J3入門ガイド作ってみた⑧(八戸・富山)
今回は第15節、第16節で対戦する、ヴァンラーレ八戸、カターレ富山について。私、富山を外山と誤変換しがちなのでそこの誤字をしないことを目標に頑張ろうと思う。
<ヴァンラーレ八戸>
■直近5年の成績と監督遍歴
22年監督:葛野昌宏
ここ5年は毎年監督交代に。成績低迷、S級ライセンスの問題などなど……なかなか地に足の着いた監督人事を行えていなかったが、昨年は18年のJ3昇格時に監督ライセンスの問題で続投できなかった葛野監督が3年ぶりの再登板。
一度はトップの監督から離れた後も19年には強化部長、20年にはヘッドコーチとして八戸には残っており、"クラブを知る人物"のもとで久々に監督続投を行うことができた。さらに昨年からクラブ史上初めて「J2クラブライセンス」を取得。本格的にJ2昇格を目指すシーズンとなる。
監督の志向するサッカーは3バックでのしっかりとした守備から手固く試合を進め、少ないチャンスを決めきる先行逃げ切り型とのことで、JFL時代はそのように勝ち抜いてきたそう。上位陣相手には後ろに重くなりすぎて攻撃にパワーを割けないことは多かったが、15位讃岐、14位沼津、10位藤枝と下位チームにウノゼロ勝利を果たしている。
ただ、ポジショナルプレーの原則も取り入れたチーム作りをしているという分析もあり、(自分はDAZNでフルタイムの試合を見れない状態なので)このあたりはシーズン始まってから見ていこうと思う。
■去年のスタメン
・第1節
・第16節
・第42節
勝ち点29 7勝 8分け 13敗 得点24 失点44 得失点差ー20
3バックで352と3421を併用。複数ポジションをこなす選手も多く、選手の組合せのバリエーションは豊富だった。中でもチーム唯一全試合先発出場している前澤はFWやシャドー、ボランチ、WBまでこなしながらリーグ戦ほぼフルタイム出場。前線の選手だとJ3の中でも最多出場時間を記録している。
しかし、年間通して出場できていたのはこの前澤とDFリーダー近石くらい。続くGKの蔦、新潟経営大学からのルーキーWB丹羽、ラオス一部からの逆輸入という珍しい経歴の赤松がシーズンの3分の2以上を辛うじてクリアしている程度(夏に加入した佐藤・小牧は別だが……)。裏を返せばそれだけメンバーの最適解が定まらなかった。
得点トップは6得点の上形。19年・20年は2桁順位を取っているので得点数は減ってしまったが、チーム全体の攻撃スタッツ(30m侵入回数・ペナルティエリア侵入回数・攻撃回数)が減り、チーム全体が守備に重きを置くスタイルになった影響もあるように思う。
シュート数やペナルティエリア侵入回数、またコーナーキック、オフサイドなどのスタッツはリーグ最下位を記録してしまったので、この後ろへの重さをどのように改善していくか。
■現スカッド・オフの雑感
【GK】
正GKの蔦は残留したが、開幕直後は出番があった横山が引退し、サブを争っていた高島(しまね)が移籍。代わりには満了になっていた服部(福島)、小池(YS横浜)が加入。25~27歳の中堅世代の争いとなる。
【DF】
出番の少なかった伊勢(→奈良)、原山(→ホンダ)は移籍したが主力の放出は無し。
主な加入では山田尚(→秋田)、藤井航(→いわて)とJ2・J3経験が豊富な2人が加入。3バックの堅守をベースとするスタイルには心強い存在が加わった。キャプテンにも就任した山田はキャラクターも貴重かつ中盤でのプレーも多いので組み合わせの幅も広がりそう。
【MF】
16年からの生え抜きで、JFL時代を含む6年間在籍した高見(びわこ)、前田(鈴鹿)が満了に。さらに海外経験も長かった秋吉も引退となった。
だが、主力のボランチ・WBは残留。
さらに加入では昨年躍進した宮崎から28試合(20先発)5Gの渡邊が加入したのは大きい。また秋田から出戻りになる國分も元々WBのレギュラーなので計算できるのではないか。今治からの有馬、宮尾もそれぞれ武器を持っているので試合には絡んでいけそう。
【FW】
ここ3年エースとして君臨していた上形を北九州に引き抜かれたのは他ポジションを含めても最大の損失。元山雅の岡も準レギュラーであったが移籍となっている。
鹿児島から経験のある萱沼を獲得できたのは朗報だがどちらかというとドリブルやチェイスに特徴があるタイプので、サイズがあってより純粋なストライカータイプだった2人とは異なる。できれば去年までとは違い、敵陣でのプレーを増やしたいところ。
■開幕前展望(予定)
■予想スタメン(予定)
■試合前情報(予定)
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<カターレ富山>
■直近5年の成績と監督遍歴
