ベートーヴェンを毎日聴く95(2020年4月4日)
『ベートーヴェン/交響曲第6番 ヘ長調 op.68「田園」』を聴いた。
交響曲第5番「運命」と兄弟作品と呼ばれる交響曲第6番「田園」。
完成の順は交響曲番号の順であるが、構想し、下書きしていた時期は両方重なっている。
性格が全く正反対の、ベートーヴェンを代表する大きな作品を同時に、彼は頭の中で描いていたことになる。
「田園」は「田園の生活の思い出」という題が付けられた交響曲。
通常4つの楽章から成る交響曲を、ここでは5つ楽章とした。そして第3楽章から第5楽章までは切れることなく演奏されるアイデアは、「運命」の第3楽章と第4楽章で取り入れたものと同じ。
そして情景を音楽に描写するという標題音楽の形式をとる。小川のせせらぎや鳥の声、そして激しい雷鳴などが音楽で表現される。これも後の作曲家に大きな影響を与えることになった。
現在のハイリゲンシュタットは、ベートーヴェンが散歩していた頃にあった田園風景ではなく、住宅地になってしまっているが、「田園」を書いた家やベートーヴェンの散歩道が今でも残り、小川も流れてる。
小川もかなり小さくなってしまっていて、もうこの作品の情景が浮かぶような風景と異なる。
自然が大好きだったベートーヴェン。
ウィーン近郊のハイリゲンシュタットとバーデンには足繁く通っていた。
温泉保養所のバーデンでのことを音楽にしていたら、もしかしたら「温泉交響曲」が生まれていたのかもしれない。
「そうでなくてよかった」と思うが、もしベートーヴェンが温泉を音楽で表現したらどんな作品になっていたのだろうか、ということにはとても興味がある。
(記:2020年11月30日)
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