見出し画像

【モノローグエッセイ】ベイビーズスマイルセーブズピーポー

☆笑顔でいる「選択」

先日、朝から大規模な電車の遅延に遭遇した。
この日は朝から予定があり、足早に駅に向かっていたのだが、改札付近で時刻表が映し出される電光掲示板を見る多くの人々を見て、嫌な予感を感じた。

アナウンスで流れた運転再開はその時の時刻から5時間後。


その駅は1本しか電車が通っておらず、振替輸送で目的地に向かうためには隣町の駅まで歩かなければならなかった。

この日はせっかく新しくおろした服で意気揚々と演技のレッスンを受けようと思っていたのに…と、ちょっと気分を落としながら足早に隣町の駅へ向かった。猛暑の中、黙々と足早に歩く。

隣町の駅に着くと、案の定、私と同じように振替輸送の電車に乗るためにやってきたビジネスマン、就活生らしき人、お年寄り、大学生などでごった返していた。ホームに降りても、ホームが狭く感じるほど混雑していた。


乗る予定の電車が来るまで10分ほどあったため、人が列をあいまいに成しているところの一番後ろに立った。


ホームは相変わらずの混み具合。
勤務先に遅延と謝罪の電話をする声、家族へ自分の状況を連絡する声、イライラした口調で話す声、ため息、その中でただひたすらにtiktokやYouTubeを凝視する人などで溢れていた。

簡単に言うと、空気が重い。朝ならではの、どよーんとした雰囲気が流れていた。


私も私で、レッスンに遅れる連絡を送っていたのだが、ふとスマホの画面を外れた左側のなにやら赤い存在が目に入った。

横にいたベビーカーの中の赤ちゃんが視界に入ったのである。

何故視界に入ったかって、スイカ柄(赤地にタネの模様)の服を着ていたからっていうのもある。可愛い。スイカベイビーである。

スイカベイビーの着てたスイカの服。可愛すぎる。

でも、一番の理由は、スイカベイビーが鬱屈とした雰囲気のホームの中で、無邪気に笑っていたからである。

「あららベイビー…可愛いニコニコ♪」

と最初は思っているだけだったのだが、
スイカベイビーの笑顔をずっと見ていて、ハッとした。


このスイカベイビーは、大遅延で混雑し、予定通りに居場所にたどり着けない鬱屈のたまった空間で、ハツラツとした無邪気な笑顔でいるのだ。


周りの人がスマホ画面を見つめて無表情でいるからこそ、よりスイカベイビーの笑顔には目を奪われた。

たぶん、竹取の翁がかぐや姫が入ってる光り輝く竹見つけたのと同じくらいの目の奪われよう。

スイカベイビーのその様を見て、この子は、こんな中でも無邪気に笑うことが出来てすごいな、笑顔でいることを選べてすごいなと私は感じた。

もちろん、スイカベイビーに「自分が笑顔でいることを選んでいる」という自覚はないかもしれない。だとしても、無意識に、「笑顔」でいることを選択出来るのがすごいことだとこの時の私は感じた。その笑顔は現に私にここまでの衝撃を与えているのである。

その場のムードや雰囲気に、人は流されやすい。
明るいムードが流れているところはなんだかよく分からないが、楽しそう
陰鬱なムードが流れているところはなんだかよく分からないが、重々しい。
愚痴ばかりを言っているコミュニティに入れば、なんだかよく分からないが、自然と自分も愚痴が多くなる。

どういう場に身を置くか、どういう人と関わるかって本当に人格に影響を及ぼすよねー!!!類は友を呼ぶー!!

人や出来事の持っている雰囲気や主義思想に影響を受けて疲れてしまう人が最近多くなったなあと見かける。(私自身もそう。)
本屋の一番目につきやすい陳列棚にも「メンタルヘルス」や「不安を取り除く」などの心理学やカウンセリングの本が多い気がする。私自身も一時そういう本を鎮痛薬のように何冊も読み返していた。

その読み返しと、この日出逢ったスイカベイビーの笑顔を経て私が改めて考えたのは、

自分がその時々、どういう状態でいるかを選んでいるのは結局自分だな、ということ。

良い気分も悪い気分も、結局自分で作ってる。

今朝の出来事で例えるならば

電車の遅延で思い通りに予定が進まないことについて

イライラして、しかめっ面していることを選ぶのも自分
イライラしても、とりあえず笑顔でいようと選ぶのも自分

なのである。

それなら、自分が心地よいものを選んだ方が得じゃない?
自分で良い気分、時間、状態を作った方が良いんじゃない?

私にとって、スイカベイビーの笑顔は、
そんなことを考えさせてくれる、不幸中の良い出逢いとなった。
まさか赤ちゃんから学ぶ日が来るとは(笑)
赤ちゃん先生である。スイカベイビー先生。恩に着るぜ。

ちなみに、よく笑う赤ちゃんは頭が良いらしい。
笑うことで、身体を動かし、脳のシナプス(神経伝達細胞)が増え、知能が発達するという仕組みらしい。


さあ、今日もとりあえず笑って頑張りますか。


この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?