22年監督:石﨑信弘
2年半続いた安達体制に区切りをつけ、新たに18~20年で藤枝を指揮していた石崎監督が就任。監督としてのJリーグ最多試合記録を持っており、モンテディオ山形や柏レイソルなどでJ1昇格を経験した“昇格請負人”にチームを託した。
そして、フロントにも同じように“昇格請負人”と呼ばれている左伴社長が就任。就任時には「昇格には赤字も辞さない構えを示し、積極的な戦力補強も視野に入れている」と昇格に向けての本気度をクラブとして示している。
ちなみに22年シーズンには新たに会社ビジョンや事業方針をまとめた「カターレ富山VISION2022」も新たに発表。収益がJ3降格後最高になったことなどを受けて強化費を2.7億円(21年は2.1億)まで増額、遠征も新幹線・飛行機移動を増やして疲労を軽減させることなどを発表して、昨年との違いを示している。
(プレゼン資料がそのまま載せられており、かなり見やすいです)
■去年のスタメン
・第1節
・第16節
・第42節
勝ち点46 13勝 7分け 8敗 得点40失点34 得失点差6
システムは3322でシーズンを通して戦い抜いた(H宮崎戦のみ3421)。
メンバーを見るとGKの西部、CBの戸根、両翼の安藤、音泉、アンカー姫野、アシスト王・椎名など年間を通して戦い抜いた選手が多い(特に中盤5枚中4枚がほぼ全試合先発というのはかなり珍しい)。ベースとなる大枠の選手は固定しつつ、連携や戦術理解を重視して戦うのはJ3の中では珍しい方と言える。
尖ったスタイルを持っていた上の順位の熊本、岩手、宮崎と比べると突出したスタッツは無いものの、特筆すべき数字はゴール期待値・被ゴール期待値がともに1位という点。
前線からのプレッシングで相手の良さを消し、高い位置からの攻撃を繰り出すショートカウンター戦術を主体としながら敵陣で多くのチャンスを創出、自陣まで運ばせないことでピンチも防ぐ石崎戦術を忠実に行った結果と言える。
■現スカッド・オフの雑感
【GK】
今年で番のなかった田中勘(→いわき)が移籍して、高卒の平尾(→履正社高)、さらに山口から山田をレンタル移籍。山田は昨年はシーズン頭から大怪我を負い、リハビリの1年となったが実力は十分。GKの層は厚くなった。
【DF】
全試合フルタイム出場の不動のCB戸根が昇格組の岩手からの引き抜き被害に遭い、柳下・濱は昨年の長期離脱。若干不安は残る。
戸根の代わりとしては、経験の面でJ1での経験も豊富なベテラン・鎌田(福島)が、左CBのプレイヤーとしてはレフティーの高山(大宮)が穴を埋めたい。また、宮崎で終盤にポジションを確保していた大畑も3バックに適応できれば絡んでこれるか。レンタル中だった鹿山(長崎)を完全移籍で獲得できたのは長い目で見ても大きい。
【MF】
右WBの音速ドリブラー・音泉が水戸に移籍。新卒から存在感を示して2年連続でステップアップ、富山では戸根に次ぐ出場時間を記録していたタフな仕掛け役の移籍で右WBに大穴が空いた。代わりはC大阪U-23でもプレー経験のある大山(FC大阪)、大卒ルーキーの安光(法政大)あたりの若手になるのでやや未知数。
反面、サブ組が大量に抜けた中盤の逆三角形にはアルトゥールシルバ(FC東京)、柴田(湘南)、J3得点王の川西(岐阜)とレギュラーに匹敵する選手を多く加える大型補強。昨年の主力だった椎名、姫野、末木あたりも残留しており、戦力としては充実してるのでレギュラー争いは熾烈。もしかすると川西は一列前がメインになるかもしれない。
【FW】
動きはほとんど出番のなかった松澤(武蔵野)のアウトのみ。プレスや裏抜けが得意で重宝されていた吉平、チーム得点王の大野、夏から加入のマテウス レイリアら昇格争いに絡んだ前線のメンツが残っているのは朗報。そこに先ほど書いたように川西も加わる。
さらにすでに社長の口から"決定力のある外国籍大型ストライカー"の獲得も明言されている。
昨年は大野の9Gに続くのが、CB林堂・高橋の4Gなので「この選手が誰になるか」「いつコンディションが整うか?」は昇格を狙う上ではキーとなるように思う。
■開幕前展望(予定)
■予想スタメン(予定)
■試合前情報(予定)
※掲載順・目次
①カマタマーレ讃岐・YSCC横浜
②鹿児島ユナイテッド・SC相模原
③テゲバジャーロ宮崎・FC岐阜
④アスルクラロ沼津・ギラヴァンツ北九州
⑤AC長野パルセイロ・FC今治
⑥ガイナーレ鳥取・藤枝MYFC
⑦愛媛FC・いわきFC
⑧ヴァンラーレ八戸・カターレ富山
⑨福島ユナイテッドFC・松本山雅
(データはfootballlabより)
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