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美濃に移住して約2か月の移住者から見た美濃のあれこれ

2021年10月1日に東京の蒲田から岐阜県は美濃市へ移住し、はや2か月が経ちました。平日はシェアオフィスWASITA(※)でリモートワークをしつつ、たまに東京の蒲田の家に滞在して出社したりとプチ2拠点生活をしています。美濃での生活にも慣れてきたので、短いながらもこの2か月間で感じたことを書いてみたいと思います。美濃への移住を考えている方の参考になれば幸いです!

※美濃には「うだつのあがる街並み」という歴史と情緒にあふれる街並みがあります。WASITAは、その街中にある古民家を再生したシェアオフィスです。このシェアオフィスが面白いのは、シェアオフィスという概念を、建物内だけでなく、街全体まで広げて「まちごとシェアオフィス」としている点で、なんと、シェアオフィス内だけでなく、街中の提携しているカフェでも仕事ができるのです。ご興味ある方はHPを是非ご覧ください!

はじめに

いつも通り、まずは自己紹介からさせてください!

初めての方は、はじめまして。以前記事を読んでくださった方は、再度お目通しいただきありがとうございます。

橋元 達也と申します。

現在、子育てをしながら家族と共に自分の夢に向かうべく日々奮闘中です。美濃での移住を機に、この地で自分の夢に向けて第1歩となる事業を始めるべく、プラン策定中です。なお、自分の夢については、以前noteにまとめたので、もしご興味あれば読んでみてください!

そもそもなぜ美濃に移住したのか?

美濃のあれこれの話に入る前に、そもそもなぜ美濃に移住したのか?についてお話します。いつも前置きが長く、中々本題に入らないのはご愛敬です。お許しください!

さて、なぜ美濃に移住したのかというと、上述したWASITAを運営している会社に妻が転職したからです。笑

そうなのです。実は、自分起点ではなく他人起点です。でも、外からの力学に身を任せてみるというのも時としては良いこともあるなと思っています。私は今美濃での暮らしに満足していますが、自分起点ではおそらく美濃に住む決断をすることはなかったでしょう。

妻からは、WASITAを運営する会社の求人に応募するという話自体は今年の5月ごろに相談されたました。そのときはさすがに「え?転職は全然いいけど、美濃?あの岐阜の?」とびっくりしました。しかし、妻が元々地域暮らしに興味を持っていたのは知っていたので、妻のやりたいことを私がネックとなって止めるのもおかしな話だなと思い、「やりたいなら応募してみたらいいんじゃない。行くことがきまったならそのときにどうすればできるか考えよう」と背中を押しました。そしたら、あれよあれよと美濃行きが決まりました。笑

ちなみに、私が美濃行きを受け入れられたのは、幸い、東京でもほぼリモートワークで勤務しており、しばらくは美濃でもリモートワーク中心で働けそうだというのが大きかったです。

美濃市の地理や歴史とか

美濃市は人口約2万人でおそらく日本の中でもかなり小さい「市」になります。美濃和紙という伝統工芸や上述したうだつのあがる街並みが有名です。

地理的には、濃尾平野の北端に位置しており、3方に山があります。自然豊かでお米もお水もお野菜も美味しいです。街のそばには、日本3大清流と言われている長良川が流れています。本当にきれいです。長良川では夏~秋ごろに鮎漁がおこなわれます。鮎をおすそ分けでもらったのですが、最高に美味でした。

美濃周辺の地域に目を向けると、北は徹夜踊りと水の街として有名な郡上八幡、そして、東西および南は刃物で有名な関に囲まれています。

なお、友人たちに「今美濃に住んでいるよ」と伝えると、

「ああ美濃加茂ね?盛り上がっているよね。聞いたことある」
「美濃焼で有名なとこね」

と言われます。しかし、残念ながら(?)、美濃加茂はまた別の「市」であり、美濃焼は土岐市など5つの「市」のエリアで作られる陶器のことを指しています。

というのも、かつて江戸時代あたりまでは現在の岐阜県の飛騨高山あたりをのぞく一帯が美濃国と呼ばれており、美濃の範囲はかなり広かったのです。そのため、今の岐阜市をはじめ関市や郡上八幡市、美濃加茂市、土岐市も「美濃」というエリアだったわけです。その名残が今も地名などに残っているのだと思います。
※個人的な推測ですので間違っていたらすいません!

