち、十三人目の友人に思い切って訊いてみた。 「ひょっとして噂してた?」 十三人目の友人はこう答えた。 「なんでわかった? みんなでどうしてるか噂してたんだよ」 やはりそうか。 花粉症じゃなくてよかった、と胸を撫で下ろして、

          3/14(月)

          スカスカの伊予柑『私』は伊予柑がまあまあ好きだ。 とはいえ、伊予柑の瑞々しいところは苦手だ。 その理由は簡単で、酸っぱいからだ。 しかし、水分の抜けたスカスカなところが甘くて好きなのだ。 子供の頃はあのスカスカが贅沢だと思っていた。 房の端っこにちょっとだけしかないあれは、伊予柑の希少部位だと思っていたのだ。 マグロのトロや牛肉のサシみたいに。 家を出ればそんな人間こそが希少だったのだが。 今でも袋で買った伊予柑から、旬を過ぎたスカスカの伊予柑を手応えで探して、見事に引き

          3/13(日)

          坂道で智慧の実『私』が急な坂道を上っていると、頂点が見えたあたりで。上の方に紙袋いっぱいの林檎を抱えている女の人がいた。 気づいた刹那、紙袋の底が抜け、林檎が一斉に坂を下り始めた。 『私』の元に来た数個は難なくキャッチしたが、十個以上は坂を駆け下りていく。 女の人も必死に追いかけるが、靴が動きづらそうだったので、スニーカーを履いた『私』の方がが早かった。 『私』は坂を下りきって、全ての林檎をかき集めて両腕に抱えた頃、女の人も辿り着いた。 「ありがとうございます!」 女の人