Harayan ハラヤン

クラシック音楽を中心に。また日々の体験で新しく発見したことを書いていこうと思います。底…

Harayan ハラヤン

クラシック音楽を中心に。また日々の体験で新しく発見したことを書いていこうと思います。底なし沼のように奥深い、そしてあちこち思わぬ方向へ繋がっていくこと。どんな発見ができるのかを楽しみです。 https://twitter.com/HarayanV

マガジン

  • 編曲作品を聴く楽しみ

    最近は「編曲」(変曲)を聴くことが増えてきた。今までは「オリジナル以外はもってのほか」と思っていたのだが。新しい発見ができることにワクワクしている。

  • ベートーヴェン「第九」初演200周年

    2024年はベートーヴェンの交響曲第9番、通称「第九」が初演されてから200周年。いろいろな「第九」を聴いて、さらに学んでいくために

  • 読んだ本について

  • 旅したことについて

    自分自身が旅したこと、旅について考えたことなど、ふと思いついた時に書いてみた。

  • ベートーヴェンを毎日聴く

    ベートーヴェン生誕250周年の2020年。元旦から大みそかまで毎日、作品番号順に全作品を聴き続けてTwitterにUP。そのまとめとして再度作品を聴き140字では書けなかったこと、後から調べたり思ったことも加えて順次noteにUP。つまりベートーヴェンの全作品を再び聴いています。

最近の記事

「間違い探し」の聴き方で「ブルックナー沼」へ近づくことになるとは。

ブルックナーの交響曲における「稿」とか「版」とかいう「バージョンの違い」はブルックナーの交響曲が何か難しいものであるという原因のひとつを作っている。 今回、ブルックナーの交響曲第8番が、「良く演奏されるバージョン」ではなく「滅多に演奏されないバージョン」で演奏されるという貴重なコンサートを聴きに行くにあたり、“いつもとは違う聴き方”で臨んでみたのだが、それは底が全くうかがい知れない「ブルックナー沼」の淵へと歩みを進めるものとなった。 今回聴いた音楽は ”いつもと違う聴き

    • ブルックナーのジャズ・シンフォニーから、ブルックナーの心の呟きを妄想してみた(クラシックの編曲作品を聴く楽しみ)

      CDプレイヤーを通して流れ出した音楽を聴き始めてから、しばらくたったわたしは思わず笑ってしまった。 それは、予め想像も出来ない「挑戦的」な音楽が面白おかしかったからではない。 まあ、確かにヘンテコに聞こえる部分も多くある音楽なのだが、わたしの体は、いつしかブルックナーの音楽に合わせて揺れ動いていた。 つまり、あの、眉間にシワ寄せながら聴くのが似合っているようなブルックナーの交響曲に合わせて体がスイングするという前代未聞の自分自身に、ふと気が付いたからだ。 ******

      • オーケストラ版より「第九」のティンパニの凄さが良くわかる。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

        フランツ・リストが、ベートーヴェンの「第九」を2台のピアノで演奏するために編曲したバージョンについて以前書いた。 オーケストラと、4人の声楽ソリストと合唱という大規模な作品を、ピアノ2台のみで表現するという大胆なこの試みについて「リストはうまく再現したものだ」と思っているのだが それでもまだ何か、もの足らない・・・ と思った人がいたようで、そこで加えられたのが、なんと「ティンパニ」なのである。 ピアノ2台とティンパニ・・・? わたしは、そんな取り合わせは見たことも聞

        • 非常に少ない言葉で表す「俳句」のような「第九」を聴いた。ヴァイオリンとピアノの「第九」。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          ヴァイオリン1挺とピアノ1台で演奏されたベートーヴェン「第九」のCDを聞いた。 こんな編曲版があったのか。。。。 正直、この構成での演奏は想像もしていなかった。 ピアノ1台、そしてピアノ2台で演奏するフランツ・リスト編曲版はある程度知られたもので、オーケストラ演奏される「第九」には、さすがに叶いはしないが、なるほどと思えるレベルで表現することはできる。 でも、これはヴァイオリン1挺とピアノ1台である。 「ピアノ1台(中略)で演奏するフランツ・リスト編曲版は(中略)オ

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        記事

          パワーが必要な「カルミナ・ブラーナ」を小さな編成で演奏したCDを聴いた(クラシックの編曲作品を聴く楽しみ)

