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SF小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

急上昇の記事一覧

てんぐの読書感想:三体2部 黒暗森林(上下)〜人類で最もチンケでタフなギャンブラー、その名はDr.ロジック

 Netflix版三体を見終わり、テンセント版も二周目に入ってる今日この頃ですが、文庫版の2部も読了いたしました。  いやあ、オバマがこれにハマってたのも納得ですよ。あの「暗黒森林」学説に基づく恐怖を我が身に置き換えて実感できる読者って、世界中を探しても大統領在職当時のオバマ以上の人は、ちょっといないでしょう。  そして、「オバマが三体にハマっていた」という逸話と照らし合わせてスリルを感じたシーンが、アメリカ国防長官だった面壁者一号が、自らの“計画”のために三体世界では生き

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短編小説『リボーン』

「生まれ変わりって、信じる?」 それが。妻の、最後の言葉。 血友病で、死んでいった妻は。 とても美しい人だった。 真っ白なシーツに、 真っ赤なバラの様な血を吐きながら。 それでも。妻は、美しかった。 自分が、血友病だと知った時も。 「私の中を流れる、血と友達なのよ。」 と。とびっきりの笑顔で、笑っていた。 とても強い人だった。 医者でもあり、科学者でもあった私は。 妻が亡くなる、数秒前まで。 ありとあらゆる延命処置を試みた。 まずは。 妻の脳を、クローンに移植する

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恋愛SF『星の降る島』3章 4章

3章 レオネ  わかっていますよ、レアナ。  あなたに託された務めは、必ず果たします。  わたしは、そのために誕生したのですから。  あなたが母。マークが父。たとえ彼が、それを知ることはないとしても。  この道の先で、いつかまたあなたと出会う時まで。わたしは人類の守護者です。  わたしの中核となった細胞群がいずれ死滅しても、わたしは問題なく生き続けられます。今のわたしはもう、地球全体を覆っているのですから。 4章 マーク  この地階から、どこへも行けないのは驚

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『サイバー・ジェロントロジー』 2

1993年の夏、山間の小さな村で、朝靄が徐々に晴れ渡っていく。一面に広がる田園風景が、まばゆい日差しを浴びて輝きだした。 「Xくーん! 起きなさいよー」 祖母(おばあちゃん)の声が、軽やかに古びた農家の軒下に響いた。遅めの朝食を前に、6歳のXをつつきおこすのが日課だった。 「おじいちゃんは?」 「もうとっくに畑に行っておるわよ。X君も早く支度しなさい」 Xは慌ててTシャツに着替え、おばあちゃんの用意した朝食を手早くつまみ食いした。 さっそく庭を走り抜け、畑の入り口まで小

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ガンヘッド小説版(著:會川昇)【バカめ。真の読書紹介とはどういうものか、貴様には分かるまい「バカはお前だよ」なにっ。ぶほわっ】

90年代の日本に特撮SF対策を撮ろうという無謀な計画を企て、 当然ながら爆死した作品がありました。 (まあ映画版は観てないのですが) いちおうガンヘッドゲームブックで映画版の内容を把握はしています。 (確かゲームブックだったはず) 世紀末的な世界観で、滅亡寸前の人類がコンピュータに管理される社会で、 その管理に辟易した反抗分子がアウトローの果てに全滅。 ひとり生き残った少年と、途中で拾った少女と、 謎の古代の封印兵器(まあ人型戦車なんだけど)ガンヘッドを駆使して生き残る。

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はじめに

こんにちは! くつしたです。 来てくれて、ほんとうに、ほんとうにありがとう。 とっても、うれしいです。 まずは自己紹介から。 くつしたは物書きです。 書くのが好きで好きで好きで好きで好きで好きです。 なんでもいいんです、お話だけじゃなくって、日記でも、落書きでも。 書くのが幸せ。 楽しくって、書いてます。 ここに来た人にも楽しんでほしいなあ、と思ってます。 第一目標:楽しんでもらう、です。 くつしたのいう「楽しい」は、 笑ったり、わくわくしたり、 元気になったり、

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『サイバー・ジェロントロジー』 3

Xが高校生になった2000年、おじいちゃん(祖父)の第二の人生が始まった。かつて田舎の生活に学び、Xに人生の本質を教えてくれた祖父が、いよいよ認知症を発症したのだ。 最初はささいなことから気づき始めた。おじいちゃんが朝の畑仕事に出かける際、うっかりと農具を忘れていく。それがきっかけで畑で時間を持て余し、あふれ出る暇つぶしを家族は目にするようになっていった。 「この野菜はいつ収穫したんだっけ?」 「作物の手入れ、たしか昨日したよなあ」 おばあちゃんから遅れてやってくる夕飯

