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教育ローマ字講座のお知らせ 「教育ローマ字の理論:音節1」

日本語(東京方言)には冒頭に子音クラスタ(子音が連続する部分)を持つ語が多数あります。関東圏の方、あるいはいわゆる「標準語」的な発音に慣れている方は、自分の発音を振り返って考えてみながら、以下のリストと説明を読んでみてください。 指摘 (SHiTEKI) 臭い (KuSAI) 比較 (HiKAKU) つくし (TSuKUSHI) 企画 (KiKAKU) 上に示した綴りにおいて、太字で示しているところが子音クラスタです。子音クラスタの途中にある母音字だけが小文字にな

    • Q. nF/F って見にくくない? なんで変えないの?

      現代の日本語の声調に関する理論は、今から約130年前 (1892-1893) の山田美妙『日本大辞書』が嚆矢の一つでしょう。その後、佐久間鼎の「三段観」、宮田幸一、続く川上蓁らによるいわゆる「方向観」の提案、それをきっかけとした方向観と「段階観」の理論的対立など、さまざまな経緯があって発展してきました。この130年間、基本的には段階声調の理論をベースに日本語の声調理論は発展してきています。(誤解されやすいと思いますが、いわゆる方向観も基本的には段階声調に関する理論です。)

      • 母音の話2: Wikipedia のスウェーデン語の母音チャートがわかりにくかったから、わかりやすくした

        まじでわかりにくいWikipedia 前回の記事で、F2 の値を4段階区別する言語の例としてスウェーデン語をあげたけど、無責任にも引用元の論文にそう書いてあったのをそのまま書いてしまっただけだったから、一応確認してみることにした。 英語版 Wikipedia には以下の図が載っている。 引用されているのは IPA の公式ハンドブック。 ぱっと見、かなりごちゃごちゃしていて、何がどうなっているのかよくわからない。とにかく左上の方にいろんな母音が密集していることはよくわ

        • 母音の話 1

          母音図 言語学では色々な形の母音図が使われるが、とりあえず以下のものを基本として良いとおもう。 狭広と前後を3段階に分け、それぞれに円唇と非円唇の記号を用意する。 慣れないと少しわかりにくいかもしれないが、この母音図で使われている記号は言語学の伝統的な記号の使い方に従っていて、次のように考えると覚えやすい。(それぞれの記号は伝統的な使い方のうちの一つを選んでいるが、この母音図と全く同じものが伝統的に使われているという意味ではない。) まず、以下の図を考える。 母音の

        教育ローマ字講座のお知らせ 「教育ローマ字の理論:音節1」

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        • 東京方言の音韻論
          4本
        • 韓国語
          6本

        記事

          東京方言の音韻論のためのちょうどいい音声記号を考えたい

          個別言語の音韻論はその言語における音の出現パターンを記述するために、音をグループ分けしたり、関連づけたりする。[s, x, t, k] などのような一つ一つの音(単音という)をただリストアップすれば良いわけではなく、[s, x] は摩擦音で [t, k] は閉鎖音だとか、[s, t] は歯音で [x, k] は軟口蓋音だとかいうふうに、さまざまな基準で分類したり、特定の環境に [t, k] は現れるけど [s, x] は出てこないということがあれば「この条件下では摩擦音は現れ

          東京方言の音韻論のためのちょうどいい音声記号を考えたい

          韓国語のローマ字表記法 ʻAdkuwkaw について

          本稿で解説する ʻAdkuwkaw は ʻEdkŭka の新バージョンです。 ʻEdkŭka について詳しくは以下の記事をご覧ください。 ʻAdkuwkaw ってなに?韓国語の現代ソウル方言を表記するためのローマ字システムです。独自の音韻分析に基づいており、子音字をわずか10文字しか用いないのが特徴です。母音字も含めると、大文字と小文字を区別しない場合、以下の10子音字、さらに、主母音用の文字として2文字、グライドを表す4文字の計16文字を使います。 子音字:p, b, 

          韓国語のローマ字表記法 ʻAdkuwkaw について

          韓国語歌詞のローマ字化:NewJeans – Attention

          You and me day babi poici ʻatcabuz cʻawtapua kagʻai takaka You see You see, ey, ey, ey, ey One, two, three iogkika saygkiawzʻi ibi adud day duwtci kokayzuz tozziaw cʻawtcawdgi iawki You see iawki poidi Looking for Attention dawiakaysʻaw ʻ

          韓国語歌詞のローマ字化:NewJeans – Attention

          ʻEdkŭka の初心者向けガイド

          内輪で使うために作ったスライドを共有します。 ʻEdkŭka については以下の記事でも解説しています。 https://note.com/j9a/n/n994d1097c79f 

          ʻEdkŭka の初心者向けガイド

          東京方言の「昨日類」(アクセントと音節の関係)

