率先して考えるべきだ
隙間時間を見つけては読書にハゲむ今日この頃です。
読了した本がたまってきたので少しずつ紹介していこうと思います。
そういえば昨日、noteさんからこんな通知が届きました。
私、初めてのクラッカー獲得だったんですよ。
みなさんの投稿でその存在は知っていたんですが、私には縁の無い話と思っていたのでびっくりしました。
皆様の広い心のおかげです。ありがとうございます。
下記の記事です。
プーで獲得です、プーで。
ではでは、本紹介にいきたいと思います。
本日はあの超話題作『medium 霊媒探偵城塚翡翠』です。
medium 霊媒探偵城塚翡翠 著者:相沢 沙呼
[超簡単なあらすじ]
霊視、霊媒という力を使って、占い師をしていた城塚翡翠。
翡翠は、そうした能力を使って事件の犯人を推理することができるが、そうした能力を元にした発言には証拠能力がない。
そこで、作家である香月史郎が城塚翡翠の霊視、霊媒から得た情報に論理性を持たせ、証拠能力を宿していく。
数々の難事件を解決に導いていく二人だが、翡翠は霊視によって自分が悲惨な最後を迎えることを香月に明かす。
一方、巷では一切の物的証拠を残さない連続死体遺棄事件が立て続けに起こる。
一切の証拠を残さない犯人を挙げるには翡翠の能力が必要。
「亡霊」と呼ばれる連続殺人犯の謎を二人のコンビは解き明かすことができるのだろうか…
数ヶ月前より、どこの本屋さんに行っても目に付く場所に陳列されていた本だったことを思い出します。
それほどの話題作。
読んでみたいと思い、電子書籍で購入しました。
「このミステリーがすごい!」2020年国内篇 第一位
「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング 第一位
などなど…
数々の受賞歴を誇る作品です。
「本当におもしろいの〜?」と穿った視線を送っていました。
噂に違わぬ面白さだと思います。
ミステリー小説にありがちな舞台設定なのかなと思いながら読み進めると、ラストに向けての盛り上がりが半端じゃないです。
ご察しのいい方ならば、ラストの犯人はわかるかもしれませんが、わかったからといってこの作品の面白さが損なわれるかと言われると、「No」と言えます。
様々な事件を二人で解決していくわけですが、推理の取っ掛かりが霊視、霊媒である以上、多少の無理やり感はありますが、それ以上に勢いが半端じゃないです。
この作者さん、この小説書いてる時、ノリにノってたんじゃないかなあと勝手に推測しています。
ラストの二段構えや各所に散りばめられた伏線にもニヤリとしてしまいます。
悔しいけど面白いです。
「わたしたちの日常に、探偵はいません。率先して、あれは不思議だ、これは考えるべきだ、そこが怪しいのだと、丁寧に教えてくれる人はどこにもいない。わたしたちは、自分たちの日常の中で、なにを考えるべきなのか、なにを不思議がるべきなのか、自分自身の目で見定めなくてはならないんです。なにが不思議かわかりませんか?小さな問題すぎて考える必要がないですか?その価値がない?本当に?」
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼著 より
先日紹介した京極夏彦先生の『姑獲鳥の夏』にはこんな一説があります。
「この世に不思議なことなど何もないのだよ」
『姑獲鳥の夏』京極夏彦著 より
私は、京極先生の作中で表現される「不思議はない」とは、あらゆることを説明することができるという意味でのないであると解釈しています。
人が不思議に思うには、そこに着眼が無いと不思議は生まれようがありません。
何が不思議で何が問題なのか。
そうした着眼を常に持ち続けることで、不思議が生まれ、解き明かすことで解が生まれ、不思議は正しい解釈になる。まさに「正解」ですね。
不思議は不思議でなくなるわけです。
不思議を不思議のままでそのままにしておけば、それは不可解で理解できないことで終わる。
この情報社会。世に蔓延る情報に対して、率先して自分自身の目で見定め、調べ、正しい情報を見極め、解を求めていく姿勢が肝要かなと、この二つの小説を読み終え、両書の不思議な共通点を垣間見て感じました。
このうだるような夏の暑さを終えると、「読書の秋」がやってきます。
その際の一冊にぜひどうぞ。
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