見出し画像

摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~121


「もしかしたら私は、もっと自由に、何にも囚われることなく、いろいろなことを考えたり、やってみたりしていいのかもしれない。そういう視点が、欠けていたのかもしれない。ただそれだけなのかもしれない・・・私は、今からでも自分をどこかへ導くことが出来るのかもしれない」

私は、いつでも自由。何でも思い通りに出来る。自分のことは、何から何まで完璧にコントロールして、体重だって体型だって、思うがまま。いつだって思い通りに痩せることが出来る、永遠のダイエッター。痩せたいのに、食欲に負けてダラダラと食べることなんて、あり得ない。もちろん、太ることなんて、絶対にあり得ない。私は私の欲求を、いつだって完璧にコントロール出来る・・・

そんな自信に満ち溢れていたのは、ほんの少しの間、一瞬だった。欲求をいつだって完璧にコントロール出来る、なんてことは、儚い夢、ただの幻想に過ぎなかった。

「私は、摂食障害を経験して、今まで考えたこともないような、気が付かなかったようなことをたくさんたくさん考えてきた。その時その時で、出来ることはとにかく試してみた。どれだけ行き詰ったか、どれだけ悩んだか、どれだけ苦しんだか・・・それでも諦めないで、今出来ることを続けてきた。そして今、摂食障害克服に向けて、大切なあと一歩を踏み出せるかもしれない感覚がある。何がどうなると先へ進めるのか、具体的にはわからないけれど、それでもゴールに、出口に、答えに辿り着けるんじゃないかという予感がする。今でももちろん、太りたくないけど、確かに太りたくはないけど、でもこのままでも、この干からびた私でもいい、という気もしない。食べたいだけ食べて吐くことも、本当にやりたくないし、出来ることなら本気でやめたい。普通に、ただ普通に、食べたい。おいしいものを食べたい。カロリーを気にせずに食べたい。お腹いっぱいって言ってみたい。食べることを楽しみたい。みんなと一緒に笑顔で食卓を囲みたい。そんな、ただただ普通の、何でもない幸せを感じたい。取り戻したい。いつになったらそうなれるのか、それはわからないけど、でもいつかは必ずそこに辿り着きたい。もう、ここまで来たら、絶対にそこに辿り着ける。そう信じていたい・・・」

月の光は、いつでも優しく、そして眩しいくらいに暗い部屋を、私の心を照らしていた。


今日もありがとうございます。

この記事が参加している募集

習慣にしていること

よろしければサポートお願いいたします。いただいたサポートは、今後、摂食障害で悩む方々のサポート活動に、大切に使わせていただきます。