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ブル・マスケライト《仮面の血筋》100ページ小説No.12

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前回までのあらすじ…

安和ナミ編となり、たちばなと栗原が2人っきりのところを偶然目撃しショックを受ける。
それでも土曜日に4人は栗原の家(豪邸)で和気あいあいと以前よりも仲を深めます。
ここから4人が知らない仮面社会が少しずつ動き始め過去最大のピンチへと発展していくことに…



《その一方で水面下で計画されていた事が間もなく動き出そうとしていた…》


「…でありまして、現在うちで仮面が見えるのは校長を除く2人だけという事です」
「そうか、ではそろそろだな。来週の月曜日にでも計画していた案を提出しておく。もう直ぐ学長報告会も控えているので最優先に進めるとしよう。これでようやく待っていた探し物が見つかったな。しかも私の生徒として…。君はそれまで彼らの動向を追い続けていてくれ」
「かしこまりました…」

 《そして同時にもう一つの動きも…》

「そうか、やはりあの日に見たのは本物だったという事か…それでは遂に例の計画の第一章をスタートさせるとしよう。まずは予備校の訓練を月曜日に緊急停止しさせる。2週間後には2、3年の生徒を総集しまとめて卒業試験を行わせる。そして卒業式までに他の2人を一緒に向かわせろ。そしてその後は直ぐに第二章へ入る。今のうちに名簿リストを作成しとくように。よいな?」
「かしこまりました…」



「「地獄がイイ?それとも天国に行きたい?」」
「じゃーーん!どうよ?だいぶ二人とも攻めたでしょー?」
二人で衣装部屋に行き、天使と悪魔の衣装に着替えた。二人とも肩がシースルーでミニスカートだ。悪魔は尖った尻尾と角が頭に生え、天使は背中に羽と頭に輪っかを着けている。栗ちゃんも意外と乗り気だったので眼鏡を外させ手を引っ張って部屋に戻って来た。
「うおーーーいいねイイねー!栗原、眼鏡とるとそんなに可愛かったのかー?名前の通りクリックリのおめ目なんだなぁー驚いたよ」
「恥ずかしい」
「さっきまでそうでもない感じだったのにやはり恋人の前では…イヤ、私なに考えてんだ友達だよ…」
そう思い直してすぐにたちばなを見るとやはり照れてる様だった。
「そうでしょー。栗ちゃん眼鏡外したら学校でモテるわよ。で、たちばなはどうよ?意外と私たちスタイルいいのよー?」
「いやそういうことじゃ無くて、何でお前が天使で栗原が悪魔なんだよー。こっちは仮面に見えているんだぞ!逆だろ普通。俺からしたら今どっちも悪魔なんだよ」
「あっ仮面のこと忘れてた…。イヤそうじゃないわ、勘違いしないで。天使に見える人ほど危険っていう私達からのメッセージよ!」
「すげー後付けだなぁ、わかったからもうそろそろ今後の仮面会議しようぜ」
「じゃあこのまま参加するわ」
「待ってわたし何も見えないですー」
「オッ栗原は今何も見えてないのか?じゃあイタズラしようかな?」
「キャーー」
「ホザけエロゴーヤチャンプルが!お嬢様に触れたらここの全警備員が集まってきてブタの内臓を掻き回されるわ。まぁその前にわたしのフォークが目ん玉を刺すことになるけどね」
「やっぱり悪魔より悪魔だなあわナミは、そのカッコーしてても」
なによーといい返そうと思ったがたちばなの呆れた表情を見て私はやめた。
「もういいわ、あなた達に見せた私たちが悪かったの。せっかく乙女がサービスしてあげたのに…もう着替えに行きましょう、小悪魔ちゃん」 
「うん」
そう言ってまた栗ちゃんの手を取り衣装部屋へ戻った。
「栗ちゃんまだまだたくさんあるから今度また着替えさせてもらっていーい?」
「もちろんです。いつでも遊びに来て下さい」
「ありがとう。ねー本当に綺麗な目してるね。もったいないからコンタクトにしたら?」
「小学生から眼鏡なんで急にコンタクトなんて無理ですよー」
「でもクラスの全員から注目されるのは間違いないよ」
「それが困るんですー。そんなことより今は仮面の事を優先しないと」
「たちばなの事の方が先かー。そうだね、確かにね。」
 当たり前の台詞を素直に話せる栗ちゃんに少し嫉妬した。私達は一度トイレに寄ってから部屋に戻った。その間にたちばなとブッダはもう真剣モードで正座をしながら何かを話していた。その状況に私達もすぐに座る。

