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移住じゃなくてなぜ2拠点?

前回(👇)、大人になってから岡山を再発見したことをつらつらと書いたわけですが、それなら移住すれば?と思う方もいると思います。

なので今回は、2拠点がなぜ気に入っているのかをお話ししてみます。


2拠点のメリット

災害の多い日本に住むには

東日本大震災の時には、関東にいた誰もが、交通麻痺、流通遮断、食不足、電力問題…などなど、人口の多い都会だからこその怖さや不便さを実感しました。岡山の友人からトイレットペーパーや食料品など送ってもらって本当に助かりました。

コロナの時もそうです。東京での緊急事態宣言中、やはり岡山の友人が都内では買えなくなっていたマスクやウェットティッシュを美味しいものと合わせて送ってくれた時にはどんなにホッとしたでしょう。逆に、西日本で豪雨災害があった際には、東京から援助をしたり。

コロナの緊急事態宣言中に岡山から届いた黄ニラに嬉しくて涙が出ました。

地震は、阪神、中越、熊本、北海道、能登、発生場所は様々です。もし南海トラフが起きたら静岡から宮崎まで広域で被害が出ると予想されています。気候変動による豪雨災害も年々増えていますし、富士山が噴火したら?など考え始めると、もはや完全に安全な場所などないのです。

と思うと、東と西にそれぞれ拠点があれば、リスクマネージメントになるのではないでしょうか。災害が起こってから探しても遅いのです。一箇所に定住しなくても生きられるスキルって大切だと思いませんか?

田舎ではリフレッシュ

2拠点を始めてみて、最大のメリットと感じていることは、それぞれにコミュニティを持てること。旅人のままだとそこまでの人間関係は難しいと思うのですが、暮らすことによって拠り所となる場所や人との出会いが増えていきます。

東京の人ごみから離れて岡山に来ると、空気も時間の流れもぜーんぜん違って、心から癒されます。日中は東京にいるのと同じようにリモートワークをしているのに、常にワーケーションに来たような気持ちになるのが不思議。窓から入る陽射しに安らぎを感じる上に、小鳥のさえずり、蛙の大合唱が聞こえてくるからかしら?

ある春の日の桃畑。年中、鳥や蛙の鳴き声が聞こえます

食事は、地元産(というより近所)の野菜をたっぷり、そして、瀬戸内海の魚介を使っておうち居酒屋が定番。スーパーには、東京ではお目にかかれない食材(例えばべいかとか)、岡山県産マッシュルーム、黄ニラなどが充実していて見つけるのが楽しい。桃や葡萄の季節は最高です!

いつかのおうち居酒屋メニュー(べいか)
桃の季節が始まりました!

たまの外食にも、お気に入りのお店でお気に入りの店主とお話しするのが何よりの楽しみ。常連さんとも仲良くなったりして。東京から来ている人と思ってない人もいるかも。そんなことも楽しい。

いつかの外食メニュー。岡山といえばやっぱりシャコ!

でも、ずっといる訳ではないから、ただのんびりするだけでなく、行ってみたかった場所に出かけたり、面白そうなイベントがあると訪ねるようにしています。"東京や海外の友人が遊びに来た時に、岡山を好きって行ってもらえるような素敵な場所に案内したい!"という目線で。ガイドブックには載っていない場所、地元の人も気づいていない素敵な場所って、掘ればいろいろと出てくるものなんですよねー。

6月は、かつて「ベンガラ」の産地として栄えた高梁市の「ふるさと吹屋村」に行ってみました!

東京でしかできないこと

仕事を抜きにして、東京にしかないものって何だろう?と思うと、映画館派としては、ミニシアターの数。美術展や芸能なんかもそうですよね。先日も、浪曲や能を鑑賞しに行ったばかりです。演劇や音楽LIVEも数多いですしね。

地方でも、探せば鑑賞の機会があるけど、東京だと選択肢が多く、思った時にすぐに行けるというのはやはりメリット。こういた類の文化って、なければないで生きてはいけるけど、今の私にはとても必要な要素でもあるのです。

そして、やはり親のこと。要介護の父(千葉在住)を持つ身としては、実家の近くに拠点を持っておくことが大切なんですよね。要介護といっても、今はヘルパーさんに大いに助けていただけているので、以前ほどちょくちょく行く必要はなくなりましたが、またいつ何が起こるか分からない。救急車で運ばれて即入院なんてこと、これまでも何度もありました。そんな時にすぐに行ける距離にいることも使命というか…。地方にご両親がいる方は、反対の状況かも知れませんね。我々世代の悩みの一つですね。


映画コラム

最後は、恒例の映画のお話。

東京にいるからこそ享受しやすいことの一つがミニシアター巡り。特に、好きな監督の特集上映の企画があると、「あの映画がスクリーンで見れる!」という喜びで、何度も見たものであっても、また出かけたくなるものです。大画面や音響もそうだけど、同じく映画館に集まったもの同士で鑑賞する体感が好きなんだと思う。

ここ数年で嬉しかったのは、アキ・カウリスマキ特集、ジャック・ロジエ特集、オタール・イオセリアーニ特集など。これまでスクリーンで観ていなかったけど、新たな発見となったジョン・カサヴェテス特集、シャンタル・アケルマン特集、ウルリケ・オッティンガー特集なんかも良かったな。

ということで、今年開催されている「ジャック・リヴェット傑作選2024」より、こちらをセレクトしてみました。

ジャック・リヴェット監督 『パリでかくれんぼ』

ジャック・リヴェットといえば、ゴダールやトリュフォーと並んでヌーベルバーグを代表する監督のひとり。90年代にも『美しき諍い女』でカンヌのグランプリを受賞するなど、年老いてからも精力的に活動を続けていた監督です。

この特集上映で、ようやくスクリーンで何作か観ることができたのですが、特に気に入ったのがこの『パリでかくれんぼ』。(画像はすべて映画.comのフォトギャラリーより)

急に歌い出す系のアレも最高だし、散りばめられたダンスシーンの長回しも最高オブ最高!

どの女の子の衣装や髪型も可愛くて、私も一緒にパリで踊りたくなる。パリのあちこちでロケしてるんだけど、通行人とかどこまでがエキストラなんだろう。

この作品は1995年製作なんですが、アンナ・カリーナも出てくるので、ヌーベルバーグ好きにも堪りません♪

リヴェットが1974年に製作した『セリーヌとジュリーは舟でゆく』という名作をご存知な方も多いかも知れませんが、この時代、女性2人組が主人公の映画って無かったそう。女子同士でわちゃわちゃしてるだけというシーンが何ともいえない魅力を放っていて、今では当たり前にある要素だけど、当時リヴェットは新しい扉を開けたんだなぁと後から感動したことを覚えています。

残念ながら岡山では公開はないようですが、まだこれから開催されるという都市もあるので、ご興味ある方はぜひ観てみてください!




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