          今日一日、なんか憂鬱。。。 何とか気分を「スカッ」とさせたいんだけど。。。 そんな時のわたしが、引っ張り出して聴くCDのひとつが、ドイツの作曲家カール・オルフが作曲した「カルミナ・ブラーナ」である。 わたしが、この曲を知ったきっかけは、1988年に小澤征爾がベルリン・フィルでこの曲を指揮。その合唱を担当したのがアマチュア合唱団の「晋友会合唱団」であったということが大きな話題になったことだと思う。 この「カルミナ・ブラーナ」。出だしの部分はCMやドラマなどでよく使われるよ

          パワーが必要な「カルミナ・ブラーナ」を小さな編成で演奏したCDを聴いた(クラシックの編曲作品を聴く楽しみ)

          ひとりで2台のピアノを駆使して奏でられた「第九」。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          2台のピアノで演奏するために作曲された作品を演奏するには、ピアノが2台と、ふたりのピアニストが必要だ。 そんなことは当たり前のこと。 でも、以前訪れたコンサートホールのステージ上には、ピアノが2台用意されていたのだが、ピアニストはたったひとりで登場したのである。 それは、2022年3月5日にサントリーホールで開催された「金子三勇士ピアノ・リサイタル」に足を運んだ時のことである。 「2台のピアノを駆使して奏でるベートーヴェン第九」の「世界初演」 と銘打たれたコンサートで

          ひとりで2台のピアノを駆使して奏でられた「第九」。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          ベートーヴェンを敬愛したリストの知られざる作品を聴いた

          フランツ・リストはベートーヴェンを敬愛していた。 それはベートーヴェンが残した大きな実績である9つの交響曲を、ピアノで演奏するために編曲したことからもわかるのだが、それを凌ぐような大きな作品をリストは作っていた。 作品自体だけでなく、その作品の背景にあるストーリーも、リストのベートーヴェンへの思いが溢れるものである。 しかし、その作品はほとんど知られていない。 今回、その珍しい作品を聴いてみた。 ベートーヴェンの生まれ故郷「ボン」の面目 1827年、ベートーヴェン

          ベートーヴェンを敬愛したリストの知られざる作品を聴いた

          「のたうち回るほどの音の奔流」が聞けるというピアノ2台による「第九」。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          「のたうち回るほどの音の奔流」 CDの帯に書かれたキャッチコピーである。 「のたうち回る」とは、例えばケガをして苦しみもがくようなことを言うのだと思うが、音楽を表現する際に使われたのは、わたしにとっては初めてかもしれない。 そして「奔流(ほんりゅう)」という言葉もあまり耳にする機会がない言葉だが「激しい勢いの流れ」を意味する。 つまり、このCDは、スピーカーやヘッドホンから「苦しみもがいてしまうほど、音の流れが激しい勢いで襲い掛かってくるぞ!」 という恐ろしいものな

          「のたうち回るほどの音の奔流」が聞けるというピアノ2台による「第九」。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          モーツァルトの「悲しみ」は教会のパイプオルガンではどう響くのか?(クラシックの編曲作品を聴く楽しみ)

          モーツァルトの交響曲第40番がパイプオルガンで演奏されているCDを聴いた。 それはピアノ練習曲でも有名なカール・ツェルニーが編曲したもので、4手(連弾)で演奏するオルガン版である。 ツェルニーはハイドンやモーツァルトの交響曲など、多くの作品をピアノ連弾版に編曲しているので、もしかしたら、元々はピアノのためのものかもしれない。 モーツァルトの「交響曲第40番ト短調」は「悲しみ」という言葉で形容されることが多い。 短調という調性自体が悲しい曲調になるのだが、中でもこの交響

          モーツァルトの「悲しみ」は教会のパイプオルガンではどう響くのか?(クラシックの編曲作品を聴く楽しみ)

          リストが作曲した「愛の夢」。そのすべてを知っていただろうか?

          フランツ・リストが作曲したピアノ曲「愛の夢」は名曲である。 世の中に数多くあるピアノ曲のなかでも、抜群の知名度と人気を誇る。 CDのピアノ名曲集には必ずと言っていいほど入っているし、ピアノ演奏会での演奏頻度も高いことがそれを裏付ける。 「愛の夢」というタイトルを聞くだけで、冒頭のハープのアルペジオのような音をバックにして流れる甘いメロディが思い浮かぶはずだ。 「愛の夢」とだけ書いてしまったのだが、演奏会プログラムには「愛の夢 第3番」と表記される作品である。 ●よく

          リストが作曲した「愛の夢」。そのすべてを知っていただろうか?

