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【詩】痛み

天気予報は曇りだったのに

ドアを開けると小雨が降ってる

広げるわけでもない傘をつかむ


道路脇を歩いていると

心臓の音がドクンドクンとする

駅前の黒い頭の数を見るとする眩暈

満員電車に乗るのを拒否する脳波


昨日の夜に布団にくるまって

染み込んだ味は答え合わせも出来ないまま

太陽は音もなく登ってく


凄惨な思い出も

苦痛が伴う現実も

寄せては返すけど

独りごとは窮屈な空気に

紛れて見えなくなる


踏切がカンカンとうるさく鼓膜を揺らす

あの時を思い出せだなんて

零れ落ちそうな言葉を拾えだなんて

排水管でトマトジュースと一緒に流せばいい


ささくれが痛くて泣きだして

ハサミの刃で血を流して

耐えられないなんて

麻酔のないまま心臓手術をした人が

どうなるかなんてわからないね


地を這った記憶なら

アユのいる川に流したから

もうこの手にはない

散々溜まった罪過も流したから

手はもう汚れてない







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