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リスボンの熱

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2019年に訪れたポルトガル・リスボン。 そこで体験した「食と音楽」の旅。
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リスボンの熱。その1

リスボンの熱。その1

2019年7月1日。もう2ヶ月以上が経ったのか。

ロンドン市内から電車でルートン空港へ。ルートン空港のエリアは市内とは電車の料金体型が少し違うらしくいつも使ってるオイスターカード(※1)ではそのまま自動改札を通れず・・。ちゃんとチャージがなくならないように入金しておいたのになぁ。。

改めて駅員さんに清算してもらってから空港行きシャトルバスに乗り込んだ。しばらく乗っていると新しいけどどこか全体的

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リスボンの熱。その2

リスボンの熱。その2

「リスボンの熱。その1」からのつづき。

ルイスそしてパートナーのマヤが住む家の2階の一室が私の部屋だった。家の外面は石造りの中世の佇まいのままだが内装はしっかり現代的にリフォームされている。石や煉瓦で作られた建物が多く地震が少なく崩れにくい土地柄だからこそ成り立つ考え方や歴史のアップデートだと思う。「古都」として売ってる地域以外は古い建物をリフォームしたら使えるのにすぐに壊してしまい安っぽく使い

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リスボンの熱。その3

リスボンの熱。その3

「リスボンの熱。その2」からのつづき。

ルイスのお店まではそれほど時間はかからないはずと踏んであてずっぽうに小道をさまよい始めた。焦る必要もないし天気もすこぶるいい。

歴史も積み重ねてきた石造りの建物の2階住居部分に女性の下着も含む洗濯物が運動会の万国旗のようにはためいてるのが目に入る。「ラテンの国は大らか」ついそんな安易な言葉が頭をかすめてしまう。洗濯物の向こう側に真っ青な空が広がる。雨の日

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リスボンの熱。その4

リスボンの熱。その4

「リスボンの熱。その3」からのつづき。

開放的と感傷的。この2つが私の中でパレット上に水を落とした水彩絵の具のように滲み交わっていた。リスボンがそうさせるのか自分の中に元々棲みついてるものが引き出されたのか。きっとその両方。ベニコさんのアトリエで思い出していた26年前の沖縄での感触も手伝っているようだ。はっきりとはまだ見えないけど何か新しいことが始まりそうだった。

ホットサンドとレモネードを平

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リスボンの熱。その5

リスボンの熱。その5

「リスボンの熱。その4」からのつづき。

セウ・ジョルジュの歌にひたすら感動した後、ルイスのパートナー・マヤがカフェにやってきた。彼女とはロンドンに入る前からFacebookのメッセンジャーでやりとりをしていたけど毎回どこかそっけない人だなぁという印象だった。でも実際に会ってみると明るくてチャーミングな人だった。2つ仕事を掛け持ちしていて朝早く出かけ夜は早めに眠ることが多く昨夜私が到着した時はすで

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リスボンの熱。その6

リスボンの熱。その6

「リスボンの熱。その5」からのつづき。

「そろそろ地元の大衆食堂に行きましょう」マヤが言った。高台に登ってきた道と同じ石畳の急な坂の小道を2人でゆっくり下っていく。今日初めて会ったばかりの人と歩きながら話す時の距離感ってなんだか難しいなぁとか考えながら少しずつ黄昏ていく時間。街の色が段々と変わっていき街自体が少しずつ大人びていくように見えた。

「このお店も美味しいわよ」「このお店でファドも聴け

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