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療育花育の記録 ともくん#7
ともくんは、平成25年生まれ。障害名はついていません。いわゆるグレーゾーン。普通学級に1年通い、勉強も頑張りました。2年生からは、障害クラスに入り、お母さんもともくんものびのびたのしく生活できるように少しづつなってきました。
いきものが好きで、カマキリを飼ったり、抜け殻を収集したり、遺跡を掘りに行くのが好き。いろんないきものにとても興味があり、調べるのも得意。おともだちからは、いきもの博士と呼ばれることも。
ともくん 20231225「特別な日」
終了後の経過について 親御さんから
今回は、「お正月の花」がテーマでした。
そのことを伝えて前日に道の駅に買いに行ったところ。テーマを意識してお正月の食べ物に例えながら楽しくお花を選ぶことができました。
当日始まる前に「何を用意したら良いかな?」と言うと、進んで花をくるんでいた新聞紙やビニールシートを外したり、ハサミを用意したり、ボールに水をくむことができました。
新聞紙がないなあと思いましたが、言わずにいると始まる直前に気付いて用意することができました。
前回の失敗経験からお花が入ったバケツは、今回はちゃんとダイニングテーブルの下の足元にも置くことができていました。ちゃんと学習したんだなあと思いました。
教室が始まって先生がどんなお花を用意したか聞いてくださると、嬉しそうに一本一本手に取って見てもらいました。
まずはクジャクの羽、先生は「とも君の好きな花で良かったね。」と言ってくださり嬉しそうでした。
次はピンクの綿を見せて「これはお餅。」といってお餅に例えていました。「綿は、Tシャツや服になるよ。」と教えてもらいました。
次に「ボタン」と言ってみてもらうと「葉ボタンだね。キャベツの親戚だよ。」と教えてもらい、
「黄色いの」と言ってみてもらうと「フォックスフェースって言うよ。」と教えてもらい、花瓶も見てもらって、後ほどお正月にぴったりだねとも褒めてもらいました。
次に魔法をかけようということで、先生が「目を閉じます。大きく息を吸って吐きます。」という言葉に合わせてとも君と私も一緒にやりました。
これで上手になるよということで、親子で気を整えてのスタートも良いことだなと思いました。
「ダイナミックなものばかりだからとも君のイメージしたもので生けてみてね。きつねとクジャクとボタンと喧嘩しないように、ぶつからないようにバッテンにならないように生けてみてね。」と言われ、
どの程度理解できていたかは分かりませんが、とも君なりに今回はいつもとは違った生け方をしていたように思います。
今までと大きく違った点は、ずっと先生と会話をしながら生けていた点です。
「クジャク切りたくないわ~」「ボタンの葉は何だっけ?かまぼこ!!黄色はたまご、違うたくわんだ。」「お正月バージョンと雪バージョンだよ。」とか。それに対して先生もコメントしてくださってました。
お正月の食べ物をイメージして生けていたようです。
「黄色いのどうやって切ろう。」と、まずは小さい小枝の部分を二つ切って、大きい花瓶にはさせないと思ったからか「ちっちゃい花瓶がいるなあ」と言って、ハチミツの空き瓶を持ってきて生けていました。
大きい枝はハサミで切れずにいると、先生が「お母さん手伝ってあげていいよ。」と言ってくださったので、手伝ったみたもののそれもなかなか切れずで、その間クリスマスのプレゼントの話をしてましたが、急にピンと来たのか「いいこと考えた。のこぎり探しに行こう。」と言って、
ピューっと外に出て行ってのこぎりを探して持ってきたのです。
枝を思った長さに切って生けることができました。
この発想と行動力がすごいと思いました。
生け終わるとたまごっちも飾ってました。たまごっちの話をしたりクリスマスプレゼントに買ってもらった図鑑の話をしたりすると、
先生が「お花は誰が買ってくれたの?」「お母さん」「高いからだめって言わなかったんでしょ?ありがとうって言ってね。」という会話。
実は今回とても花代が高く奮発してたので、そんな風に言ってもらえたのはとも君に良い気づきを与えてもらえたのではないかなとありがたく思いました。
生け終わると、片づけをササーっと済ませたのでびっくり!先生もほめてくださって、成長を感じ嬉しく思いました。
先生が「ミイラのお花(夏からずつと飾り続けている花)いっぱいたまった?」と聞いてくださると「うん、かびてるよ。♪バムバムニャンニャンオーマイゴ~ット♪と歌いました。
先生のミイラ(ドライフラワー)を見せてくださって、「ミイラで使って作ってあげたら、またいきものになるよ。クジャクの羽はミイラ、ピンクの綿もそのままミイラになるよ。キツネもミイラになるよ。ミイラと花瓶で作っても良いし、ミイラだけで作っても良いし、つるしても良いよ。つるすとかびないよ。」等具体的に教えてもらって、今年一年お礼を言って終えることができました。