美濃の歴史が気になった方は、wikipediaでも意外と情報が充実していますので、そちらをご覧いただければと思います。

美濃市へのアクセス

美濃市には、長良川鉄道という美濃太田(美濃加茂市太田町)の方から北濃(郡上市白鳥町)が通るディーゼル鉄道の路線が走っています。

ほぼすべての区画は単線で車両も1両のみです(たまに観光用で3両編成のも走っています)。その路線の中に、美濃市駅があります。そのため、鉄道を使って美濃までアクセスできます。具体的には、JRで名古屋駅から岐阜駅を経て美濃太田駅に行き、そこで長良川鉄道に乗り換えます。ただなんだかんだ名古屋からだいたい1時間半~2時間くらいはかかります。新幹線での品川-名古屋間と同じくらいの時間がかかりますね。So Far!

バスに目を向けると、名古屋駅のバスターミナルから美濃IC付近まで高速バスが出ています。名古屋駅から美濃ICまでは高速バスでだいたい1時間弱くらいでしょうか。ただし、美濃ICから「うだつの上がる街並み」までは約2.5kmくらいはあり、歩くと30分くらいはかかります。タクシーを使えば5分くらいでつきます。

また、電車とバスのハイブリッドパターンとして、名古屋駅から岐阜駅まで電車でいき(約20分)、岐阜駅から岐阜バスの岐阜美濃線にのって1時間ほど揺られるという作戦もあります。それでも結局名古屋から美濃までは約1時間半かかりますね。やっぱりSo Far!

ちなみに、私は東京へ移動する際はハイブリッドパターンを利用することが多いです。

以上、公共交通機関を利用する場合は美濃はアクセスがいいとは言えないです。しかしながら、車を利用する場合であれば、名古屋から約1時間程度で来れます。そのため、旅行で美濃に訪れるのであれば、名古屋駅または岐阜駅(岐阜羽島駅もOK)からレンタカーを借りるのが一番便利だと思います。

美濃の住宅事情

移住が決まった際、まず最初の問題は「どこでどんな家に住むか?」です。通常、住居を探すのであれば、不動産屋さんにあたるのが普通です。しかしながら、賃貸の場合、不動産が仲介して紹介できる物件が美濃にはあまりありません。

一方、現在の日本では「空き家」問題が取りざたされていますが、美濃も同様に空き家は多くあります。そのため、美濃でも空き家を活用するために、NPO法人が移住者向けの空き家紹介を行うサービス「美濃のすまいづくり」を提供しています。このサービスでは、主に一軒家の古民家で、改修必須のものから少しの手入れでOKのものまで幅広く扱っており、田畑付きの物件もあります。私たちも「せっかく美濃に住むなら古民家的なところにしたいね」ということでこのサービスを利用させていただきました。

ちなみに、家を探した際には、(非公式な?)空き家情報源としてガス屋さんにもとてもお世話になりました。美濃では、都市ガスではなくプロパンガスです。そのため、地元のガス屋さんが各家のプロパンガスボンベを管理・交換されています。空き家になればガスが利用されなくなるので、ガス屋さんが一番空き家情報に詳しくなるみたいです。

また、美濃に限らず、各地の空き家も同様らしいですが、空き家であっても所有者が積極的に空き家であることを開示し、一般の不動産の流通網に乗せることをあまりしないようです。一方、信頼できる人づてであれば、空き家を貸したり売ったりということはあるようです。

