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【詩】月光

息を思いっきり吸って
水中に吸い込まれていく
人魚は尾びれを揺らして
水中を舞う


岸辺に立つあの人の顔は
もう見えない


無駄と分かりながら
視線を合わせ
心を探る


胸の奥のパンドラの箱の
鍵を探して
箱を開けてくれたあなた


出てくるものを
一つずつ拾い上げても
それは止まることはない


まるで永遠に終わることがない
糸を引くように
拾い上げても拾い上げても


時間を経るごとに
傷口が広がる
箱は開けたまま


あなたの心にすがった
きっと止められると
すがった


本心は無理なのです
そうわかっていながら


新しい薬は効かない
あなたの手と心と体が
わたしを救う


あなたはわたしのもの
狂おしいほどわたしのもの
これまでもこれからも


パンドラの箱の中に
あなたとわたしは一緒に入る



俯いて言葉ひとつでない声
無理なんて言わないで
一緒でしょ
一緒でしょ


あなたが欲しいのはわたしじゃない


言葉だけ残して背を向ける


結局何も変わらないまま
海に戻る
そうなるとわかっていて
海に戻る



月夜に答えを教えてと言って




©2022 Haru kuzumi

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