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LSD《リリーサイド・ディメンション》第48話「平和な日々」

  *  ――百合暦二〇XX年七月十三日をもって、百合世界は薔薇世界の呪いから解放され、大人になっても死ななくなった。  その呪いから解放されたためか、エンプレシアでは騎士学院が解体され、なにもしなくなった――もう、呪いから解放されたからだろう。  呪いから解放された百合世界の唯一の国であるエンプレシアの女王――マリアン・グレース・エンプレシアにより、やがて拒絶の壁と断罪の壁を取り除き、全領土の地形の把握に取り組んだ。  もう薔薇世界の呪いは存在しない――だから、オレ

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神様?のおはなし⑳

↓シリーズはこちらから 仕事が上手くいく事で、家族との休日も楽しむことができるようになった。 ゆったり過ごしたり、買い物に行ったり。 楽しむことを大切にする。 一つがうまく行かなくなって、全てうまく行かなくなることもある。 でも、一つ上手く行って、全て上手く行くこともあるのだと学んだ。 子育てにも奮闘できるようになった。 子供にも気遣わせず、全力で遊べるようになった。 わがままも受け止められる、心の余裕が生まれた。 心は少しのきっかけで良くも悪くもなる。 それが

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聖者の揺り籠(前編)

 エリス・如月は殺すな。生け捕りにしろ。  教官は命令の最後にそう付け加えた。それを聞いて教官の教えに人一倍素直に従ってきたグレンは初めて疑問を抱いた。  エリス・如月は世界を混沌に陥れ、破壊と死の風をもたらした魔女だとされている。ならば、これ以上世界に悪を成さないように速やかなる死を与えるべきでは。万一仕損じでもしたら、厄介なことになる。グレンは正直者だったために挙手をし、その旨を教官に直接ぶつけた。  教官は火のように顔を赤くして、グレンの頬を激しく打った。「愚か者が。貴

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東京装甲少女 EPISODE 0  第11話 【救聖軍】

シェイルは父に背負われ、母と共に、北の丸公園で行われていた救聖軍の炊き出しの長い列に並んでいた。 また、救聖軍仕切りで有事の際に国から解放された 北の丸公園公務員宿舎の宿泊の抽選も同時に行われていたので更に多くの人々が公園には集まっていた。 この付近は、皇居や国の重要拠点が多数点在する事もあり、下町上空とは違い制空権を握らせまいと、多くの防衛力を割いていた為、比較的安全ではあったが今まで関東圏は空襲が少なかったが遂に、 本格的に襲撃を受けるようになってきた。 戦禍が広

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聖者の揺り籠(後編)

■前編はこちらから■後編 母が死んだとき、世界はまだ混沌に包まれてはいなかった。  葬儀は大人が取り仕切っていたから、グレンはほとんど覚えていない。覚えているのは、ただ泣きじゃくって母の棺にとりついていたことと、もしかしたら父が来てくれるかもしれないという期待だけだった。  グレンが物心ついたとき、既に父は家にいなかった。母からは父は偉い身分なので忙しいのだとずっと聞かされていた。でも、どれだけ忙しかろうとも、母の葬儀に顔を出さないはずはない、とグレンは信じていて、それを周り

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LSD《リリーサイド・ディメンション》第47話「最後の戦い」

  *  ――本当の意味で、これが最後だ。  三体の帝を倒すことができたら、この百合世界は永遠に平和になる。  空を舞う三体の帝を標的にして、オレたちは、ひたすら攻撃をおこなう。  雷家臣三体、光家臣三体、天家臣三体がオレたちの攻撃を止める。  家臣の魔物を突破する。  それができなければ、三体の帝に攻撃を当てることはできない。  倒さなければ、いけないのに――。  ――オレは思う。  オレの心器の花である百合には、まだ可能性があると信じている。  オレの

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LSD《リリーサイド・ディメンション》第49話「稲穂の騎士――ルイーズ・イヤーズ・パレスアリー」