          超有名ピアニストだったが、今では無名な人物が残した「第九」。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          「ベートーヴェンの交響曲全曲をピアノ1台で演奏するための編曲」を行ったことは、フランツ・リストが残した大きな業績のひとつである。 それにはもちろん「第九」も含まれている。 しかし、リストが編曲を行うより前に「ベートーヴェンの交響曲全曲をピアノ1台で演奏するための編曲」を行っていた人物がいた。 その人物とは、フリードリヒ・カルクブレンナー(1785~1849)である。 残念ながら、現在においてその名がよく知られているとは言えない人物である。 カルクブレンナーは多くの作

          超有名ピアニストだったが、今では無名な人物が残した「第九」。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          まだ無名だった作曲家が大好きな「第九」を世に広めるためにとった行動とは。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          「第九」は今でこそ交響曲の傑作とされ、年末の日本では欠かせないクラシック作品になっているが、ベートーヴェンが初演した後、演奏される機会は滅多にやってこなかったようだ。 交響曲に声楽(ソリストと合唱)を取り入れるという大規模な編成は前代未聞であったし、演奏も難しい。 楽器も多くて、何やら「ドンチャカドンチャカ」とやかましい。 理解に苦しむ前衛的な音楽という印象だったのだろう。 しかし、そんな「第九」を愛してやまなかった人物がいた。 それは、リヒャルト・ワーグナー少年で

          まだ無名だった作曲家が大好きな「第九」を世に広めるためにとった行動とは。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          分断の時代に聴く「第九」。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          ベートーヴェンの交響曲第9番、通称「第九」は1824年5月7日、ウィーンのケルントナートーア劇場(今は存在しない)で初演された。 この記事を書いている今日でちょうど200年前のことである。 毎年5月7日、忘れることがなければ、わたしは「第九」を聴くことにしている。 「今年はどのディスクで聴こうか?」と悩むことも毎年のことなのだが、「やっぱりこれかな」と選んだのがこれである。 現在の世の中は、再び分断の世界へと進んでいる。その環境において聴く必要があるディスクだろう。

          分断の時代に聴く「第九」。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          魔術師でも編曲するのは大変だった「第九」。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          フランツ・リスト 「ピアノの魔術師」と呼ばれたリストは、演奏と作曲だけでなく、他の作曲家の管弦楽作品やオペラなどをピアノ演奏用にした「編曲家」でもあった。 その数の多さも凄いのだが、楽器が多く登場する管弦楽やオペラ作品をピアノ1台で表現してしまうという編曲の技にも凄いものがある。 わたしは個人的に「ピアノ編曲の魔術師」とも呼べるのではないか、と思っている。 ベートーヴェンの交響曲すべてを1台のピアノで演奏するために編曲したものは、リストの編曲作品の中でも有名なものであ

          魔術師でも編曲するのは大変だった「第九」。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          欧州連合(EU)の歌にも採用。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          欧州連合(EU)の歌として、ベートーヴェンの「第九」第4楽章の一部が採用されている。 EUの前進、欧州評議会の時代に採用され、今日まで引き継がれている。 欧州を一体とすることで、国を超えた共通の体制を敷くことにより、全ての加盟国の社会・経済の発展や自由を保障する。 そして、それまで繰り返し行われてきた悲惨な戦争をなくすことは大きな目的のひとつである。 出入国も自由になり、通貨も「ユーロ」に共通化された。 国歌はそれぞれの国にまだ存在するが、ベートーヴェン「第九」によ

          欧州連合(EU)の歌にも採用。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)

          政治的な利用もされてしまった「第九」の歴史。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)。

          「ヒトラーの第九」と題されたCDがある。 1942年4月19日、翌日のヒトラー誕生日を祝う演奏会の記録である。 音声はとても悪い。しかし、そこから聞こえる音楽は、何か異様な緊迫感が感じられる。 ドイツの巨匠フルトヴェングラーが指揮する第九の特徴、中でも特に第4楽章の一番最後のテンポが異常な加速をして音楽が崩壊寸前になることだが、この演奏会は、なんというか、自暴自棄とも感じるような結末で終了する。 「こんな演奏会、早く終わってしまえ」 とでも言うように。 ******

          政治的な利用もされてしまった「第九」の歴史。ベートーヴェン「第九」初演200周年(2024年)。