その後「ミイラどうする?」と聞いてみるのですが、ずっといっこうに花瓶に生けたままで変えようとしません。
今回から職人さんの作られた良いハサミを使ってお花をしました。
見ていてとも君がとてもかっこ良く見えました。良い道具を使うって大事だなと思いました。
今回いつもと違って想像力を使ってお花を楽しんでるなあと思う教室でした。
年末大掃除をしていると、鉢のシクラメン(毎年咲くけど、花が少なく茎だけ伸びている)とお庭のバラの花の茎が長くなって倒れているからかわいそうと言って添え木をしてあげたり、
玄関の棚に鉢植えの植物をコレクションして飾り、ハサミやじょうろを置く位置も決めて、お世話するコーナーを作ったので
びっくりしたと同時に花育効果かなと嬉しく思いました。
教室が終わった後の先生とのお話の時間は、いつも大切なことに気付かされるし、学びが多いし、とも君のもってる可能性に明るい未来を感じることができ元気になります。
今回、前回の失敗からの学びでとも君がすごく水に気を付けたことはとても大きい成長でした。
先生からも、とも君すごいねと言ってくださり嬉しく思いました。
「怒ってもただ怖くて嫌だったことしか覚えてないからね。何かが起こった時誰かのせいにするんじゃなくて、
親は「どうする?」って一緒に考えてあげる方が子どもには残っていくよ。」
と再度お話してくださり、再度私も納得しました。
できるできないかが自分の軸ではない、できなかったらどうするかを考えること。
そして、自分の体験を他の人と共有するとみんなが楽になる等アドバイスをもらい、なるほどなあ気を付けていこうと思いました。
「親子関係じゃなくて人間関係だからね。子どもは自分のものではない、他人なんだ」というお話はとても心に残りました。
とも君に関しては、とも君は一つ一つできるようになったこと、
表現してそれを受け取ってるからとても自信がついてきたと言ってもらえて、本当に嬉しく思いました。
できた、できないじゃなくて、持久力をつけていくこと。
同じルーティンで続けていくことが自己成長になっていく。
というお話もしてくださいました。
だからこそこれからもずっと花育きょうしつを続けていくことがこの子の成長と未来につながっていくんだろうなと思えました。
写真記録
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前回を踏まえた検証と考察
1)オンラインで欠席者があり、実質的には個人レッスンになるため、自分の感覚を思い切り出し切ってもらえるよう促す。
2)枯れたミイラを、人の手によって美しくできることを伝えてみる。
じっくり話しながらともくんと向き合うことができた。
ミイラは、人の手によって、新しい命を宿し、生まれ変わることは伝えられた。
印象記録
ともくんの好きな大振りな花たちで生けた花たちは個性が強いものばかりだったので、当然調和とバランスは難しくなる。
頭に浮かぶ果てしないイメージや想像を、現実にあるもので具現化するとき、空想の世界とリアルな世界のギャップを感じて悩む。
また、想像を現実化する際、想像通りに表現するにはどうしたらよいか考えるときは、自分の器の範疇を超えるチャンスでもある。
悩むことは子供にとってとても大切で、どうするか、を親に聞かずにひとりきりで悩むからこそ、アイデアや創造力が身に付いてゆく。
ともくんはその体験をひとつできたので、このままたまに悩みながらいけてほしい。聞かれたらだけ応え、見守ろう。
悩むということは、直観や感覚だけでなく、感情(好き嫌い)だけでなく、
頭(理性)を使い始めたということなので、
大きな進歩を感じていた。
現場から
誰かにできたね、と言ってもらうというよりは、自分で考え、自分なりにできた。
今までの自分よりも今日の自分はできた、と実感している様子だった。
それが自分に積み重なること以外に、当然自分を信じることはできないので、
自信を自分の力でつけていっている最中と、感じている。このままいってほしいが、続けることは最も難しく、機会でもない限り、人間にコンスタントはほぼないので、見守りながら待つしかないと思う。
素晴らしい成長。
だが、一万人以上花育で見てきて思うことは、成長にきれいな45度のグラフのような右肩上がりは、ない。
次回考察
最初から教えずに、彼が困った様子になるときを待って、
力を養うきっかけを作ってみることにする。
―to be continued
2003年から一万人以上の方に花育をしました。現場でどんな風に、どうしたか、結果どうか等、遺さないまま頭の中にあり、書きのこして、いつか誰かの役にたったらいいな、と思い書き始めました。サポート励みになります。活動費として使わせていただきます。よろしくお願いいたします。