 「いいか皆んな。明日で本当に一週間、ここまで目まぐるしい程に俺達の人生が変わった。そして今は俺の仮面を狙っている組織がある。なにか危害を加えてくるとは分からないが追って来たことは確かだ。皆んなにも迷惑をかけてすまないがここからより一層3人には動いてもらおうと思う。そして俺はこの仮面の仕組みと始まった原因を解き、全てを終わらせるまでは容易に仮面を外させないつもりだ。協力してもらえるか?」
「「「うん」」」
「じゃあここからは4人だけの話にしてもらいたい。今から言う話は水口先生達にも内緒の計画だ」
「水口先生にも?なんで?先生たちも信用出来なくなったの?」
「いや、そうじゃない。俺たちは今ある意味で仮面のお陰で結束力がある状態だ。しかし反対にそのせいでいで『誘導』される危険性もある。例えば俺の仮面を外さない代わりに…みたいな」
「そうね。あり得ない話じゃないわね」
「当然俺からすればそんな時は皆んな自分自身の身を最優先で守ってほしいのが願いだ。そしてそのせいで周りに迷惑をかける事もきっとある。でもそれでいい。迷惑をかけていいんだ…。それだけ未知数の危険な事には変わりはない。ただ、それだけだと相手の言う通りに進んでしまう可能性が高くなる。そして先生達や父の足も引っ張ることにも繋がる。父と先生達は俺達なんかよりずっと前からの深い絆だ。それを俺らのせいで壊したくもない。そこで提案がある…」

ブッダ、お前だけはここから外れてもらう…。そして今後は仮面について調べるどころか何もしてはいけない…そしてもちろん俺たちに話しかけることも…』

「???どういうことよそれ?今から4人で協力するって話をしだしたのはたちばなじゃないの?それなのにブッダを外すって…」
私が話を止めながら皆んなの表情を見る。たちばなは勿論冷静で栗ちゃんはやはり驚いている表情。しかしブッダはそうでは無かった…。むしろどこか冷静な表情で少し俯いていた。理由を聞く前なのに何か腑に落ちている様な感じだった。いつものあいつとは明らかに違い違和感が残る。
「もちろん理由があるから聞いて欲しい…それは…」

 たちばなは私たちに分かりやすく説明した。わたしが仮面に見えているはずなのに真剣な眼差しで見つめながら驚くほど坦々と話した。そしてその理由にはとても深い意味があった。考え過ぎとは思いながらも最悪の状況が来てからでは遅いと言うのも有り、私も危険が及ぶのであれば納得せざるを得なかった。文太は正座したまま静かに聞きつつも少し泣いていた。
「そしてブッダだけじゃない。ここからは水口先生からの伝言メールがある。聞いてくれ」
再びたちばなが話し出す。
[じつは今、組織が過敏に動き出している。それはこの通信でさえもいずれ危うくなりつつある状態だ。来週までに皆んなに詳しい情報を話そうとしていたが一度延期をした方が良いと思う。その理由は簡単だ。『学校に内通者』がいるからだ。皆んなには悪いがたちばなを守るのが今は優先。皆んなはなるべく普通に学校に来ていつも通りにしててくれ。そしてたちばなは俺が守るから安心していてほしい。また連絡する]

