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樺沢紫苑先生の『読書脳』を得したこと、学んだこと

 ビジネスライター&占い師の沢村偆日です。8月31日に精神科医・樺沢紫苑先生の新刊『読書脳 新版・読んだら忘れない読書術』が出版されました。8月28日の出版記念講演会の動画視聴に申し込んでいたので、24日頃に本を手にしていたのですが、色々あって完全に読み終わったのは一昨日(涙。とはいえ、アウトプットすることが本の内容を記憶する第一歩なので、感想を書いておきたいと思います。

『読書脳 新版・読んだら忘れない読書術』

本に書かれた情報でスパムメールから解放された 

 私は長年ライター&記者をやっているので、本および記事を書くために必要な資料は読んでいます。樺沢先生のように月20冊から30冊とはとてもいきませんが、数冊は読んでいるでしょう。また、ブックライター(著名なビジネスマンなどの執筆のお手伝いをすること)をしていたので、本が売れなくなっていく状況を肌身で感じて知ってもいます。そんな私がなぜ『読書脳』を購入し、講演会の動画視聴まで申し込んだのかといえば、理由は二つ。

  1. 子供の頃からものすごく忘れっぽくて、読んだ内容を記憶できない

  2. 本の内容をキャリアに活用していないので、収入アップにつながっていない。というか、むしろ下がり続けている

 上記の2つの解決法を知りたくて購入したわけですが、39ページまで読んだ段階で、この本を買って良かったと思いました。それは2つの悩みの解決法がわかったからではなく、悩まされていたスパムメールの解決法が記されていたからです。
それはこんな具合に記されています。

 先日、従業員3名の小さな建設会社を訪れました。すると朝、仕事を開始するやいなや、事務員の1人が、パソコンに向かってせっせと機械的な作業を始めたのです。
 「何をしているのですか?」と尋ねると、「毎日、迷惑メールがたくさん届くので、削除しています。毎日30分くらいかかりますが、しょうがないですよね」と言ったのです。
 私は驚きました。「今どき、何十通もの迷惑メールを毎日毎日、手作業で削除している人がいあるのか!」と。その作業時間、1日30分。年間300日で150時間の損失です。

『読書脳 新版・読んだら忘れない読書術』p39より

読書すれば他人の経験をお金で買い、時間が買える

 私は4つのメールアドレスを所有しており、仕事に応じて使い分けているのですが、メインで使っているメルアドへの迷惑メールが特にひどく、悩んでいました。いっそ、メルアドを変えてしまおうかと思ったりしていたのです。ところが、この本には「自分に送られてくる全てのメールを一度Gmailに送り、Gmailのスパムフィルターを通すと、99.9%の精度でスパムメールを仕分けてくれるので、迷惑メールが受信箱に入ることはほとんどなくなります」と書かれているではありませんか。詳細は『メールの超プロが教える Gmail仕事術』に書かれているというので、早速Amazonで購入しました。これが好例だと思うのですが、「読書は他人の経験をお金で買うことができるもの」なのです。それが時間を買うことにつながります。ちなみに、樺沢先生には申し訳ないのですが、この本は1円で中古が出品されていましたので、郵送料込みで251円で手にいれることができました。

『メールの超プロが教える Gmail仕事術』

書く為のトピックも本を読むことで湧いてくる

 本題に入る前に、樺沢先生が強調されていること。それは「文章を上達させたければ、たくさん読んで、たくさん書くしかない」ということです。私も書くことと読むことはコインの裏表だと考えています。今の時代は個人事業主や小さなお店でもブログやメルマガ、Instagramなど、自分で情報を発信しなければならなくなりました。1週間や2週間なら続けられますが、ずっと更新し続けるのは大変なことです。文章は「書くこと」つまり「トピック」がないと書けないわけですが、視野が狭く、引き出しをあまりもっていないと、ネタがすぐ尽きてしまうんですね。自分の仕事に直結する情報が掲載された本はもちろん、いろいろなことに幅広く興味を持って読書をしていると、SNSでの情報発信にも役立つことは間違いないでしょう。

アウトプットできなければ、行動に影響は及ぼさない

 では、本題にはいりましょう。本を読んでも内容を忘れないためにはどうしたら良いか。まず、樺沢先生は「速読」より「深読」を意識しろと言っています。「深読」とは何かといえば、読後に「内容を説明できること」と「内容を議論できること」がクリアできる読み方をするということです。「アウトプットできない」ということは、自分の行動に影響を及ぼさないということだからです。
 私は宝塚やミュージカル、良いドラマを見ると、すぐ友人にLINEで感想を送ったりしているのですが、読書は自分の中に留めてしまうことが大半です。ビジネス書は女友達には興味を持ってもらえないからですが、「何らかの方法で本代の元をとる」ことを意識すべきだったなと反省しました。

