「ちょー元気」のように、「ちょー」をつけて強調する言葉は東海地方で生まれ、東京に入ってきたと考えられます。 このように、東京の言葉だと思われているものの中には、もともと他地方の方言だったものが東京に入り、メディアを通じて共通語となるケースがあります。
同じ江戸の住人でも、話す言葉は階級ごとに異なりました。 例「私にもそれを下さい」 男児「あたいにもそれをくんな」 女児「私にもそれを頂戴な」 芸姑「私にもそれ頂戴よ」 書生「僕にもそれ呉れ給へ」 職人「わしにもそれくんねい」 江戸の言葉と一口に言っても、実態は多様なのです。
東京には伝統的な方言(いわゆる下町方言)がありますが、他地方からの移住者が圧倒的に多いため、移住者の話す言葉になりきれておらず、東京において主流な方言とはなっていません。 東京では、移住者の習得した共通語や諸地方の方言に影響を受けた「首都圏方言」が主な方言になりつつあります。
東京でしか伝わらない方言でも、自分が使えば共通語だと考える若年層が増えていると言われます。 終戦後までに言語形成期を終えた東京方言の話し手の多くは、東京方言と「標準語」、共通語は別のものだと自覚していたと言われます。