マガジンのカバー画像

琴線に触れたnote集

1,484
何度でも読みたくなる。 出会えたことに心から感謝したい、素敵なnote集。
運営しているクリエイター

2020年12月の記事一覧

空なんか見たって何の役にも立たない

君のシチューは僕を襲う

冬の夜。 家路を急いでると、どこからともなく鼻孔をくすぐられる匂いがつきまとってくる。ひ…

(辛くても)静かな熱を抱いて、踊る。

『それでも、わたしは踊る。』 狭い部屋にメトロノームと鼓動が響く。 体の芯から筋肉の動く…

野やぎ
3年前
107

掌編小説 | 卵の殻も剥けない私は

①冷蔵庫から出してすぐの卵を使う ②水から約7分半沸騰させる ③黄身が偏らないように菜箸で…

138

28歳

28歳。新卒で入った都内のセールスプロモーションの会社を辞めた。退勤は毎日23時を廻る。時折…

886

広島のお好み焼き屋で大阪弁の天使に出会った話

広島のお好み焼き屋で天使に出会った。 おじさんの姿で大阪弁を話していたけれど、間違いなく…

409

「おまえ、何故この店に入ってきた?」

おまえ、何故この店に入ってきた? はじめて入ったカフェの店主にそう言われた。失礼な話だ。そんな失礼な店の思い出を書く。 ◇ くるしい。寒の戻りで冷えついた外気にやられたのか、急なぜんそくの発作におそわれていた。薬を飲み、しばらくじっと休みたい。座れるならどこでもいい。最初に目に入った店のドアに手をかけた。 通りに面した窓際のスツールに座る。肉団子みたいにガッチリした坊主頭がカウンターから出てきて、水の入ったグラスをぶっきらぼうに置いた。コーヒーを注文する。坊主はこれま

短編小説 「カップの中に注ぐもの」

秋の終わり、一枚のポストカードが届いた。 消印はエアメイルだった。差出人の名前や住所は、…

西平麻依
3年前
98

「はたらく」の先には、物語がある。

「はたらく」との最初の出会いは、小学生の頃、休日の実家にあった。 父は小さな設計会社に勤…

ひらやま
3年前
587

幼児をもつ父たちよ読め。

0歳 「これから大変だ。」 約1年9ヶ月前に娘が産まれ、分娩室で抱きあげた時の感想です。 …

443

そうとは知らず "弱者" に転落していた話

今でも忘れられない体験があります。娘の育休中に会社に用事ができたので、久々に都心にお出か…

前田晃平
3年前
3,133

誰が押してもかまわないから #ことば展覧会

その日もいつも通りの日曜日、のはずだった。 掛時計の短針は1と2の真ん中あたり。朝はとっく…

suzuco
3年前
41

友の母の死に触れて

友人の母が亡くなった。 その友とは33年前、幼稚園で出会い、今でも6人ぐるみで付き合いがあ…

クリスマスプレゼントは突然に

「今年のクリスマス、こっちに残ることにするよ」 オランダにいる娘とそんな話をしたのが11月の末。 寂しいけれど、こんなご時世だから仕方がない。町でのクリスマスイベントもほとんどが中止。たとえ開催されていても、どうしても行く必要があるのかを考えると、結局は感染が心配で足が遠のいてしまう。 例年のよう友達や親戚が集まってお祝いする予定もなくなってしまったものだから、まだクリスマスツリーすら飾っていない。出かけないからプレゼントも買っていない。とはいえ、何もナシにというわけに