私たちは現在、築100年以上で長屋づくりの家に仮住まいをしています。移住前に改修して住もうと思っていた物件の改修が間に合わないということで一時的に住むことになりました。そして、当初改修して住もうと思っていた物件は断念し(※)、子供の保育園の園長先生のお知り合いづてで築60年くらいの空き家を紹介してもらいました。現在はそこに住む方向で段取りを進めています。

※改修を担当いただく予定だった建設会社さんの方と改修予定の家を現地で見ながら色々相談したところ、「改修して賃貸で住むのであれば、悪くもないが良くもない物件。今住んでいるところである程度暮らせているのであれば、もう少し物件を探してみてもいいのでは?」とご助言をいただき、決断しました。建設専門の方の自分たちの利益を抜きにしてくださった提案だったので、びっくりしたと同時にとてもありがたかったです。

ちなみに、現在、美濃市では移住者向けに空き家の改修に対してのサポートがあります(要件はいくつかあり)。

美濃の街並み(個人的視点から)

私たちが現在住んでいる地域は、西市場町と呼ばれるところでうだつのあがる街並みから徒歩5分もかからないところです。うだつのあがる街並みは、町家づくりの家が連なっていて歴史的情緒あふれています。平日のお昼休みや休日にそんな街並みの中をフラッと散歩するのは楽しいです。贅沢!

ちなみに、あの人は「うだつが上がらない」って言葉を聞いたことがあるりますよね?この「うだつ」というのは、連なる家の間の2階部分にせり出した防火壁のことで、お金を儲けている家ほど立派な「うだつ」を設けていました。ある意味、富の象徴だったわけです。だから、「うだつが上がる」というのはそのお家がしっかり稼げていることを意味し、「うだつが上がらない」のはその逆になります。そこから転じて、現在では中々パッとしない人に対し、「あの人うだつが上がらないよね」的な使われ方をするようになったようです。

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このうだつの街並みの中には、結構飲食店が充実しています。お店はほとんど個人経営で、昔ながらの中華屋さんやラーメン屋さん、ここ数年で開業したおしゃれなお店などがあり、外食事情は充実しています。また、飲み屋さんも充実しており(もちろん蒲田ほどではないけど)、お酒好きの私としても満足しています。ただ、一つ残念(?)なのは、サッポロビールを置いているお店がほとんどないことです。私が確認できているのは、ドラフトを置いている店舗が1軒、瓶ビールのみを置いている店舗が1軒です。そのため、密かにサッポロビールを布教していきたいとも思っています。笑

胡麻や:黒ラベルがドラフトで飲めます
初野家:赤星があります

また、美濃には「うだつの上がる街並み」以外にも見どころがあります。私が訪れたところでは、以下の場所が自然と情緒にあふれていてよかったです。

大矢田神社のもみじ谷:紅葉シーズンは特に綺麗です
須原神社:長良川と歴史的建造物のコラボが最高です

かつて、加賀国、越前国、美濃国(現石川県、福井県、岐阜県)あたりは、白山に関わる山岳信仰があったため、神社が結構多いようです。

美濃でのリアルな暮らし@ガチ古民家

続いて、リアル生活事情です。田舎あるある(かどうかは知りません)で車がないとスーパーに買い物に行けないということがあります。しかし、私が住んでいるエリアは徒歩5分圏内にイオン系列のスーパーがあり、助かっています。シェアオフィスも徒歩圏内なので、普段の生活では車がなくてもある程度生活できる環境です。とは言っても、鉄道網が発達しているわけではなく、バスもしょっちゅう来るわけではないので、車がある方が何かと便利ではあります。

車があれば、美濃IC付近には大きなスーパーオオクワやホームセンターコメリなどもあり、買い物に困ることはないです。ただ、美濃には大きな商業施設はないので、「洋服とか家具とか諸々買いたい!」ってときはお隣の関市にあるマーゴ(車で約20分)に行きます。また、美濃にはチェーン店が一つもないので、ジャンキーなマクドとか食べたくなった場合も関市に行く必要があります。

