文藝春秋digitalオリジナル無料連載

講談師と講談社――神田松之丞さんの慶事を祝す(前篇)門井慶喜「この東京のかたち」#8

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 講談師・神田松之丞さんが真打に昇進し、伯山(6代目)を襲名しました。伯山は44年ぶりに復活した大名跡だそうで、私ごとき歴史作家には対岸の火事……と言いたいところですが、じつは密接な関係があるという以上に、何というか、講談師という人々そのものと血をわけた兄弟のようなところがある。

 今回はこの慶事へのご祝儀として、そのへんの事情を述べましょう。舞台はまさかの本郷、東京帝国

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アブない美意識――生き残るために「汚染」を「排除」する 中野信子「脳と美意識」

誰かを裁く、という行動がある。

 新型ウイルスの検査を拒否した人へのバッシングも過激だが、相変わらず、不倫が報じられた芸能人へのネガティブな反応もすさまじい。

 この人たちの脳では、何が起きているのだろうか。

 そもそも、制裁――サンクションを加えたくなる衝動、を感じたことのない人はめったにいないだろう。自分にはそんな感情がない、と言い張る人もいるが、まあ単に忘れてしまっているか、自分をよく

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小説「観月 KANGETSU」#22 麻生幾

第22話 

 ガス橋殺人事件 (6)

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 萩原はその意味を考えてみた。

 地方県警では、機動隊を運用する警備実施部門と、極左暴力集団などを摘発する公安や、外国のスパイなどを追及する外事(がいじ)部門は、警備部という組織の中でまとめられているので、マルガイがどこにいたのかは分からない――。

 だが水島課長はあっさりとその答えを口にした。

「大分県警に照会したところ、警備

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出口治明の歴史解説! 一般市民として生涯を終えた”ラストエンペラー”

歴史を知れば、今がわかる――。立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明さんが、月替わりテーマに沿って、歴史に関するさまざまな質問に明快に答えます。2020年2月のテーマは、「大逆転」です。

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【質問1】前回の講義で、ペストのパンデミックをきっかけに明の朱元璋が大出世したという話は意外でした。逆に高い地位からとんでもなく転落した人はいるでしょうか。

 大出世ではなく

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1980年代、日本は世界の最先端にいました。それは当時の技術体系とそれに基づく産業構造が、日本社会の特性に合っていたからです。
しかし、その後技術体系が大きく変化し、日本の体制は変化を阻害しました。
https://bungeishunju.com/n/n49b346c9a763

日本は、かつて世界の最先端にいたために遅れた/野口悠紀雄

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 1980年代、日本は世界の最先端にいました。それは当時の技術体系とそれに基づく産業構造が、日本社会の特性に合っていたからです。

 しかし、その後技術体系が大きく変化し、日本の体制は変化を阻害しました。

◆成功は失敗の元

 中国で新技術の導入が顕著なのに比べて、日本の立ち遅れが目立ちます。
 なぜなのでしょうか?

 1980年代には、日本は技術面で世界の最先端にいる

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小説「観月 KANGETSU」#21 麻生幾

第21話 

 ガス橋殺人事件 (5)

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「マルガイの真田の書斎に入った時、床の上に、カレンダーが伏せられてその上から雑誌が置かれていたこと、気づかれませんでしたか?」

 「いや、見てない」

 萩原の表情が一変し、険しいものとなった。

「自分、ふと気になって、恭子が箪笥から夫の衣服を出して萩原主任に説明を始めた時、そっと雑誌を動かしてカレンダーを見てみたんです」

「そ

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西寺郷太 小説「'90s ナインティーズ」#8

第二章
BIRD SONG / 自由の小鳥

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 1995年4月22日土曜日。下北沢 Club Que で浴びた洗礼……。その後数日、僕はずっと STARWAGON 、エレクトリック・グラス・バルーン、N.G.THREE のCDや、PEALOUT のカセットテープを繰り返し聴きながら、自分の過去と現在と未来について考え続けた。そして、バイトの上司・棚倉千秋さんに「辞

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れいわ新選組の支持者を分析して見えるもの / 三浦瑠麗

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 前回は、現状に対して強い不満と変革期待を抱えている層が、年長世代、とりわけ高齢者に多いという話をしました。けれども、日本がいまあるかたちになったのも年長世代の投票行動の結果ではないでしょうか。

 実は、日本社会において格差が注目されるようになった後も、「自分で何とかする社会」を支持しているのは年長世代です。下の表が示しているように、自助努力はいったいに日本社会では強く支

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15%の法人税額控除を押し切った“今井チルドレン”|森功

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 昨年、騒動に火のついた首相の「桜を見る会」では、秘書官やSPたちが首相のそばに寄り添い、走り回っている姿が映像で紹介された。そのなかでとりわけ目立っていたのが、経産省出身の佐伯耕三である。安倍晋三首相の地元支援者や芸能関係者をアテンドし、甲斐甲斐しく世話をしていた。
2020年が明けても花見の会を巡る批判はおさまらない。1月20日に第201回通常国会が始まると、待ち構えて

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