          この記事では、東京方言のアクセントを理解するために重要な「昨日類」と呼ばれる語群について説明します。「昨日類」という便利な名称はわっしーさんが付けてくれました。 本記事を読み進めていただく前に、前提として、東京方言アクセントの基本的な仕組みについて説明した次の記事をご覧ください。通説とは異なる分析であり、本記事の前提となるものなので、すでに詳しい方もご一読ください。 本文に入れることができなかったややこしい話は「補遺」として最後にまとめてあります。 「昨日」のピッチ形の

          東京方言の「昨日類」(アクセントと音節の関係)

          日本語のトーン表記法を紹介します(関西方言編)

          この記事では、関西方言のトーン表記の方法を紹介します。まず現在一般的に通用している説を紹介し、次に私の説を紹介します。この記事で紹介する私の説は、私が考案し今でも改訂作業を続けている、関西方言専用のローマ字表記法「関西ローマ字」で採用されているものです。 関西ローマ字については以下のページをご覧いただくか、私( twitter.com/awesomenewways または maroon_02_flory@icloud.com )にお問合せください。 この記事ではおもに京都

          日本語のトーン表記法を紹介します(関西方言編)

          「神奈川県三浦市方言のア]カトンボについて」のふりかえりと質疑応答の補足

          先日の日本語学会(学生セッション)で、表題の発表をさせていただきました。 質疑応答では多数の質問をいただき、その場でできる限りの回答をしたつもりですが、緊張の中、限られた時間で慌てて返事をしていたということもあり、改めてかきなおした方が良いこともあると思い、いただいた質問の一部と、それに対する回答を書いてみようと思います。 なお、いただいた質問を正確に再現できているかは分かりません。また、すべての質問を取り上げることもできません。発表そのものも含め、説明が不十分だった部分

          「神奈川県三浦市方言のア]カトンボについて」のふりかえりと質疑応答の補足

          日本語のトーン表記の方法を紹介します

          この記事では、日本語のトーン表記の方法を紹介します。まず現在一般的に通用している説を紹介し、次に私が支持している比較的新しい説を紹介します。 記事内で単に「日本語」という場合、少なくとも終戦以降、現在に至るまで東京都(伝統的には23区内)を中心に使われているもののうち、比較的規範的または標準的とされる言語変種で、言語学では「東京方言」、または首都圏の伝統的な方言の違いが目立たなくなり共通化が進んだことに着目して「首都圏方言」と呼ばれているものを指します。ただし、地域を問わず

          日本語のトーン表記の方法を紹介します

          韓国語では小さい「ッ」の後には激音か濃音しか立たない

          この記事は以下の記事で紹介した韓国語ローマ字表記法『 ʻEdkŭka 』の解説です。 小さい「ッ」の後には激音か濃音しか立たないここでいう小さい「ッ」とは、韓国語における以下の三種の音です: [p, t, k] 辞典などで使われるハングルの発音表記では: [ㅂ, ㄷ, ㄱ] 韓国語では、これらの3つの音のどれかが現れると、後続する子音が必ず激音か濃音になります。 濃音と激音は、それぞれ以下の文字で表される音です: 激音:ㅍ, ㅊ, ㅌ, ㅋ, (ㅆ) 濃音:ㅃ

          韓国語では小さい「ッ」の後には激音か濃音しか立たない

          韓国語をローマ字表記するための新しい方法『ʻEdkŭka』

          (2023/06/21)新しいバージョンを公開しています https://note.com/j9a/n/nc9f3037f128e 以前の記事で、韓国語の伝統的な表記法は発音以外の情報を含んでいるため、発音だけを表記することにすれば文字を大幅に少なくすることができる、ということを書きました。 リンク先の記事における私の主張は、言語学的に分析すれば、韓国語には子音が10種類、母音が4種類、グライド(半母音)が2種類あり、グライドのうちの1種類は条件によって子音のように働く、

          韓国語をローマ字表記するための新しい方法『ʻEdkŭka』

          「神奈川県三浦市方言のア]カトンボについて」を公開しました

          ResearchGate に表題のファイルをアップロードしました。以下のリンクからダウンロードできます。 https://www.researchgate.net/publication/353614172_shennaichuanxiansanpushifangyannoakatonbonitsuite 内容は、神奈川県の方言を研究されている坂本薫氏に提供いただいた音声データをもとに、過去に報告されたことがない、ア]カトンボをはじめとする4語(ア]カトンボ、ウ]ミボーズ

          「神奈川県三浦市方言のア]カトンボについて」を公開しました

          「4つの素性と16の分節: 韓国語のミニマルな音韻目録」を公開しました

          ResearchGate に「4つの素性と16の分節: 韓国語のミニマルな音韻目録」と題した文章をアップロードしました。以下のリンクからアクセスできます。 https://www.researchgate.net/publication/353345228_4tsunosuxingto16nofenjie-hanguoyunominimarunayinyunmulu 内容は、韓国語(朝鮮語ソウル方言)の音韻目録を整理して、従来19あるとされた韓国語の子音目録を、まず10個

          「4つの素性と16の分節: 韓国語のミニマルな音韻目録」を公開しました