最後に、古民家で暮らすということの実態です。東京にいたときも旅行で古民家の1棟貸し切りの宿に泊まって過ごしたりしたことはありましたが、本当の古民家に住んでみて「あの宿泊用の古民家は、断熱や空調の設備などがしっかりされている古民家風の家だったんだな…」と実感しました。笑

実際の古民家は、夏は暑く、冬はかなり寒いです。虫も普通に出ます。ネズミも普通に屋根裏を元気に走り回ってます。テーブルの上にチータラが入った袋を置いておくと、ネズミが袋に穴を空けて喜んでチータラを食べます。古民家で暮らす場合、都会での暮らし方では通用しないということを痛感しています。笑

なお、私たちの家では、台所があるダイニングのやや中央を雨樋が私(身長180cm程度)の顔ぐらいの高さにあり、ダイニングを横に突っ切っています。部屋の真ん中にあるので良く頭をぶつけます。また、トイレとお風呂場は意外とキレイなのですが、半分外の場所に設置されています。少しクレイジーな家ですが、この家での暮らしにもすっかり慣れ、今は十分満足しています。

ちなみに、雨樋とはコレです。

雨樋

「美濃で働く」の個人的感想

最後のパートは美濃で働くことについてです。

なお、私自身は美濃の地で働いてはいるものの、東京の会社にリモートワークで勤めています。そんな立場からの所感ですので、その点ご留意ください。

まず、先に美濃に移住している先輩方や美濃の地で活躍している方々を見てみると、
・起業家または起業スピリットがある
・デザイナーや建築士などクリエイティブなスキルがある
方々が多いなというのが個人的な印象です。

移住した先でも仕事をして生活費を稼がないともちろん生きてはいけません。美濃においても「稼ぐ」にあたっては、「自ら仕事を創れる人」や「自分の手で価値を創れる」というスキルや気概がないと中々難しいなと感じています。都会であれば、何かしらの仕事は既にそこにあるので、それを引き受けるだけでよいですが、地域の場合はやはりそうはいかず、自ら「仕事を創る」という意欲と行動にかかっているといえるでしょう。

また、手前みそながら、私はサッポロビールという種別上は大企業に分類される会社で働いています。そんな自分が美濃で働いていて感じるのは、大企業の人財ほど地域で働いた方がいいということです。
※もちろんリモートワークが適している職種やそうでない職種で色々検討すべきことはあります。

美濃でリモートワークをして約2か月ですが、その間に、東京では中々接点を持てないような方々にお会いしてご縁ができました。その方々からは刺激を貰い、「自分もやるぞ!」という意欲が高まっています。また、美濃では、起業をしている人や自らが商いをやっている人たちが多くいるので、「起業」ということが東京にいるときより身近に感じ、「起業」に対する心理的ハードルが下がっています。

美濃では、インフルエンサーな学生、ITサービスを一から立ち上げた人材紹介会社の方、美濃を元気にするために走り回っている方々など面白くて素敵な方々に出会えました!

そして何より、地域で起業する方が、東京で企業するより起業そのもののリスクが少ないと感じています。空き家の家賃も東京の家賃と比べるとギャグみたいな値段ですし、場合によっては地域からのサポートもあります。大企業の人財ほど、地域に出て行ってそこで自ら事業を起こし、その経験を持ち帰ることで会社に貢献できるのではと考えています。

さいごに

以上、2か月というそんなに長くない居住期間ですが、移住して間もない人間からの視点から美濃のことや美濃の暮らしを書いてみました。もし美濃で住むことに興味がある方がいらっしゃいましたら、私のnoteのアカウントにはFBアカウントのリンクがありますので、そちらからご連絡いただければ何かお答えできるかもしれません。ただ、全てにご回答できるかどうかはわかりませんので、その点はご承知おきください!

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

それでは、今日も乾杯!!🍻


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インプットしたものを何かでアウトプットしたいと思い登録。いずれブルワリーを自分で立ち上げ、それを中心にビアバーやゲストハウスなどシナジーがありそうなことを始めることを妄想中。ビールを囲んだコミュニケーションでみんなを笑顔にしていきたい。