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【詩】一歩ずつ

あらかじめ畳んであった
白いTシャツと
洗いたてのデニム

帽子を目深にかぶり
お気に入りのリュックで
小さい旅にでる


車の行き交う道の鋪道
背筋をピンとして
少し強くなった陽射しの下
軽い足取りで進む

あったかもしれない
あるいはなかったかもしれない
思い煩いを一歩ずつ
体内から放つ


いつもと違う
心の中の琥珀色


起こることは
いつも立て続け
まっすぐ歩こうとしても
叶わないまま
右へ左へ
足元に蔦が絡みつく


白からベージュ
ベージュから土気色
土気色から
色は暗く濃くなる


拾いたくもない石を
一つまた一つ
拾わされた荷物を
一つまた一つ


カーテンを開けた空は
晴れているはずなのに
群青色が目に入る


静かにカーテンを閉めて
電気をつけたあの日



過ぎ去っていた瞬間はもう戻らない
これから来る瞬間は
かけがえのない時間だと
胸に響く


雑に扱った過ぎた瞬間
大切にするこれからの瞬間



車窓から見える
緑輝く風景

今この吸い込む空気に
明日を見る


一歩ずつ一歩ずつ




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