 本の内容を深く記憶に残す方法として、樺沢先生が薦めるのは次の5つの読書術です。

  1. マーカー読書術 蛍光マーカーでラインを引きながら読む

  2. テレビショッピング読書術 本の内容を要約して人に伝える

  3. ソーシャル読書術 SNS上に感想や名言を投稿する

  4. レビューランティング読書術 特に気に入った本は書評を書いてみる

  5. 生グレープフルーツサワー読書術 1回の読書でSNSに2回アプトプットする

本はマーカーを引き、書き込みをして使い倒せ

 マーカーを引くとブックオフやバリューブックスなどに本を売ることはできません。なので、私はつい付箋を貼ってしまうのですが、樺沢先生はそういうケチくさい読み方ではなく、「汚く読んで使い倒せと」言ってるんですね。何しろ、村上春樹の『ノルウェーの森』が書き込みだらけだというのですから、驚きです。小説に書き込みをする人って、稀じゃないでしょうか。私が自分もやってみようと思ったのは、名言を投稿して、自分のコメントをつけるです。これは2年くらい前、Twitterで少しやっていたことがありましたが、あまり手応えがなくてやめていました。もう一度、復活させたいと思います。

 この本で特に強調されているのが、「スキマ時間の活用」です。『神・時間術」にもありましたが、人間が集中しやすい時間は「15分・45分・90分」だそうです。高い集中力が維持できる限界が15分。普通の集中力が維持できるのが45分。これに少し休憩を挟めば、90分の維持も可能。なので、電車に乗ってスマホをいじるのではなく、15分を利用して車内で本を読めば、月に10冊読むことは十分可能だというのです。
  
 月10冊なら年に120冊です。もし1つのテーマの本を120冊読んだとしたら、立派なエキスパートではないでしょうか。私の書棚には占いやスピリチュアル関係の本が数十冊並んでいますが、プロとして数年やっていることを思えば、読書量が少ないと反省しました。

ホームラン級との本の出会いが成長を引き起こす

 さて、もう一つの課題、本を読むことが収入アップにつながっていないことについて。これはもしかしたら、本の選び方が間違っているのではないかと思いました。pp162ー164に「ホームラン級の本との出会いが圧倒的な成長を引き起こす」に「本をたくさん読んでいるのに成長できない人は、ホームラン本と出会えていない。つまり、本選びの方法が間違っているのです」とあります。自分の人生を変えるような本と出会える確率は高くない。1冊1冊を真剣に選んでいくことで、その確率を飛躍的に高めることができるというのです。

 p177の「ビジネス書のサマリーが無料で読めるサービス」では藤井孝一さんの書評メルマガ「ビジネス選書&サマリー」が紹介されていますので、すぐに登録しました。 第8章「精神科医がお勧めする珠玉の31冊」も参考になりましたし、とても興味深かったです。その中の数冊は私も読んでいたのですが、「へぇ〜、精神科医の樺沢先生がこの本を良書だと思っていたのか」という新鮮な発見がありました。例えば、『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(田中圭一著、KADOKAWA)。専門家なので漫画本が入っているとは思わなかったのですが、うつになると、字が読めなくなる人が多いのです。私は身内がうつになって苦しんだ経験があるので、うつ病の人には漫画の方が良いよねと思って読んでいたのですが、樺沢先生が良書として挙げられていたので、本当にフラットな視点をお持ちなのだなと思いました。

読書は能動的な行動なのだと本書を読んで再認識

 最後に一つ。樺沢先生はアウトプットの大家ですが、その活動は「日本人の自殺、うつ病を減らす」という明確なミッションによって貫かれています。きっとそのミッションがモチベーションとなって活動が続けられるのでしょう。残念なのは、身内を見ていても思うのですが、うつになった人の多くは活字をあまり読まなくなることです。YouTubeなどの動画は受け身でボーっと見ていられるので、それに長時間を費やしているのですが。つまり、読書というのは、それだけ能動的な行為なのだと思います。先生のYouTubeもうつ病患者には多いに励まし、参考になるとは思いますが、それは断片的な情報です。本を1冊読み通せるだけの気力・集中力ができたとき、うつ病の人は本当の意味の「うつヌケ」をするのかもしれません。ただ、そのハードルはかなり高いように思います。


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