 「「「学校に内通者がいる?」」」

「そうつまり俺達みんなも不用意に動けなくなった。そして俺がさっき動いて欲しいと言ったのは『俺が学校へ行けなくなってから』の事だ。組織は何らかの理由で俺を狙っている。水口先生のメールにもあったように通信でさえダメになると俺は学校へも行けなくなるばかりか3人とも連絡出来なくなるだろう。そう、全てはそこからだ」
さらにたちばなは真剣な眼差しで話し出す。
「俺が学校へ行けなくなった後、栗原とあわナミは二人で連絡を取り合い内通者を探してもらう。そしてさっきも言った様にそれよりも前に『今日からブッダは全員と連絡を切る』いいなブッダ、これはお前がいなきゃ成立しないんだ。分かってくれるよな?」
文太はこっちを向く事もなく小さく頷いた…。やはりおかしい。納得は何とかしたとしても今日で喋れないって…。いつもの文太なら泣き叫ぶはずなのに今はどうして何も言わないの?
「水口先生が仮面を例の組織に外されてる以上、そこに「仮面を外す本当の理由」が隠されている。そして今自分が狙われてる状況からしてそれが分かる前に外させないと俺は決めた。だから俺はこの仮面を守る」
たちばなの言葉は全くブレてなかった。その強い意志が尚更に文太の反応の違和感を浮き彫りにした。
 これはわたしの勘違いか?いや違うわ、そういえば私たちが来る前に二人は先に話しをしてた。でも何の話しだろう?私達二人にも話せないこと?そんな事ってある?でもそのせいで納得させられている、あの感じは…。昔からの古い付き合いの私には分かる。それなら尚更、私はたちばなを信じなきゃ。もし明日にでもたちばなと先生達に連絡が取れなくなると考えてもここで疑うのは違う。私と栗原さんだけで内通者を探すことになった時にわたしがあれもこれも疑ってちゃいけないんだ。
「この4人だけは何があっても信じる。たちばなの仮面を守る為にも!!」
そう心に決めた。ふと隣りの栗原さんを見ると非常に不安そうにしていた。わたしは栗原さんの肩をポンと叩いて言う。
「大丈夫、そうなっても二人で探すわ!ねっ?たちばなも安心して」
「ありがとう」
わたしが皆んなを勇気づけなきゃ。そう思った…



「おはよう、栗ちゃん」
「うん、おはよう」
「栗ちゃん家に行ったのいつだっけ?」
「先先週の土曜日だったよね。あの日から早いね?」
「本当早い…もうすぐ2週間も経つよね…」

 今、私たち二人はあの時に予想してた通りの最悪の状況だった…
それは先週の火曜日の朝、突然一通のメールが届くところから始まった。

[緊急事態!今すぐ水口先生と自分の番号、履歴を消すこと!急いで!]

 たちばなからだ。わたしたちは少し早く学校に着いていた。同時に二人は目を合わせ全てを急いで消した。一応、携帯の電源をOFFした。想像してたよりだいぶ早い!何ごと?たちばなは今大丈夫なの?心配でしょうがなくなった。そこへ何も知らない文太が教室に入って来た。わたしは目で訴えようとしたが文太はこちらを見ない。いや今こそその時、内通者に監視されてるかも知れない。私は我慢した。

 問題はまだそこから続いた。まず水口先生が来ない。そしてやはりたちばなも休みだ。そこで代わりに違う先生が現れた。社会の竹田だ。コイツは見るからに人相が悪く顔も性格も歪み好きにはなれない。そして教室に入るや否や最悪な一言を発した!
「今から全員の携帯を没収する!持ってるやつは机の上にだせ!」
クラス中が反発した!当然だ。しかし譲らずガラガラ声で怒鳴りつけてきた。
「昼までだ!それだけあずけろ。授業の邪魔だろ、あとはすぐに返す!」
皆んな全く理由が分からない。しかし私たちは直ぐに勘づいた、【たちばなの居場所を探しに来たんだ】と。そして強制的に携帯を取られた。こんなことまでするのか組織は…。もう本当に身の危険を感じた。
「お願いだからたちばなを救って…」
私はいるか分からない神様にお願いした。そんな中、竹田が話し出す。
「今日は水口先生が休みだから一時間目は個人面談とする!以上!」
それだけ残し、肩を振りながら教室を出て行った。
「個人面談ってもしかして…」
身の毛がよだつ思いがした。たちばなの言ってた通り『誘導尋問』だ!栗原さんも勘づいたように肩を震わせていた。まずい、最悪の事態だ…。そこまでするかたちばな仮面の為に。どんな理由があるの?悔しい思いと恐怖が湧き上がる。面談は一人ずつ名簿順で別の場所へ呼ばれている。3人の中では一番早いのは文太だ。最近の事は何も知らないとはいえたちばなの仮面の事は当然知っている。どうかわすの?
「袴田!こい!」
文太が立ち上がり一瞬後ろを振り返った。緊張が走る。
「気のせいだ、たまたまが重なっただけ。ただの面談よ」
そう言い聞かせていると10分も掛からず帰ってきた。ホッとしている様子だ。こっちも少し安心した。何人か呼ばれ、栗原さんが立ち上がり教室を出た。
「お願い栗ちゃん、上手く逃げて」
また10分くらいして帰って来た。チラッと私を見て席に座った。そこから動かない様子で俯いていた…。
「もういいわ!こうなったら私が逆に問い詰めてやる!」
私は腹をくくり強気で行く事にした。
「安和、次お前だ。こい!」

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