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【詩】堤防にて

防波堤の突端で猫と一緒に
波の浮き沈みを
くつろぎながら
眺めている


隣で魚を釣っているおじさん
小魚を釣ると
猫の前に置いて
美味しそうに
猫は魚を食べる


釣り人がくれる魚を
のどかな空気の中で
猫は毛づくろいをして
昼寝をして
気長に待つ


サンダルを持って
ゆっくりと歩いていると
猫もまた
後ろを追いかけるように
ゆっくりと歩く


都会の喧騒はそこにはない


汚れたとは言わない
ズルくなったとも言わない
ただ都会の生き方に
慣れてきただけ


無邪気だったあの頃
都会を夢見たあの頃
ただ真っすぐだったあの頃


海はあの頃と変わらず
山もあのころと変わらない
空気はいつも髪を揺らす


あの頃に戻りたいとは思わない
もう一度やり直したいとは思わない


波音はくすぐるように
固くなった心と体を溶かしていく


思い起こすあの時とともに
新しい一歩を踏み出す




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