  *  ――その少女は稲穂のような黄金をまとう騎士だった。  それはマリアン・グレース・エンプレシアとは別のベクトルの黄金……瑞々しい稲穂のような髪を持つ少女――ルイーズ・イヤーズ・パレスアリーだ。  彼女の記憶は、オレの中には存在しなかった、はずなのに、なぜか、この百合世界では神託者のひとりとして存在している。  オレが気づいていないだけで、本当は存在していたのかもしれないが、真相は不明だ。  オレは彼女に疑問を抱いている。  だから、こうして模擬戦という形の

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餓 王 鋳金蟲篇 2-4

 空気が薄くなった。  灌木は既に見ない。  昨日までは平原を覆う草原があったが、今や岩陰に僅かに繁茂しているのを見るだけだ。吹き抜ける風には氷雪の冷気がある。  黒毛の山牛を押し並べて進む隊商の姿もない。  空気が薄いことにカリシュマは慣れている。私も化身の身であり、爬虫類の特質を持つために代謝が低く、さほど苦痛ではない。  しかしルウ・バの表情は暗い。  身体を鎧うあの筋肉が枷になっているのだろう。彼には呼吸をゆったりとするようにと言い置いていた。  しかし昨秋は、この肉

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東京装甲少女 EPISODE 0  第13話  【 カミーユ 】 

朝起きると、いつの間にか秋水はいなかった、、、、。 私と幼い可愛いシェイルを残して、、、、、。 確かに、この突然の戦争で彼にとって、色々な物を失ったと思う、 街や道場や仲間たちそして、彼なりの正義 だが、それは、私も同じだ、、、、、、、。 まだ、家族である私たちは、ここに生きている。 何かしら事情はあるのかもしれないが、彼は私たち家族を置いて去った、、、、、これは紛れもない事実だ。 普段から強い人ほど案外弱いのかもしれない、、、、。 でも、あの人は愛する私たち

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自分の小説が今まで読まれた頁数を確認してみた 『安定を重視して就職したつもりの会社が・・・ブラックな地球防衛隊?だった件』

今まで書いた小説で、Kindle出版した物語は1つだけ。 とはいうものの、長編なので全10冊。   Amazonから久し振りに、振込み通知のメールが来た。 売上は全て Kindle Unlimited。 今まであまり気にもしなかったが、どれくらい読まれたのかを確認してみた。 (全記録を見る方法を初めて知った)   同じ小説が無料で読める「小説家になろう」のアクセス数(購読数)は、桁違いに多い。   「小説家になろう」へ連載を始めたのは2019年末から。 KDPと期間は異

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桜井夕也「Neuromantic Wintermutant/Perfect Garden」

◆作品紹介 ■Neuromantic Wintermutant  ベトナム中部の街フエ。古都。日本の京都に似ている。寺院や古い皇帝廟でひしめいている。天使は逃れ去ってしまった。  愛とは何か。カテゴライズできない無数の関係がある。憎悪と怨恨に裏打ちされた敬愛。無関心を装いながらの性愛だけの関係。女性と女性とのシスターフッド=友愛。  私たちは日々、駅の構内で、街路で、ビルの中で、様々な闘争/逃走線が行き交う関係性を生きている。それは何かの隠喩かもしれないし、メタファーが

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みらいせいふく 第二話

遠野 弍誇(とおの にこ)、それがオレの名前、名前の由来は母親の「いつもニコニコしててほしい」という想いからだそうな。漢字はカッコいいヤツにしといたらしい。  職業は学生、Y県Y市の中央高等学校に通っている。友達は普通にいるかんじ。頭も普通。  こんなどこにでもいそうな男子高校生、だが宇宙への興味関心は人一倍強いと思っている。  さて、いつもとなんら変わりはない金曜日、学校も終わり、帰路をトコトコ歩いていた時だ。 「…………ん?」  横を見る、いつもと変わらない廃墟

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短編小説1

依頼の成仏を終え、私たちは岐路に足を向けた。 あれは確かに依頼主の夫の亡骸であった。 しかし、所長は真実を告げなかった。 「なぜあの時を告げなかったのですか。彼女、きっといつになっても、夫を探し続けますよ」 所長は深いため息をつきながら言った。 「お前、知らないのか。この災害で沢山の人が亡くなった。真っ黒に焦げた死体や泥まみれの水死体、それと同じくらい自殺で亡くなったような死体も多くある。時と場合によっては、真実を知ることが彼らの傷を広げることになるだろう。今、俺たちができ

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