君は美しい(最終夜)

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空港の中で30分ほど腰かけていたが、心はざわざわしていた。

なんとなく、背筋をしゃんと伸ばしていないと落ち着かない感じ。

チェックインカウンターがオープンしたので、先にスーツケースを預けに行く。

すぐに元いたイスに戻り、まわりを見渡すが、彼はいない。

出発時間まで、あと1時間半だ。

もう少ししたら、搭乗ゲートに行ったほうがいいだろう。

(来ないんだろうか

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君は美しい(第十六夜)

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「そのドレス、とてもきれいだ」

私のワンピースを褒めた彼は、白いシャツにジーンズ姿だった。
初めて出会った日に着ていた服だと、すぐに気づく。

「妹さんの誕生日パーティは、どうだった?」
「よかったよ。ケーキがすごく大きくて、食べきれなかったけど」

そう言ってウインクする顔は、初めて会ったときより打ち解けた、いつもの彼だ。

今日が最後だなんて信じられない。

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結婚する前にもう一度

彼は非常にマイペースだった。約束の時間に来ないのは当たり前だったし、ドタキャンすることも珍しくなかった。

「今、富士山に向かっているから」と、わたしとの待ち合わせの時間を過ぎてから電話で宣言されたときは、開いた口がふさがらなかった……。それまで、「ご来光を見るのが夢だった」なんて一度も聞いたことがなかった。わたしたちは、富士山からはかなり遠い場所に住んでいた。

わたしと彼が出会ったとき、わたし

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君は美しい(第十五夜)

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朝になっても、体はまだエネルギーに満ちていた。

頭はハッキリと目覚めているが、ベッドに大の字になったまま天井を見つめる。

もう一度、自分の気持ちを確認したかった。

私は明日、日本へ帰る。

そのあと、彼が私を忘れることだけが心配だった。かといって、ずっとここに残ることもできない。

お金がないからだ。

わずかな貯金をはたいてここへ来た。お金がなくなった私を、

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【小説】働き者のじいさん、あの世で捕まった。

「お盆に死者が帰ってくるというのは、本当なのかな……」
お盆休みを使って実家に帰ることになった葉月は、大阪から東京へ向かう新幹線の中、移り変わる景色を眺めながらつぶやいた。

身体がずっしりと重い。就職してから毎日働き詰めで、長期の休みは今回が初めてだ。

「おじいちゃんも、いつもこれだけ疲れていたのかな」

新年早々、葉月の祖父が亡くなった。
なかなか就職先が決まらない葉月のことを思い、祖父は就

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【短編小説】孤独の飼い方

「――ああ、君でしたか」

 古びた扉を開けた先には、細身で中性的な顔立ちの「その人」が立っている。「彼」なのか、「彼女」なのか、もしくはそのどちらでもないのか。「その人」のことを、わたしは何も知らない。

 便宜上、「その人」のことを、わたしは「オーナー」と呼ぶことにしている。ここは恐らく何かの店で、オーナーはここの主人だからだ。

* * *

「孤独を、取り出したい?」
 カウンター席の回転

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3

【黒歴史】(妄想)もし西島秀俊が旦那で、緋村剣心が元彼で、羽生君が・・物語 第四話

*こちらは2015年にAmebaブログで発表していた、頭おかしい妄想小説です。

婚活時代相当病んでおり「西島秀俊さんが私の旦那さんだったら」という妄想を本気でしておりました。

そして、フィギュアスケートの羽生結弦さんにも心を奪われておりグッズ集めてた頃に考えた夢の世界です。

私がこんなネタを今公開する理由は、クリエイターの方々が作品を発表する事を恥ずかしいと思わないで堂々と発表してもらえるよ

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君は美しい(第十四夜)

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「クレジットカードがないの。あなた、知らない?」

私の質問に、ネスティは一瞬沈黙した。

疑っている気持ちはたぶん伝わっただろう。

しかし、もう引くことはできなかった。
今まで目をそらしていたものが、とうとう現れたのだ。

ここを通らなければ、先には進めない気がした。

「カードが、なくなったの?」

顔を上げたネスティの瞳は、いつもと変わらなかった。
そらすこ

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9

【黒歴史】(妄想)もし西島秀俊が旦那で、緋村剣心が元彼で、羽生君が・・物語 第3話

※こちらは2015年に、若干躁鬱っぽい時にAmebaブログで発表していた連載小説です。結構な勢いで頭おかしいです。

苦しい婚活からの逃避行、そして西島秀俊と市原隼人さんと羽生君にただ囲まれたいという欲望だけで作りました。

第三話

私は、西島さんと結婚する事を、デビュー時からお世話になった高橋さんに報告した。

高橋さんは、喜んでくれると思っていたが、突然狂ったように怒って止まらなかった。

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【小説】私を裸で泳がせて

泳ぐときは裸がいい。
水着は薄っぺらいけれど、あのたった一枚の布がプールでの開放感を台無しにしてしまう。

私は以前、裸で泳いでいた。
素肌で感じる水の冷たさと太陽のジリジリとした日差しを全身に浴びる。そして大声をあげながらプールではしゃぐ。それが私の夏の過ごし方。
なのにいつの間にか、むりやり水着を着させられ、身体が締め付けられる思いをしながら泳がなければならなくなった。

どうして、裸で泳いで

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